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青を体現する空、ジリジリと照りつける日差し、学校にそよぐ風、揺れるカーテン。夏という季節の趣に彩られた、美しくも儚い少女たちの物語。『BLUE REFLECTION TIE/帝』をプレイしていると、こちらまで学生時代に戻ったような気分になりました。
「BLUE REFLECTION」とは、コンソールタイトル/スマートフォン・PC向けタイトル/アニメーションの3つを軸にクロスメディア展開しているコンテンツです。そのコンソール最新作である『BLUE REFLECTION TIE/帝』が、10月21日にPS4/Nintendo Switchで発売されました(Steam版は11月9日発売)。
本稿では、東京ゲームショウ2021に合わせて配信された体験版のさわり心地をレポートします。なお、体験版は物語の導入と基本的なゲームシステムを確認できる「プロローグパート」と、複数のキャラクターが仲間になった状態である、物語中盤の物語や踏み込んだ工作/学校開発などを体験できる「ストーリー体験パート」の2つで構成されています。
『ブルリフ』プロデューサーインタビューはコチラ
溢れる夏に圧倒される画面づくり
主人公の星崎 愛央は、補習を受けに夏休みの学校へ向かったはずが、そこは現世から隔絶された学校で、そこには記憶を失った少女たちが暮らしていました。愛央はそのなかで唯一記憶を持ったまま元の世界に戻るための方法を探るというのが本作の物語のはじまりです。
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本プロジェクトの特徴である、岸田メル氏が産み出した透明感のあるキャラクターを、損なうことなくゲームに落とし込んだグラフィックと画面表現は必見。ガスト作品らしい、アートワークをそのままゲームとして楽しめる魅力は健在です。また、前作に続き浅野隼人氏らが手掛ける楽曲も、夏の雰囲気を彩ります。物語や画面の演出に徹するだけでなく、楽曲単体での美しさが光る存在感は絶妙で、本作の世界観を形作る大切な要素のひとつです。
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彼女たちが暮らす学校の前に現れた謎の空間「ココロトープ」。一般的なRPGで言うところのフィールドに位置し、モチーフとなったキャラクターの心情に合わせて装いが異なるのも特徴のひとつ。ここでは落ちているアイテムの採取や、モンスターとの戦いが待っています。また、少女たちは元の世界に戻るカギが、ココロトープに隠されていると考えているようです。
キャラクターのココロを映し出した世界ということで、少女たちの抱える葛藤やトラウマなどがオブジェクトとして随所に散りばめられています。体験版で探索できるなかには、現実世界の音響式信号機の音や、街で聞こえる音などが採用された楽曲が用いられた、奇妙で怪しい雰囲気を持ったココロトープも見られました。また、フィールドに直接文字を映し出すような大胆なストーリーテリングも見られます。
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スピーディで爽快なバトル
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フィールドでの戦闘はシンボルエンカウントとなっており、戦闘開始前に□ボタンで先制攻撃をすれば有利な状態で戦闘を開始することができます。
戦闘はリアルタイムで進行します。タイムラインに従って各キャラクターのアクションを選択していくと、エーテルポイント(ep)が溜まる速度が上昇し、速度が一定以上になると 「ギア」が上がり、ギアが3となるとリフレクターとして変身します。
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要求される操作が多いように見えますが、アクション選択時は時間が止まるので、落ち着いて操作することができます。そのうえ、メインキャラクター以外の2人の操作をAUTOにすることも可能。また、パーティの基本となる3人の他にサポートを設定でき、キャラクターの入れ替えやアイテムの使用が可能です。
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前作と比較してもエフェクトは派手になった印象。操作感も良い意味で忙しく、スピーディに感じる戦闘はシンプルに楽しいものでした(前作のコマンド選択時にあったキャラクターをじっくり鑑賞できる カメラアングルが見られないのは残念かも)。
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彼女たちの活動の拠点となるのは学校。ここには様々な要素が用意されています。まずは工作・学校開発。ココロトープで手に入れた素材を使って、料理や学校に設置するアイテムを作成できます。これらを行うことで戦闘が有利になったり、イベントが発生したりします。工作では、 作成するメンバーによって効果が異なるといった 細かい仕掛けも。
また、学校にいる他のキャラクターから「お願い」を受け、達成することでTP(タレントポイント)を得られます。これでキャラクターステータスを任意で上昇させるほか、新たなスキルを習得することが可能 。また、デートなどの思い出を作ったりすると、思い出の結晶である「フラグメント」を手に入れることがあり、これを装備することでステータス上昇やスキル を使用可能となります。学校生活で得た思い出や絆が、バトルに直接つながるデザインになっているのです。
無駄のない遊びやすいデザイン
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全体的に、無駄が削ぎ落とされている印象を受けました。バトルは派手目な演出とスピード感でコマンド選択型に見られる冗長さを薄くし、学校内での移動はいつでもファストトラベルが可能で、キャラクターを選んでジャンプすることも可能。ココロトープでも戦闘時以外であればマップを開いてボタン一つで学校に戻れるため、工作や学校開発に使う素材集めなどはストレスなく遊べるでしょう。シリーズ特有の透明感のある画面はそのままに、遊びやすさをパワーアップした本作。どのような物語が展開され、また他のメディア作品とどのような関わりが見られるのか、ぜひプレイし体験してみてください。
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