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以前インサイドでご紹介したシミュレーションRPG『銀河境界線(GALAXY FANTASY)』。本作はEtherous Gamesが開発した遥か遠未来の壮大な銀河系を舞台としたスペースオペラ作品です。
今年の7月下旬からbilibiliとTapTapにてパブリックテストが開催されている本作ですが、登場から約2ヶ月の時を経て、“ゲームバランスが少しずつ改善されてきている”旨の好評なユーザーレビューを見かけることが増えてきました。
配信当初はバトル難易度がかなり高かったようで、荒れているコメントも複数見かけましたが、現在は以前に比べるとかなり落ち着いてきている様子です。
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そこで今回は、かねてより遊ぶ機会を伺っていた『銀河境界線(GALAXY FANTASY)』をプレイしてみました。
◆ 異種族混成の特殊部隊をまとめあげる指揮官として着任!意外にミリタリー色が強いかも?
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物語冒頭過酷な戦いによって部下たちを失い、およそ3年ぶりに睡眠状態から目覚めた主人公は、複数の種族と帝国内の勢力によって構成された「第四作戦隊」の指揮官に任命されます。
その目的は種族の垣根を超えた共通の敵である、機械生命体「ゼノワーム」を打倒することにあります。
※過去記事では英語読みの「プロティアン(Protean)」としていましたが、作中における日本語読みの名称では「ゼノワーム」が正しいようです(ゲーム内の日本語音声にて確認済み)。
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戦いの感覚をとり戻すために模擬戦中だった主人公たちですが、小惑星エアーズに向けた大規模なプロティアンの動きを観測して、すぐさま作戦行動へと移ることになります。物語はここから本格的に動き始めていきます。
主人公の指揮によって襲撃してきたゼノワームたちを一時的に退けますが、エアーズのエリアは複数に分断されており、さらにゼノワームの戦力も短時間で大きく拡大してきている事実が明らかとなります。
このままでは仲間たちが防衛にあたる軌道エレベーターに敵が集中してしまうことに......。
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ゼノワームは帝国と長年にわたって戦い続けてきましたが、人類を襲う目的や意図は未だに不明です。ただ1つ帝国内で大きく周知されているその特性が“高い学習能力を備えた生命体”という点です。
主人公はエアーズ内各エリアに不均一に分散した敵戦力が、ゼノワーム側の意図した作戦であると見抜きます。
早速機動力に優れている他の地上部隊に指示を出し、この危機を打破する対策を考案。こうして物語の序章は佳境へと突入していきました。
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筆者はシナリオテキストを機械翻訳しながら読んできましたが、少なくともここまでの序章はかなりミリタリー色の濃い作風だと感じられました。
帝国内の組織構成から覗ける妙に不穏な空気感、膨大な物量で押し寄せるゼノワームの脅威、一筋縄では行かなそうな各部隊の個性派メンバーたち。ローカライズの品質にもよるのでしょうが、もしも今後日本で展開された場合には読み応えたっぷりなタイトルになりそうです。
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◆ 使えるものは何でも使う!手堅いつくりのシミュレーションバトル
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ゲームをプレイしたbilibiliユーザーたちのコメントの中に、『ファイアーエムブレム(FE)』シリーズを思い起こすといった意見がちらほらと挙がっていましたのを過去に見かけました。
筆者としては手に取ってみるまで、一般的なシミュレーションRPGと大差なさそうに考えていたものです。しかし、実際に触れてみるとその意味がほんの少しだけ分かる気もします。
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バトルはデフォルメされたキャラクターたちを動かして、敵を殲滅するオーソドックスなターン制のシミュレーションRPG。
それぞれにロールが備わり、盾役で足止めをしながら射撃系ユニットで後方支援、近接系ユニットで討ち漏らした敵や前線の敵を削る遊撃役に回るなど、スマートフォンゲームにしては本格的でした。
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攻撃を仕掛けるとバトルの演出が挿入されます。この辺りもなんだか『FE』っぽいと言えば『FE』っぽいのですが、そういった演出の入るタイトルは『FE』 に限らず他にもたくさん存在しているというものです。
序章を遊び切ってから感じた『FE』らしい点と言えば、敵の攻勢のイヤらしさくらいでしょうか。本作はゲーム序盤から敵に囲まれた配置のマップが多く、育て上げたユニットを孤立させてしまうと救出は絶望的な状況になります。
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つまり、ユニット間であまり距離を取らず、部隊としてのまとまった行動を意識するのが攻略のポイントになっているのです。
とはいえ、今回プレイした序章では初回レベルキャップの最大値までユニットを育成しておけば、単騎無双とまではいきませんが攻略自体は楽でした。
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基本的にはマップ内にあるドラム缶を誘爆させたり、バフ効果の掛かる特殊なマスを活用するメリットが強く、バトルに使える物は何でも利用していくスタイルです。
そのようにオブジェクトの活用を前提にしたゲームバランスで敵ユニットの能力が調整されていれば、それは“手強いシミュレーション”になり得ているのかもしれません。
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調べてみると、どうやら難易度が上昇するのは現在実装されている5、6章あたりからのようです。そのため、今回のプレイ範囲では『FE』 シリーズに挙げられるほど歯応えのあるバトルが体験できませんでした。
しかし、序章から敵ユニットの配置パターンが相当練られているようには感じられます。また、敵のヘイト(狙い)や攻撃開始前のステータス表記、攻撃範囲が見られる危険エリアといった細部のシステムは確かに『FE』っぽいです。
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2023年9月27日にバージョン1.2がリリースされた本作。しかしその日は人気作『原神』の大型アップデートが実施された日でもあります。
残念ながら現在は本国のユーザーたちの興味が『原神』を筆頭とした他のタイトルに集中している様子です。本作もゲーム自体は悪くないのですが、他のタイトルと比較すると、少々インパクトに欠けるようなところは否めません。
『銀河境界線(GALAXY FANTASY)』が今後どのようにして本国で話題となるのか、その展開には目を光らせておくことにしましょう。