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任天堂初のフルボイスで描かれた胸熱SFストーリー
『スターフォックス64』のラスボスであるアンドルフは、惑星コーネリアの天才科学者です。大きな功績を上げた人物でしたが、恐ろしいバイオウェポンを発明したことでコーネリアの人々を危機にさらし、その罰として辺境の無人惑星ベノムへ追放されました。
それから数年後、ベノムで力を蓄えたアンドルフが軍を率いてコーネリア星系に攻撃を始め、事態を重く見た防衛軍の司令官のペパー将軍が雇われ遊撃隊スターフォックスにアンドルフの打倒を依頼するところからゲームがスタートします。
主人公にしてスターフォックスの若きリーダーであるフォックスが激闘を潜り抜けて惑星ベノムにたどりつくと、スターフォックスの前リーダーにしてフォックスの父でもあるジェームズを裏切り、壮絶な最期を遂げさせたとされるピグマが所属するアンドルフ親衛隊スターウルフとの4対4のドッグファイトが展開。
それを撃破すると、フォックスが単身でベノム最奥の軍事施設に突入。自らの体をバイオウェポンに改造したアンドルフとの最後の戦いが始まります。
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ついには人の姿すら捨て、巨大な脳と眼球のみとなっていたアンドルフ(本記事冒頭の画面写真がアンドルフです)を撃破して父の仇との因縁の戦いに勝利すると、アンドルフはフォックスを道連れにすべく施設を爆破。崩落に巻き込まれて絶体絶命となった彼の前に、なんと死んだはずの父ジェームズが現れ、フォックスは亡き父に導かれるようにして脱出に成功します。
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しかし、自分の生還を喜ぶ仲間たちの声をよそに慌てて周囲を見渡しても父の姿は最早どこにも見えず…あれは本当に父だったのか? それとも死に瀕した自分が見た幻だったのだろうか? 一抹の疑問を残しつつ、「父親超え」を果たした青年の物語はハッピーエンドを迎えます。
ボイスがプレイヤーにもたらす2つのメリット
筆者は「ゲームにボイスを付ける、ゲームならではのメリット」は2つあると考えています。一つは本作のように「プレイの手を止めさせず、かつプレイヤーに負担をかけずにストーリーテリングできる」こと。
『エースコンバット』シリーズや『地球防衛軍』シリーズなどにも言えることですが、通信などを介してリアルタイムによるストーリーテリングをしたいとき、それをすべてテキストで読ませるのはプレイヤーに大きな負担がかかります。ボイスであれば、目は画面の情報(敵の動きや敵弾など)を追いながら耳でストーリーも楽しめるというわけです。
二つ目は「プレイヤーに声でヒントや現状の情報を与えられる」ことです。本作では、背後や上部など、プレイヤーの視界の外から敵が来るとき、仲間が通信で警告してくれます。
こうした演出はRPGなどでも活用されており、たとえば「仲間キャラが戦闘中に技名を叫ぶ」のもこのためだと思っています。仲間が技名を叫ぶ声からは「やられずに戦闘を継続している」ことや「まさに今特定の技を発動した」ことなどの情報を得られます。
『スターフォックス64』は前述した通り、任天堂としては初の「フルボイスで物語が進行する」タイトルでしたが、ボイスを使う意味やメリットを存分に活かしていた作品だったと思っています。
筆者はスターフォックスの一員であるペッピーがお気に入りです。彼はプレイ序盤、まだ未熟なフォックスに「決してあきらめるな、自分の感覚を信じろ」と激励してくれるのですが、アンドルフを倒して惑星ベノムを脱出するクライマックスまでゲームを進めると、それはフォックスの父・ジェームズの言葉をそのまま引用していたことが分かります。
因縁の相手との対決、勝利を経て描かれる父親超えの物語。本作はキャラが動物を擬人化した姿で描かれていてカートゥーンやクレイアニメのような趣がありますが、ストーリーはとても骨太でした。
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