『あつまれ どうぶつの森(※以下、あつ森)』ではプレイ中に色々な昆虫に遭遇、採集することができます。
中にはレア枠として外国産の美麗種、大型種(モルフォチョウやゾウカブトなど)も含まれますが、意識してプレイせずとも頻繁に出会える普通種も魅力的。グラフィックも一切手抜きなしに凝っています。
そうした普通種のうち、多くはモンシロチョウなど大人から子どもまで誰もがその名と姿を知るもの。しかし、それらに比べるとちょびっとマイナー寄りな「ある虫」が年間を通じて出現する「レギュラー枠」に陣取っており、虫好きとしてはそれが妙に気になるのです。
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それがこの「ゴマダラカミキリ」です。
……いや、昆虫業界(?)では知らない人はいないメジャーな虫なんですよ?
でも「モンシロチョウ」とか「カナブン」とか「ミツバチ」とかその他の超メジャー出演虫と比べると一般の方の認知度は一段二段落ちるのでは……?と思ってしまうのです。
虫にちょっと興味がある人ならばみんな知っているけれど、興味のない人は名前を聞いたこともない。そんな位置づけの昆虫なんです。
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カミキリムシの中では有名どころ!
そうですね……当サイトの読者に伝わりやすいようポケモンで例えるなら、コンパンとかレアコイルくらいのポジションですね。この虫の知名度は。
たとえば非ゲーマーのおじいちゃんおばあちゃんでもピカチュウくらいは知っているかもしれません。でもコンパンはなかなか知らないでしょうコンパンは。
ゴマダラカミキリはコンパン。モンシロチョウはピカチュウ。そんな感じです。
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でも『あつ森』作中でそれらの超メジャー級昆虫たちを抑える長い出現期間と出現頻度を誇っているのがこのゴマダラカミキリなのです。
本種はいわゆるカミキリムシの仲間で、その中ではもっともよく知られた種と言えます。
体長は3センチほどと日本産の甲虫としてはやや大きめなので野外で見かけるとかなり存在感があります。
都市部でもちょっとした緑地があれば見かける機会は少なくないため、名前は知らずとも見た覚えはある、という人も多いかもしれません。
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かくいう僕も昆虫少年として幼少期を過ごしたので、この虫はとても良い遊び相手でした。
大きいし、キレイだし、それによく見るとちょっと仮面ライダーっぽいカッコいい顔つきをしているのです。個人的にはカブトムシやクワガタに次ぐアイドル的存在でしたねえ。いい虫なんですよ、ゴマダラ。
実はミカンの害虫!
しかし、世間的には嫌われ者として扱われることの方が多いかもしれません…。
ゴマダラカミキリはミカンやシークワーサーなどの柑橘類を食害する害虫として知られているのです。
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成虫もミカンの枝をかじるなどと悪さ(人間目線)をしますが、真に恐ろしいのは幼虫時代。よりによって彼らの幼虫は木の幹の芯部をトンネルのようにくりぬきながら食べてしまうのです。
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この時に掘る穴が銃弾で貫いた跡のように見えることから、「テッポウムシ」と呼ばれることもあります(※ゴマダラカミキリのみならずカミキリムシ類の幼虫を総じてテッポウムシと称します)。
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当然、果樹にしてみれば致命傷に近いダメージを被るわけですから、果樹園で働く人々にしてみればこれほど厄介な存在はありません。実や葉っぱをかじるとかならまだしも、これは許しかねる所業なのでしょう。幹の中へ針金を挿し込んで突きつぶすなど地道な駆除が日々行われています。
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食べるとおいしい!?
そういえば『あつ森』でこの虫を博物館へ持ち込むと、館長のフータさんが「幼虫は焼いて食べるとなかなかの味」だと教えてくれます。
食べる!?おいしい!?マジですか!?
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はい。マジです。ゴマダラカミキリに限った話ではないのですが、カミキリムシの幼虫すなわちテッポウムシは数ある昆虫の中でもとりわけおいしいのです。
それも「見た目のわりには食べられる」とか「まずくはない」といった消極的な評価ではなく、本当に食材として優秀。脂肪分が多く、クリーミーで甘味が豊かです。
いつかもし機会があれば、ぜひお試しあれ!
『あつ森』博物誌バックナンバー
■著者紹介:平坂寛
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Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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