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本名をアルバート・W・ワイリーというDr.ワイリーは、カプコンの名作アクションゲームである『ロックマン』シリーズに登場する悪の天才科学者です。
「ロボットによる世界征服」を目論んでおり、戦闘用人型ロボットを次々と作り出してロックマンの元に送り込んでは敗れ去る…というのが『ロックマン』シリーズの大体の流れで、多くの作品で最後は華麗なジャンピング土下座をキメる姿を見られます。
シリーズの人気を決定づけたのは1988年に発売されたシリーズ2作目の『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』で、高難度ながら理不尽ではない絶妙なバランス、サウンドプログラマーの松前真奈美氏によるメロディアスなBGM、ユーザーからのボスデザイン募集企画のスタートなどさまざまな要素が絡み合い、大ヒット作品となりました。
しかし、そんな名作にもツッコミどころのひとつくらいはあるというもので、それが本作の副題である「Dr.ワイリーの謎」です。説明書には「ロボットによる世界征服を目論むワイリーがロックマンに再びロボットを差し向けてきた」と簡潔にストーリーが書かれており、疑問を挟む余地がありません。ワイリーの何が謎なのかが謎!
頭にハテナを浮かべながらも最終面の「ワイリーステージ」を最深部まで進むと、いよいよDr.ワイリー本人が登場。ここでワイリーはエイリアンに変身して襲いかかってきて、プレイヤーたちの度肝を抜きました。
撃破するとエイリアンはワイリー本人ではなくそう見せかけただけの立体映像だったことが分かり、ついに打つ手がなくなったワイリーが前述したジャンピング土下座を披露してくれてフィナーレ…なのですが、今思うと、この「ワイリー、実は宇宙人だった!?」の部分が「謎」にあたるのでしょうか?
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当時はエイリアンがあまりに強すぎて(正確にいえば、攻撃が通じる唯一の武器であるバブルリードがあまりに当てづらくて)、いつの間にか「謎の謎」のことはすっかり気にならなくなっていました。
最後に余談ですが、初代『ロックマン』はカプコンオリジナル作品として企画・開発がスタートしたものの、「版権モノのゲームにした方が売れるのでは?」という考えから一時期は「鉄腕アトム」のキャラクターゲームへの変更が検討されたというエピソードがあります。
そういわれてみると、ロックマンと個性豊かなロボットたちが激闘を繰り広げる構図は、アトムがプルートゥを始めとする世界各地のスーパーロボットたちと共闘・激闘を繰り広げる「鉄腕アトム」人気エピソードのひとつ「地上最大のロボット」を彷彿とさせるものがあります。『ロックマン』ファンの方は、機会があったらぜひ読んでみてください。