実在する競走馬の名前と魂を受け継ぐ「ウマ娘」たちが、仲間やトレーナーたちと学園生活を送りながら<トゥインクル・シリーズ>制覇を目指す『ウマ娘 プリティーダービー』。そのアニメ第4期の制作が期待される中、ファンの間では次の主人公が誰になるのかという予想が盛り上がっています。
これまでのシーズンでは、実在の名馬たちをモデルにしたキャラクターが熱いドラマを繰り広げてきましたが、次に注目されるのは誰なのでしょうか?本記事では15年以上にわたって競馬好きの筆者が、過去シーズンの傾向や競馬史を参考にしながら、4期の主人公候補を予想していきたいと思います。
なお内容の都合上、アニメ『ウマ娘』1~3期の内容に触れます。ネタバレにご注意ください。
◆これまでの主人公とストーリーについて
これまでに放送されたシーズンの主人公について、史実とストーリーをそれぞれ簡潔に説明していきます。
■Season 1
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アニメ1期の主人公はスペシャルウィーク。そのモデルは90年代後半に活躍した競走馬で、ハイレベルとされる世代のライバル馬たちを相手に日本ダービー、天皇賞・春、天皇賞・秋、ジャパンカップと4つのGIを制した名馬です。
アニメ1期のストーリーでは、東京のトレセン学園にやってきたスペシャルウィークが、「チームスピカ」(以下、「スピカ」)に加入。憧れでありチームメイトでもある、サイレンススズカをはじめとしたチームメイト達に支えられ、また同期のライバル達と切磋琢磨し合いながら、目標である日本一のウマ娘を目指すストーリーが描かれました。
■Season 2
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アニメ2期の主人公はトウカイテイオー。 史実では日本競馬史上初となる、無敗の三冠馬“皇帝“シンボリルドルフを父に持ち、本馬もその才能を受け継いで無敗の二冠を達成しました。その他にもジャパンカップ、怪我から1年ぶりの復帰戦となった有馬記念を制し、奇跡の復活を果たした名馬です。
アニメ2期では、憧れのシンボリルドルフと同じ無敗の三冠ウマ娘を目標とするトウカイテイオーが、度重なる怪我やライバルのメジロマックイーンに敗北するなどの挫折を経験しながらも、有馬記念で奇跡の復活を遂げるというストーリーが多くのファンに感動を与えました。
■Season 3
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アニメ3期の主人公はキタサンブラック。キタサンブラックは史実にて、同世代にドゥラメンテという強力なライバルがいたこともあり、3歳時の皐月賞、日本ダービーは敗れてしまいます。しかし秋に才能が開花し、GI菊花賞を勝利。翌年以降もその実力を遺憾なく発揮して、最終的にはGIを7勝するという偉業を成し遂げました。
アニメ3期では、トレセン学園に入学したキタサンブラックが、同期の強力なライバルや、幼馴染で親友のサトノダイヤモンドとGIを競い合います。途中、自身がピークアウトしていることに気づき、能力の衰えと戦いながらも自身の夢に向かっていくという姿も衝撃的でした。
◆歴代主人公にはいくつかの共通点が?
■史実の戦績から見る共通点
4期の主人公を予想するうえで、これまで主人公をつとめてきた「スペシャルウィーク」「トウカイテイオー」「キタサンブラック」の共通点を探してみましょう。
歴代主人公の3人は史実ではいずれも栗東所属の馬であり、芝で活躍した牡馬でした。戦績に関しては、現役時代にはクラシックに出走し、いずれかのレースを勝利していました。その後は古馬まで現役を続けて、ジャパンカップを勝利、いずれも有馬記念で引退しています。
ストーリー的には古馬時代もGIを勝っている馬の方が、ストーリーにしやすいのかもしれません。ただ、スペシャルウィークの有馬記念や、キタサンブラックのジャパンカップは話の冒頭で簡単に触れられる程度であり、トウカイテイオーのジャパンカップに関しては完全にカットされているため、戦績に関してはたまたま共通点があっただけで、あまり気にする必要がない可能性もあります。
■同期や同時期のライバルがウマ娘化している
史実を再現する以上、ライバルの登場は必須条件と言えます。もし、同世代のライバルが1人もウマ娘化されていないということになると、主人公がいわゆる“モブウマ娘”たちと熱い戦いを繰り広げることになっていしまいますからね。
ただ、3期では同期のGI馬リアルスティールや、宝塚記念でキタサンブラック、ドゥラメンテの2人を同時に破ったマリアライトといったGI馬たちがモブウマ娘として登場していたので、全員とは言わずある程度の人数がいれば、候補に入れても問題ないと思われます。
■全員が「スピカ」所属のウマ娘
歴代主人公たちは、全員が「スピカ」に所属しており、アニメも「スピカ」を中心に展開しました。3期終了時点の「スピカ」でメインキャラになっていないのは、ウオッカ、ダイワスカーレット、ゴールドシップの3人です。
その中でもゴールドシップは、3期の有馬記念でトゥインクルシリーズのラストランが描かれていましたが、ウオッカとダイワスカーレットに関しては、1期の最終話や本人たちの口から対戦成績が語られる程度で具体的なレース描写はまだありません。
「スピカ」に限定すると現状ではかなり絞られることになりますが、サイレンススズカのように移籍したり、トウカイテイオーやキタサンブラックのように新規加入からの主人公というパターンはあり得ると考えています。
■憧れのウマ娘がいる
歴代主人公には憧れのウマ娘がいました。スペシャルウィークはサイレンススズカに、トウカイテイオーはシンボリルドルフに、キタサンブラックはトウカイテイオーにそれぞれ憧れていました。
主人公と憧れのウマ娘の関係について考えてみたところ、1期はそれぞれサンデーサイレンスの仔という共通点がありました。2期に関してはトウカイテイオーの父がシンボリルドルフというように、血縁関係が見られていました。しかし、3期のキタサンブラックとトウカイテイオーには血縁関係はありません。強いて言うなら牝系にノーザンダンサーの血が入っているという点くらいでしょう。
