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花芽すみれさんは2018年9月21日に初ツイート、10月中旬に開催されたPUBG版『VTuber最協決定戦』から配信をスタートし、本格的な活動をスタートすることになります。
当時の「Lupinus Virtual Games」結成、現在のぶいすぽっ!へと繋がる最初の足がかりは、運営スタッフが花芽すみれさんを2018年夏にスカウトしたことがきっかけです。この時、親御さんを含めた面談でキッチリと話し合ったことを明かしています。
当時の状況について、運営スタッフはいくつかインタビューでこのように振りかえっています。
「プロゲーマーにとって現在のe-Sportsシーン(インタビュー時は2020年)は良い環境かと言われればそうではなく、どちらかと言うとストリーマーの配信が流行るコンテンツになっているそうで、ただ世界のe-Sportsシーンをみると、実力のある強い選手や女性が活躍して生計を立てていた。このプロジェクトを通じて、女性目線での上手なプレイや、本気でゲームをする楽しさを届けることによって、e-Sportsシーンを盛り上げていけるのではないか?とすみれちゃんと話していました」
https://toppamedia.com/interview-2020-5-lupinas-virtual-games-producer/
「花芽すみれちゃん、なずなちゃんとの出会いは大きかったですね。まず、僕はゲームが初心者だったので、ゲームについて色々教えてくれましたし、プロジェクトについて『私が活躍することで、ゲーマーがゲームをしながら楽しく生活できたり、プレイしているゲームの素晴らしさを伝えていける。そんなプロジェクトになれば』と賛同してくれたのです」
運営スタッフ、すみれさん、なずなさん、この3人の出会いと意見交換をきっかけにしてスタートしたこのプロジェクトは、現在ではその目論み通りの立ち位置を得て、想像以上の影響力を放ち始めています。
『PUBG』『Apex Legends』『VALORANT』などのサバイバルゲーム/FPSゲームを専門にしているぶいすぽっ!にはこれまで多くのメンバーが加入してきましたが、そのなかでも花芽すみれさんの実力は現在でも上位であり、カジュアル大会・配信上では持ち前のセンスと判断力で好プレーを連発していきます。
『Apex Legends』ではマスターランク帯の実力を持っていることからもお分かりのように、ハマったときの彼女はダメージを稼ぎまくるキルマシーンとなります。多くのプロゲーマー/ストリーマーらも目を見張る実力で、「女性VTuberのFPSプレイヤーといえば?」という問いに彼女を挙げる方も少なくないでしょう。
この連載では一ノ瀬うるはさん・花芽なずなさんについて書いてきましたが、すみれさんも彼女らとともにLupinus Virtual Gamesの一員として『PUBG SCRIM JAPAN』に参加、総合優勝を果たしています。その後も『VTuber最協決定戦』『CR Cup』などのカジュアル大会や企画大会に参加しており、『CR Cup』では第1回・第2回と連続して優勝を果たしたことを筆頭に、多くの大会で高順位にランクインしてきました。
FPSゲームにのめり込んだのは「初めてプレイした時の友人に下手と煽られたこと」がきっかけだと語り、VTuberとしてデビューした理由なども踏まえると、彼女のバイタリティとなっているのは一種の「反骨心」とも言えるかもしれません。
『PUBG』『Apex Legends』『VALORANT』と頻繁にプレイするゲームが変わっても、エイムや立ち回りなどのFPSゲームスキルについて考え、スキル向上に余念がないように見えます。敗戦が重なると悔しさを隠しきれない瞬間もあり、ゲーム中にミスすると自分を許せなくなるほどに追いつめてしまうこともあります。大会中の練習配信では、FPSプレイヤーとして真剣に向き合う彼女の姿が見られます。
彼女の魅力はFPSゲームの実力や姿勢だけではありません。銀髪・色白な外見に加え、普段は声が小さめということもあり、どこか気弱な女の子のようにも見えます。
ですが、ゲームプレイ中には怖気ることもなく罵声を飛ばすシーンもあり、リスナーからコメントを通してイジられるとムっとした口調で言い返すこともあります。声色は柔らかく少し高めでキュートな印象をあたえつつ、独特なイントネーションと方言で話すので、怒れば怒るほどにむしろ可愛さが引き立っていくシーンもしばしばあります。
