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ポケモンの多くは、実際に存在する生き物がモチーフになっています。一方でポケモン由来の名前が、現実世界で発見された新種のネーミングに逆輸入されるケースもチラホラ。直近では、“えんびポケモン”フェローチェを巡る話題が大きな注目を集めていました。
◆フェローチェの名が冠されたのは新種の…
発端となったのは、シンガポールの日刊紙「The Straits Times」が3月8日にウェブ上で報じたニュース。なんと同地で発見された新種のゴキブリが、フェローチェの英名である「Pheromosa」にちなんだ“Nocticola pheromosa”と命名されたというのです。
発見者のFoo Maosheng氏によれば、長い触覚や全身を覆うほどの巨大な羽、そして細長い足といった点がフェローチェと一致しているのだそう。さらに同氏と共同研究者が『ポケットモンスター』シリーズのファンということもあって、ゴキブリにインスパイアされたポケモンの名前をつけるに至ったといいます。
フェローチェのデザインを巡っては、以前からゴキブリがモチーフになっているのではないかと囁かれてきたため、SNS上では「フェローチェ奇麗なゴキブリだと思ってたけどほんとにゴキブリになった」「フェローチェいつの間にか公認ゴキブリになってた」などの驚きの声が続出していました。
◆意外に存在するポケモン由来の生物や物質
実は今回の事例以外にも、ポケモン由来のネーミングが新種の生物や物質に与えられるケースが存在します。たとえば、2021年にオーストラリアで3種の昆虫が発見された際には、それぞれに「Binburrum articuno」、「Binburrum moltres」、「Binburrum zapdos」の名がつけられました。
実はこれらの名前は、伝説のポケモンであるフリーザー(Articuno)、ファイヤー(Moltres)、サンダー(Zapdos)の英名が元ネタ。見た目はお世辞にも似ているとはいえないのですが、発見者の1人であるYun Hsiao氏いわく新種の希少性がネーミングの理由になっているとのことでした。
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また、2008年に大阪バイオサイエンス研究所(現在は解散)より報告された動体視力をつかさどるタンパク質「ピカチュリン」は、読んで字のごとくピカチュウが由来です。目に受けた光の刺激を電気信号で脳へ伝える際に重要な働きをすることから、この光や電気といったキーワードにちなんで「ピカチュリン」と命名されました。
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ほかにも“寄生形態がモンスターボールで暮らすポケモンの様子に似ている”との理由で、ドイツのケルン大学で発見された新種のバクテリアが「ポケモナス」と命名されています。
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こうしたネーミング事例は、『ポケットモンスター』のファンが世界中に存在しているからこそ起こりうるのでしょう。もしかしたら、今後も新種の生物や物質がポケモンの名前を冠すことがあるかもしれませんね。