ですが、アニメを見ているとダービーのドゥラメンテを、憧れのトウカイテイオーと重ねているような描写がありました。この2頭は史実でも二冠馬であり、その後の菊花賞は怪我で出走できなかった点や、特徴的な歩き方、トウカイテイオーは“皇帝“シンボリルドルフが父、ドゥラメンテは“女帝“エアグルーヴが祖母だったところが共通しています。(アニメではドゥラメンテがエアグルーヴのことをグル姉と呼んでおり、親交があるようでした。)
■主人公は全員明るく活発なウマ娘
歴代主人公の3人は多少の違いはあれど、全員明るく活発なウマ娘でした。これまでのアニメでは主人公を中心に、多くのウマ娘たちが活躍しました。
しかし、そうしたウマ娘たちを登場させるには主人公との関わりを描く必要があり、そうした役にはライバルとも分け隔てなく関係を築けるような性格が適任だと思います。こうした背景を踏まえると、4期も明るく活発なウマ娘が主人公になるのではないでしょうか。
◆共通点にあてはまる主人公候補
これまであげてきた「主人公3人の共通点」から、4期で主人公候補となるウマ娘をピックアップしていきます。作中のキャラクターに関しては公式サイトをご確認ください。
■ゴールドシップ
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ゴールドシップは、ウマ娘の看板キャラというのもあって説明不要な気もしますが、現役時代はクラシック二冠を含むGI6勝の名馬です。アニメでは「スピカ」所属で、既にレギュラーとして活躍。
しかし3期でラストランが描かれ、トゥインクルシリーズを引退しており、その点がどうかといったところです。
■マヤノトップガン
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マヤノトップガンは、1995年から97年にかけてGIを4勝した名馬です。現役時代には多くの強力なライバルたちと名勝負を繰り広げ、変幻自在な脚質でファンを魅了しました。
ウマ娘ではトウカイテイオーのルームメイトとして2期から登場するも、基本的には寝ている姿が見られるのみ。ライバルには同期のマーベラスサンデー、同時期ではサクラローレル、ナリタブライアン、バブルガムフェローなどがおり、いずれもウマ娘に登場しています。
■ブエナビスタ
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ブエナビスタは、2008年から11年にかけて活躍し、強力なライバルが多数いながらもGIを6勝した名馬です。
同時期のライバルではドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、トーセンジョーダンが、血縁関係では父のスペシャルウィークがウマ娘に登場。スペシャルウィークは1期の主人公ということもあり、4期でスペシャルウィークに憧れて「スピカ」に加入し、活躍する姿が描かれるというストーリーも大いにあり得そうです。
■カツラギエース
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カツラギエースは、1980年代前半に活躍した名馬で、現役時代のジャパンカップではミスターシービー、シンボリルドルフという2頭の三冠馬を抑えて逃げ切り、日本馬初のジャパンカップ制覇を成し遂げました。作中では前述の2頭もウマ娘化されており、本人はミスターシービーに憧れているとのこと。
個人的には「かなり有力」と考えたのですが、2期の描写からこの世代が活躍している頃は、トウカイテイオーがまだ子供だったこともあり、時系列的には1期よりもかなり前に当たると考えられます。それらを踏まえると、ストーリーに絡めるウマ娘が限られそうで、個人的には4期よりも『ROAD TO THE TOP』のような短編アニメの方が向いているように感じました。
■ミスターシービー
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ミスターシービーは、上記のカツラギエースと同期で史上3頭目の三冠馬になった名馬です。現役時代は三冠を達成後、天皇賞・秋の勝利などで活躍し、その後は1歳下の三冠馬シンボリルドルフと共に競馬界を盛り上げました。
ライバル関係やアニメ化への考えについてはカツラギエースで述べた通りです。
■ウオッカ
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ウオッカは、2000年代後半に長期間にかけて活躍。現役時代には早くからダイワスカーレットやアストンマーチャンら同期のライバルと激突。その中でもダイワスカーレットとの激戦の末にレコード決着となった、2008年の天皇賞・秋は名レースとして語られています。
アニメでは1期から登場している「スピカ」の初期メンバーで、チームメイトのダイワスカーレットとはやはりライバル関係にあります。父のタニノギムレットもウマ娘化していることもあって、主人公になればアニメで父子の絡みが見られるかもしれません。
■エイシンフラッシュ
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エイシンフラッシュは、2009年から13年にかけて活躍した馬で、10年の日本ダービーを制した後は勝てない時期が長く続いたものの、天覧競馬となった12年の天皇賞・秋では復活勝利を挙げ、人馬共にファンを魅了した名馬です。
アニメには登場済みで、1期の毎日王冠でサイレンススズカのライバルとして登場。OVA『BNWの誓い』にはチームWで参加していました。史実からもストーリー性は感じられますが、ローズキングダムやヴィクトワールピサなど、同期のライバルが軒並みウマ娘に未登場。また、血統面では海外色が強いこともあり、作中で「スピカ」との繋がりや憧れを見出しづらいのではないかと感じました。