何より、彼女をより面白くするのはその言動です。「花芽すみれさんはどんな方ですか?」とぶいすぽっ!メンバーの配信内でひとたび話題にあがれば、Lupinus Virtual Gamesとして共に活動していたなずなさんと一ノ瀬うるはさんを皮切りに、現在のぶいすぽっ!メンバーの方々からは「普通じゃない」「頭がおかしい」「いい意味で宇宙人」「発言の理解が追い付かないから若干ヒイてる」など冗談めかして言われるほどの風変りな言動をとおし、笑いと驚きを巻き起こす面白さも魅力でしょう。
この3年での活動の中で彼女が生み出してきた面白シーンは枚挙にいとまがなく、インパクトある出来事を起こし続けてきました。代表的なものを挙げてみます。
・第1回CRカップの第4試合、勝つか負けるかで優勝争いに響く局面。このタイミングでUber Eatsが届き、チームメイトだったshomaruさんとBobSappAimさんからゴーサインを貰ったうえで、品物の受け取りに離席し、何事もなかったかのように戻ってきて再参加する。(前述したようにこの大会で彼女は優勝している)
・第5回CRカップの第1試合中、直前にお手洗いに行ったタイミングで配信画面に「Toire」と大きなテロップを表示していたが、それを消し忘れたまま第1試合へと進み、バトルが終了するまで出しっぱなしで配信する。
・ヌン・ボラさん、杏戸ゆげさんと共に3人でコラボ配信中、『天空の城ラピュタ』の主題歌「君をのせて」を口ずさんだところボラさんと意気投合し、なぜかお互いの手元にあったリコーダーをテキトーに演奏しはじめ、ゆげさんが困惑する。
・VTuber関連の切り抜きチャンネルがコメント欄に現れた際に、名指しで呼び出し、「花芽すみれを持ち上げるような動画を作って欲しい」と配信を通して頼み込む。
・妹である花芽なずなさんを含めたぶいすぽっ!メンバー複数人でコラボ配信をしようとした際、すみれさんが予定時間になっても集合しなかった。なずなさん曰く、「そのあと集合したとき、ボーッとしてたら時間が経ってたとすみれに言われた」とのこと。
・料理をほとんどしないにも関わらず、3周年記念配信で「お好み焼きを作る」という料理配信を決行。「お好み焼きを作ろうと思って水を買ったけども、開始前に喉が渇いてしまい全部飲んでしまう」「キャベツを買ったが切るのがめんどくさくなり、ミックスサラダを同じく購入する」「お好み焼きを作るのにプライパンに油を引くかどうかをリスナーに聞く」などでリスナーを唖然とさせる。
マイペースかつ浮世離れした言動でリスナーや同僚らを驚かせる彼女、常識の外から何かがが降りてきたとしか言えないような彼女のズレた行動は、様々なルールに合わせつつ生きる市井の方々の目にはとても刺激的に見えると思います。
「活動を始める前のわたしは人と関わるのを拒んでいて、人が嫌いだった。親友と言える人は何人かいるけども、普段から会話をするような人がいなかったし、すごく狭い世界にいた」
彼女はそんな風にむかしの自分を振り返っています。現在VTuber/バーチャルタレントとしてネットカルチャーの最前線にいながらも、mixiやニコニコ動画といった一時期に興隆したウェブサイトにも触れてこなかったとも会話中に打ち明けることもありました。
そんななか、「すみれちゃんが何を考えているのか分からない。壁を感じる」とハッキリとメンバーに指摘され、それまで考え方が徐々に変わっていくことになったといいます。どこか内気で他人を寄せ付けなかった彼女が、より自分自身のことについて相談していくようになり、その影響が徐々に配信のなかにもあらわれるようになっていきます。
その結果、彼女の魅力は同業のバーチャルタレントやストリーマーらに徐々に広まり、彼女自身も初対面の方に臆せずに独自の引力で巻き込んでいこうというバーチャルタレント/ストリーマーへと変化していきました。
ひとりのFPSプレイヤーとしての実力だけではなく、ひとりの配信者として魅力的な存在として広まりつつあるところ。隠しきれない風変りなセンスと実力派FPSゲーマーという二面性を併せ持った彼女は、今後のシーンでも大きな活躍にも注目が集まります。
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