■“共闘”を求めるユーザーの心に「茨」を打ち込んだ『フリーダムウォーズ』
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『フリーダムウォーズ』が当時話題となったのは、他の追従を許さないほどの過酷な世界観と、そこから生まれる物語がどのように展開し、いかなる結末に辿り着くのか──そうしたストーリーへの期待が、大きな要因となりました。
しかし、それだけが理由の全てではありません。本作のゲームジャンルは、いわゆる「TPS視点のアクション」ですが、他の作品にはない独自性として、「茨」と呼ばれるワイヤー状の装備を駆使する高速移動により、立体的な移動や多角的な攻撃を可能としました。
また、当時は“共闘(マルチプレイ)”できるゲームが話題になっており、『GOD EATER 2』や『SOUL SACRIFICE』、『討鬼伝』なども注目を集めていました。
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PS Vitaの前世代機「PlayStation Portable」では、『モンスターハンター』のポータブルシリーズが人気を博し、多くのユーザーはPS Vitaへの進出を待ち望みました。ですが、携帯ゲーム機向けの『モンハン』はニンテンドー3DSへと移り、PS Vitaユーザーは『モンハン』以外の共闘ゲームを強く求めていました。
そうした時代に登場した『フリーダムウォーズ』は、協力プレイ時は最大4人、対戦時は最大8人のマルチプレイを提供。さらに、47都道府県別で貢献度を競い合うという、ユニークなランキングバトル「都市国家対戦」を展開するなど、共闘ゲームとしての独自性も打ち出し、唯一無二の存在として確立します。
■問題点も抱えていたからこそ、リマスターで高まる期待
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個性的で関心を引く世界観、「茨」による立体的な機動、共闘ゲームとしての広がりと、『フリーダムウォーズ』は様々な魅力を備えていました。しかし本作は、全面的に手放しで褒められるゲームとは決して言えません。
従来のTPSアクションに、「茨」という独自性が加わったため、操作の一部が煩雑となりました。そのため操作には慣れや習熟が求められ、誰でも快適に遊べるシステムではありません。せめてL、Rボタンが、現行機のように2つずつあれば、快適さは大きく変わったことでしょう。
また、特徴的な世界観や、先が気になる物語の構築に成功した一方、その結末は物足りず、未消化の伏線も残った幕切れを迎えました。当時、ストーリーを追加した完全版のリリースを望む声も多かったものの、その望みも叶うことなく、潰えてしまいます。
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このように、『フリーダムウォーズ』は残念な点や心残りもあった作品でした。しかし、ただ評価が低いだけの作品なら、リマスター化の発表が話題になるわけがありません。
過酷極まる世界観、「茨」による戦闘、ユニークな共闘体験、「懲役100万年」の先に待ち受けるもの。そうした魅力と、問題点がリマスターで改善される期待が相まって、今回トレンド入りを果たすほどの盛り上がりに至ったのです。