迷い猫が廃墟と化した都市からの脱出を目指す、PS5/PS4向けADV『Stray』が7月19日に発売されました。(Steam版は7月20日発売)
プレイヤーはマイキャラクターの猫を操作し、三人視点で奇妙な町を探索。街並みは精緻に描かれており、その描写の細かさが人気の絶えた不気味な雰囲気を色濃く醸し出しています。また随所には、猫好きならば見逃せないアクションや仕草の数々が盛り込まれており、そうした点でも注目を集めている模様です。
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◆猫ゲー『Stray』で、「爪とぎ」が体験できる!
猫のアクションといえば、代表的なのが「爪とぎ」。古くなった爪を剥がすための動作ですが、こうした必要性だけでなく、気持ちいいので爪を研いでいるようにも見えます。そして家猫だと、爪とぎ用のダンボールや柱などを用意しているのに、構うことなく壁や床で爪を研ぐ場合が少なくありません。
壁や床で爪を研ぐたびに叱っても、時間が経てば同じ場所で爪を研がれることもしばしば。叱られてもやめられないほどの気持ちよさが、そこに秘められているのでしょうか。
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筆者が飼っている家猫は、幸い壁などは用いず、立てかけたダンボールの側面で爪を研いでいます。割とこまめに手入れを欠かさないので、その姿を見るたびに「そんなに気持ちいいのかな」とつい想像するばかりです。
そんな、人類には知る術のなかった「猫の爪とぎ」ですが、その感触をPS5版『Stray』で味わうことができるのです。残念ながらどこでも爪とぎが出来るわけではありませんが、猫たちが日常的に体験しているあの行為を人の身でも味わえるなんて、まさに夢のような話です。
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さっそくPS5版で遊んでみたところ、開始からほどなくして早速爪とぎスポットを発見。仲間の猫が1本の樹に近づき、バリバリと爪を立てています。これはと思い、マイキャラ(猫)を近づけてみると……。
マイ猫が立ち上がって、爪を立てる仕草に! その両隣には、操作を示すL2とR2の表示も! そこで恐る恐る、ボタンを押してみました。
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しかしその第一印象は、「……あれ?」と拍子の抜けた声が思わず出てしまいます。状況に合わせて抵抗力が増す「アダプティブトリガー」の効果で、指に重みは感じましたが、画面上の猫もわずかに手を動かしただけで、期待していた動きや手応えではありません。
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ですがこれは、操作する側の問題でした。L2やR2を1回押したくらいでは、気持ちよくシャーと爪は研ぎません。実際の猫を振り返ってみれば、その全身を使って全霊で爪とぎに打ち込みます。体勢にもよりますが、体全体に力を込めた運動でした。
そんな全身運動をボタン1回押す程度で得ようとするなんて、ゲームといえども軽視をしすぎ。こちらも、指先を駆使して二の腕に力を漲らせる勢いで行うべきでした。
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◆全力で「爪とぎ」に挑戦!
「うらあぁぁぁぁ!」と全力で挑んだところ、L2・R2の連打に合わせてマイ猫も爪とぎの鬼に。アダプティブトリガーからの反応もダイレクトで、その手応えが画面の動きと相まって「初めての爪とぎ体験」が手のひらに刻まれていきます。
その心地よさを文字で表現するのは難しめですが、マッサージ機による振動のような連想しやすいものとは少し異なり「能動的な動きによって生まれる手応えの反動」が新鮮で、妙にクセになる感触でした。
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L2・R2の連打はそれなりに疲れるので、長時間行うことはできません。しかし、一度止めた後も、「……移動する前に、もう1回やろうかな」とつい思ってしまう魅力があります。
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しかも爪とぎは、先々の場面でも実行可能。部屋に敷かれたカーペットの上では、マイ猫が身体を逆Uの字に構えて全力で打ち込むので、そちらも必見です。もちろんここでも、PS5版ならではのアダプティブトリガーによる手応えが得られるので、素通りできるはずもなく、爪とぎを堪能してしまいます。
爪とぎポイントを見つけたら、1度はやりたくなる気持ちに駆られますが、もしかしたら多くの猫たちも、そんな気持ちで爪とぎに励んでいるのかもしれません。壁や床での爪とぎは問題ですが、『Stray』を遊ぶと猫たちの気持ちが分かり、爪とぎにもちょっとだけ理解が生まれる……かもしれません。
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そして爪とぎを体験した人類のひとりとしては、「決められた場所なら、怒られないからね!」と、猫たちに力強く伝えていきたい所存です。