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ゲームハードの最盛期をどことするかは視点によって異なりますが、リリースされるタイトルの数が目安のひとつと言えるでしょう。
そして最盛期には、特に多種多彩なラインナップが並びやすくなります。数が多いため、埋もれてしまう可能性もありますが、個性を極めた作品と出会う機会も少なくありません。
国内市場におけるXbox 360は、硬派なゲームファンや洋ゲーを好むユーザーを魅了するタイトルが中心的でしたが、多くのタイトルが展開した2011年に、一部の方々を驚かせたゲームが颯爽と登場しました。
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そのタイトルは、『ぎゃる☆がん』。可愛い美少女がこれでもかと登場する本作は、Xbox 360におけるラインナップの中ではかなり珍しい作品でした。もちろん、美少女が出るゲームはXbox 360にも存在していましたが、ADVやアクションといったジャンルのものが多く、『ぎゃる☆がん』はかなり稀有で──表現を変えるなら、異質とも言えました。
珍しい作品は話題になりやすいものの、作品として愛されるかどうかは別問題。話題性ばかりが膨らみ、売上が伴わないケースもあります。ですが『ぎゃる☆がん』は、設定・世界観・ゲーム性ともに全力を見せながら、なんと10年に至る歩みを続け、今もなお最新作がリリースされるほどの支持を集めています。
【祝】皆様の応援を受けて『ぎゃる☆がん』は10周年を迎えました!ここまで『ぎゃる☆がん』を開発したスタッフ、支え続けてくれた販売店様、縁の下の力持ちの流通様、そして、遊んでくれたユーザーの皆様に大感謝です!
— INTI CREATES Official (@GunvoltOfficial) January 26, 2021
これからも『ぎゃる☆がん』をよろしくお願い致します! #ぎゃるがん #galgun
原点となったXbox 360版『ぎゃる☆がん』が発売されたのは、2011年1月27日。本日で記念すべき10周年を迎えました。このアニバーサリーを記念し、個性的すぎる『ぎゃる☆がん』シリーズの特徴や、驚きの発展などを振り返ってみたいと思います。
『ぎゃる☆がん』の基本は、原点ですでに完成していた!? 誰も死なない「眼STG」は、意中の娘だけを目指す一途な恋愛ゲー
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美少女ゲームと言われて思い出すのは、甘酸っぱい恋模様を描いた恋愛ADVや、可愛いキャラを操作するACTやRPGなどが多いことでしょう。ご褒美シーンのあるテーブルゲーム(麻雀など)も、一時期は定番的な存在でした。
ですが、10年前に発売された『ぎゃる☆がん』のジャンルは、なんとガンSTG。主人公に襲いかかる敵を、的確なエイムで狙い打つゲーム性が、『ぎゃる☆がん』の軸でした。
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これまでのガンSTGは、殺すか殺されるかといった緊迫感のある作品が多く、登場する敵もゾンビや兵士などのケースが多々ありまし。ですが『ぎゃる☆がん』の場合、襲いかかる敵は全て美少女。学校中の女生徒と女教師が、こぞって主人公に群がります。
彼女たちの目的は、主人公の抹殺・・・ではなく「告白」。天使のドジによって一日限定の超モテ男となった主人公に惹かれてしまい、両思いになるべく美少女たちが主人公に迫ってきます。
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例えゲームの世界でも、数人の女の子から熱烈なアタックを受けるくらいがせいぜいですが、『ぎゃる☆がん』の場合は学校に通う美少女全員(女教師含む)が対象。校門前、昇降口、廊下、教室・・・あらゆる場所で、怒濤の勢いを見せる美少女たちに取り囲まれます。
贅沢といえば間違いなく贅沢すぎるシチュエーションですが、しかし美少女たちに群がられるのが本作の目的ではありません。超モテ過ぎる反動で、主人公が誰かと恋愛を成就できるのは、人生でこの日限り。今日を逃すと、一生誰とも結ばれないのです。
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たった一日しかない機会なら、意中の娘と結ばれたい。その意志を貫き通すべく、群がる美少女たちを退け、ヒロインの元を目指す──実は、そんな一途さが『ぎゃる☆がん』における主人公の行動原理なのです。決して、群がる美少女に囲まれてウハウハするゲームではないのです!(プレイヤーがどこにウハウハするかは全くの自由です)
しかし、超モテ男な主人公のフェロモンに惑わされているとはいえ、同じ学校の生徒や教師に対して暴力を振るうわけにはいきません。倒すのではなく、無効化すればいい──その手段こそが、眼力による「フェロモンショット」です。過剰なフェロモンを放つ主人公の眼力が直撃すると、美少女たちはメロメロに。昇天させてしまえば、行方を阻むことはできなくなります。
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つまり『ぎゃる☆がん』は、学校中の美少女からの「告白」を退け、意中の娘への想いを貫くため、眼力で昇天させて道を切り開く──ひたむきで一途な、そして誰も死なない稀有な「眼(ガン)STG」なのです!
ちなみに昇天させる際にセクシーな部分がチラリと見えたり、フェロモンの高まりによる暴走(?)な「ドキドキモード」などもありますが、これらは全て不可抗力。先ほどお話したように、主人公の目的はあくまで意中の娘への告白。ドキっとする展開は、その過程で発生する偶然や事故に過ぎません。なお、偶然や事故はプレイヤーが任意に起こせる模様です。不思議ですね。
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『ぎゃる☆がん』の魅力はまだまだ語り尽くせませんが、当時話題となった理由の一端がお分かりいただけたでしょうか。個性的という点では随一で、類似作がほとんど見当たらず、ガンSTGというジャンルへの間口も(これまでになかった切り口として)広げた『ぎゃる☆がん』。AAAタイトルと比べると、その輝きは控えめだったかもしれませんが、唯一無二の煌めきを放つタイトルだったと言えます。