■苦しい立場で示した、ユニとミハラへの対応
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マナが関わるエピソードで、もうひとつ忘れがたいものがあります。それは、「ワードレス」部隊に所属するニケ「ユニ」と「ミハラ」に関わった時のことです。
ユニとミハラは所属部隊が同じというだけでなく、一言では言い表せないほど深い絆で結ばれていました。しかしある事件の関係で、ミハラは記憶を消去され、全てを忘れてしまいます。その仕打ちが許せなかったユニは、多くの人を巻き込む犯罪に手を染め、復讐に挑みました。
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しかしユニの行動は目的を遂げることなく、今度は彼女が処罰の対象となり、非道な実験を強いられることになります。その担当となったマナは、処罰の前に一度でいいからミハラに会いたいと願うユニの言葉を聞き入れることなく、手続きを粛々と進めていました。
それでもユニは食い下がり、せめてメッセージだけでも伝えて欲しいと頼み込むと、マナは彼女が犯した罪の大きさや置かれている立場の厳しさを突きつけた上で、撮影にだけは応じました。
この時点では、ユニがメッセージを残した映像がミハラの手に渡るとは限りません。すがり続けるユニをあしらう為に映像だけ撮って、そのまま廃棄することも十分に考えられます。むしろ、マナの立場ならそれが正解でしょう。
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実際、ユニが残したメッセージを教えて欲しいとミハラが詰め寄った時も、犯罪者に関する記録は一切教えられないと拒否。そして、あの時撮影した映像は「事件に関する情報を一切含まない“無意味な”動画」と判断し、その場で廃棄しました。
映像の入ったUSBメモリは、目の前にあるゴミ箱へ。そしてマナは、ゴミを片づけるようミハラに命じます。「早く行ってください。…ゴミをこの手で片づけたくなる前に」と付け加えて。
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厳密に照らし合わせれば、マナの行動は規則に反しているはず。しかし、自分の立場も危うくなりかねない行為を、何の得もないのに行いました。規則のグレーゾーンを解釈でねじ伏せ、ユニの想いをミハラに繋げたマナの振る舞いに、冷酷な仕事人間の姿は微塵もありません。
冷静だが冷酷ではなく、規則に沿いながらも心を失わない。そうした彼女の内面に触れ、プレイヤーたちはマナへの評価を爆上げしていったのです。