ゲームで何かを購入しようとしている時、ふと「これって日本円だったらいくらぐらいの価値なのだろう?」と疑問に思ったことはないでしょうか。筆者は最近、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に登場する「馬宿」という宿に泊まるさい、同様のことを考えました。
馬宿の利用は1回20ルピー。つまり、馬宿では「1晩の寝床を提供するサービス」は20ルピーと同じ価値を持っているということです。けど、それって高いの?安いの?
あえて、さまざまなモノの価値を日本円でとらえることで、その世界をより身近なものに感じられるかも。ということで、本記事ではいろんなゲームの通貨を日本円にして考えてみます。
◆『ゼルダの伝説』シリーズ:「ルピー」
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『ブレス オブ ザ ワイルド』および『ティアーズ オブ ザ キングダム』の世界には、あちこちに点在する宿泊施設として「馬宿」というものがあります。馬を駆って旅をする人々が多いこの世界では、重宝されている施設なのでしょう。
『ブレス オブ ザ ワイルド』では、馬宿で一泊するための料金は、ふつうのベッドで20ルピー。最大体力を超えて回復できる「ふかふかのベッド」なら40ルピーです。『ティアーズ オブ ザ キングダム』では、ふかふかのベッドが「マーロンベッド」へと置き換わり、50ルピーへと値上げ。ふかふかのベッドと同様の効果に加えて、馬の神マーロンからの御神託が得られるという怪しい効果が追加されました。
馬宿は基本的に“泊まるだけ”の施設なので、朝食や夕食が出るといったこともなく、ベッドが一つ貸し出されるだけという点をみてもカプセルホテルに近いような印象です。国内ではカプセルホテルはだいたい3,000~4,000円ほどで泊まれるようなので、20ルピーから50ルピーで泊まれる馬宿と照らし合わせると、1ルピー=100円ほどと考えるのが妥当でしょうか。
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1ルピー100円の換算で店売りのアイテムの価格もみてみます。矢は1本あたり6ルピーなので、日本円にすると1本600円ほどでしょうか。消耗品なので少し高いようにも思えますが、1本1本手で生産されているであろう兵装と考えればむしろ安すぎるくらいかもしれません。
数本の稲をまとめたような見た目の「ハイラル米」が1個あたり12ルピーで売っていますが、鍋で料理をするさい、1個のハイラル米を消費することを考えると、米だけで1食あたり1200円近くの食費がかかることになります。監視砦で売られていた「リンゴ」も1個あたりおなじく12ルピーと、この世界の食品の物価はかなり高そう。とはいえ、自然豊かなハイラルでは果物やジビエを確保するのは容易ですから、魔物をいなせる自信さえあれば、ルピーがなくても食べていけるのかもしれません。
◆『ドラゴンクエスト』シリーズ:「ゴールド」
『ドラゴンクエスト』のシリーズゲームデザイナーである堀井雄二氏は、1996年の「週刊ファミ通」インタビューにて「1ゴールドは100円くらい」と答えているそうです。そのため、今回は1ゴールド=100円を前提に、シリーズで一番身近な回復アイテムである「やくそう」の価格を見てみます。
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リメイクが間近に控える『ドラゴンクエスト3』のやくそうは、最初の城下町にて8G(ゴールド)で売られています。日本円にすると800円ということになります。
やくそうは、傷を癒せるという点から考えるに、医薬品と同等の価値がありそうです。瞬時に傷を癒せることからかなり効能は高そうですね。日本のどうぐ屋(ドラッグストア)で買えそうな、瞬時に体力を回復してくれそうなアイテムといえば……栄養ドリンクでしょうか。栄養ドリンクはドラッグストアでは200円ほどで買えるものが多いですが、配合されている成分によっては500円から数千円になるものもあります。
『ドラゴンクエスト3』の最初の城下町周辺では、1回の戦闘で6~10ゴールドほど手に入るため、だいたい戦闘1回につき1つのやくそうが購入できる計算です。もちろん、ゲームが進めば1度にもっとたくさんのゴールドが手に入るようになり、8Gはすずめの涙ほどの価値しかなくなります。その上、やくそうはそのへんのタルやツボの中に入っていることも多く、当然ゲームが進めばやくそうの回復量では足りなくなります。そう考えるとやくそうの価値は相当低いようにも感じます。
ですが、あくまでこれは魔物をバンバン倒せる冒険者の視点。魔物を恐れて暮らす、一般市民からすれば、確かに800円でやくそうが買えるのはありがたい。いくつか買っておいて、家の“タル”や“ツボ”に保管しておきたいところです。
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一方、初代『ドラゴンクエスト』ではやくそうはなんと24Gと、2,400円に相当します。しかも、最初の街周辺の敵を倒しても1回の戦闘につき1G~3G程度しかもらえません。本作は『ドラゴンクエスト3』と比べるとかなり切迫した世界情勢であるため、医薬品の価値が高まっていると考えることもできそうです。
ちなみに『ドラゴンクエスト2』では15Gと、もう少し安くなっています。最終的に『ドラゴンクエスト3』以降は8Gが基本となったようです。
◆『スプラトゥーン』シリーズ:「ゲソ」
『スプラトゥーン』シリーズの通貨は「ゲソ」です。「G」と書かれたような見た目のコインがアイコンになっているので、「ゴールド」だと思っていた人も多いかも?そんなゲソの価値ですが、これは明確に1ゲソ=1円と考えてよいと思います。
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『スプラトゥーン3』に登場する「ザッカ屋」には、任天堂作品をモチーフにしたゲームソフトが販売されています。たとえば、「スーパーイカタコング」という名称のザッカは、パッケージのデザインをみても『スーパードンキーコング』が元ネタなのは明らかです。そんな「スーパーイカタコング」の値段は9,800ゲソとなっています。これは、『スーパードンキーコング』の定価9,800円に合わせているものと思われます。
ちなみに、『どうぶつの森』シリーズの「ベル」も1ベル=1円だと考えられます。最新作『あつまれ どうぶつの森』では、「Nintendo Switch」が29,980ベルで売られていますが、これはニンテンドースイッチの税抜き価格と同じ。つまり、この世界には消費税がないのか……。
ゲームのアイテムの価値は、あくまでゲームの体験のために決まることが大半だと思います。リターン(効果)に対するリスク(価格)のデザインであり、その世界の文化を描くという役割は二の次かもしれません。けれど、それでもある程度はその世界を描くうえで違和感のない範囲に収めようという努力があるはず。
今回紹介した以外にも、「ゼニー」や「ギル」、「ギタン」など、ゲームの世界にはさまざまな通貨が登場します。みなさんも自分の好きなゲームの通貨を日本円にしてその世界に思いを馳せてみてください。