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AAAタイトルの「コンソール独占」の時代は終焉へ?―Moon StudiosのCEOが独自の見解を披露

「MicrosoftやSIEのAAAタイトルがリスク軽減のためマルチプラットフォーム展開する日が来ても驚かない」と持論を展開しました。

ゲーム ニュース

『オリとくらやみの森』で知られるオーストリアのゲームスタジオ Moon Studiosの共同設立者 兼 CEOであるThomas Mahler氏が、自身のXアカウントでAAAゲーム開発の現状についての考えを語りました。

昨今のレイオフは「欲張りすぎた」企業の軌道修正

Mahler氏はレイオフが吹き荒れるゲーム業界の現状を、コロナ禍のステイホームで一時的に増えたに過ぎないビデオゲームへの需要を「なぜか新たなスタンダードになると考え方が生まれた」からであると指摘。

コロナ禍が落ち着きを見せて人々が再び出社や外出をするようになって需要が正常に戻ったことで「欲張りすぎた」企業が軌道修正を迫られているのだとしました。

そしてAAAタイトルの開発費は通常でも1億~3億ドル、『Grand Theft Auto VI』のような超大作であればさらにその数倍かかると言及し、「AAAタイトルを制作する大手スタジオは、期待したほどの数が売れなかった時に倒産するか、できるだけ多くの人にゲームを販売することでリスクを減らすかの決断を迫られるターニングポイントに来ている」としました。

MSやSIEタイトルもマルチプラットフォーム展開するのが理に適っている

ここでいう「リスクを減らす決断」とはMicrosoftのフラッグシップタイトルがPlayStationに展開されたり、反対にSIEのフラッグシップタイトルがXboxに展開されたりすることを指しており、Mahler氏は「(倒産のリスクを背負うよりもプラットフォームの垣根をなくす方が)ビジネスとして理にかなっているので、そういう未来がくると考えている」と続けました。

さらに、任天堂は現状でもファーストパーティータイトルをマルチプラットフォーム展開せずに成功させていることから「現状のビジネスモデルを変更する理由がないので、際立った存在感を見せる唯一の企業になるだろう」と独自の見解を語りました。

急がれる開発コストの削減や新たな収益の確立

去る2023年12月、ソニー傘下のゲームスタジオであるInsomniac Gamesがハッキングの被害を受け、同社の大ヒットAAAタイトル『Marvel's Spider-Man 2』が3億ドルもの巨費を投じて制作されたことが明るみになりました。それを受け、ForbesはAAAタイトルが持続不可能なところまで来ていると警鐘を鳴らしています。

AAAタイトルの開発費は上がる一方で、各社は生成AIの活用にコスト削減の活路を見出そうとしたり、ライブサービスゲームの展開で収益の柱を増やそうとしたりなど、さまざまな打開策を練っています。







しかし、生成AIには法などによる規制を求める声が、ライブサービスゲームの氾濫にはプレイヤーに倦怠感が生まれやすいという課題があり、どちらも即座に事態を打開する一手とはなっていません。AAAスタジオやSIE、Microsoftが今後どのような決断をくだすか、注視する必要がありそうです。

《蚩尤》
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