新潟県民のソウルフードとして、地元の人々に愛され続けている氷菓「もも太郎」。県外の人にとってはあまり馴染みがない一方で、県内のスーパーやコンビニなどでは広く取り扱われており、夏に食す代表的なアイスとして親しまれています。
この「もも太郎」を作っている株式会社「セイヒョー」のCM映像が、大きな注目を集めました。
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同社の公式TwitterおよびYouTubeチャンネルに公開された映像は、まず女子学生が冒頭で触れた「もも太郎」を美味しそうに齧る場面から始まります。しかし一口味わった後、男子学生とぶつかってしまい、女子学生は尻もちをついてしまいました。
前方不注意なのはお互い様ですが、このハプニングの相手はなんと財閥の跡取り息子。しかも、「俺様の前に立つとは何事だ!?」と俺様系男子満点の発言で相手を一刀両断します。
しかし、そんな肩書に負ける彼女ではありません。「あんたがぶつかってきたんでしょ!」と全く物怖じせずに反撃。その反応に興味をそそられたのか、跡取り息子は「お前、今日から俺の召使いな」と、理不尽な要求を突きつけました。
その強引すぎる物言いに、「な、何言ってんの!?」と突っぱねるものの、一瞬胸がときめいてしまい……といった、少女漫画や乙女ゲーの定番的な展開が、映像でテンポ良く綴られていきます。
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ですが、この映像で目を引くのは、登場人物たちの世代。学生服に身を包んでいますが、見た目から推察するに、いずれも還暦を超えているものと思われます。このコテコテなイベント展開に、六十路超えと思わしきキャストを当てはめる刺激的な演出。この意外性満点のコラボレーションに多くの方が反応し、話題となりました。
この映像が投稿されたのは11月16日の夜ですが、それからわずか半日ちょっとで、「いいね」はなんと30万件超え(11月17日 13時20分時点)。Twitter上の動画再生数は620万回を突破する勢いを見せています。
しかもこの映像は、ただ年齢のギャップを取り入れただけではありません。暴言に反発する女子学生の顔を思い切り掴む場面もありますが、可愛さが肝心なヒロインの顔を敢えて崩させるのは、最近の漫画やゲームでよく見かける手法。パーツをただ当てはめるだけでなく、しっかりと今の時流を取り込むセンスの鋭さも感じさせます。
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また、この様子を眺めている謎めいた学生たち(前述のふたりと同年代)もおり、そのひとりが「オモシレーオンナ」と、ここでも聞き馴染みのあるフレーズを呟きます。こういった徹底したこだわりぶりも、Twitter上で大きく広がる一因となったのでしょう。
ちなみに、ぶつかってきた男子学生は「佐渡塩キャラメル」で、彼女たちを眺めていた面々はそれぞれ「牛乳バニラ」「越後姫」「村上緑茶」「ル レクチエ」……いずれも、同社が発売しているアイスクリームやシャーベットと同じ名前ばかり。つまりこの映像は、アイスを擬人化したCMだったのです。
見た目のギャップに一瞬驚きますが、青春は10代だけの特権ではありません。同社が以前公開した映像にある通り、「あの頃と変わらぬ青春」はあらゆる世代に訪れます。その青春を味わうか、気づかずに溶かしてしまうかは、自分次第なのでしょう。
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映像で擬人化された「佐渡塩キャラメル」などのアイスは、セイヒョーのオンラインショップで購入可能。強引すぎる男子学生に「とぅんく」する映像に惹かれた方は、“甘い青春”に舌鼓を打つのも一興ですよ。