■企画はどのような形で生まれたのでしょうか?
石田: 『99のなみだ』は元々磯が発案して、それを青木に相談するという形で生まれた製品です。その中で私のところに相談が来て、私がたまたまCSプロダクションという部署に異動するタイミングだったので、そのまま自分でパブリッシング・プロデューサーを引き続き担当することになりました。発案当時のエピソードは磯さんからどうぞ!
![]() インタビューは和気藹々と進行 |
最初から『99のなみだ』というタイトルはあったのですが、最初はそのくらいのぼんやりしたイメージだけでした(笑)。「泣く」というコンセプトに落ち着くのはずっと後のことです。
青木: 自分たちが凹んでたというのもありますが、世間的にちょうど「癒しブーム」の中、ただ癒されるだけじゃなくて、前向きな気持ちになれるもの、力になるようなゲームがあったらいいね、ということで意見が合いました。でも当然そんなに簡単なものではなくて(笑)。癒されるには、カウンセリング的なものなのか、日常的な運動なのか、笑いなのか、それとも日記を書くようなことなのか、色々とアイデアを出していって、「感動するとか泣くというのは、すっきりするし気持ちが切り替わるよね」、という自分たちのフィーリングから、これをテーマにすることにしました。
ただ、思い込みだけで作りたくはなかったので、早稲田大学の河合隆史先生にご協力を仰ぎ、泣くことの効能についての先行事例を伺ったり調査したりする中で、泣くというテーマにまとまっていきました。
石田: 「泣くということが良い」といくら言っても、うまく信じて貰えないんじゃないかと思いましたし、自分たちもきちんとした根拠に基づいて作りたかったので、かなり初期の段階から学術的な裏づけは求めていきました。
■200以上の泣ける物語が収録
―――物語はどのように作られていったのでしょうか?
青木: 学生さんを対象に授業の一環として公募したもの、作家さんに依頼したもの、社内公募したもの、手段も人も幅広く、全部で80人くらいの方に書いていただきました。「生きるってなんでしょう」といった深く掘り下げられるテーマを用意して、真っ向勝負で、誰かに伝えたいと思う物語を書いて下さいとお願いしました。上がってきたものは、「2〜3人が泣ければ合格」「1人だけでも号泣すれば合格」のような基準を幾つか設けて、複数の人に読んで頂いて評価しました。泣ける話、というとどうしても、偏りが出てくるので、上がってくるものを調整しながら、バリエーションを持たせていきました。
―――泣ける物語というのは法則的なものがあるのでしょうか?
青木: どんな話が泣ける話なのかは、アンケートで人が実際に泣いた話というのを収集し、自分たちでも書いてみながら物語の構造を分析し、調べました。それで、人が泣く物語というのは、こういう構造やこういう構造を持っていると言えるかもしれない・・・、というところまで研究しました。ただ、それに沿った物語なら必ず泣けるということはなく、科学的に泣ける物語を作るのというのは難しいわけです。そこで、こうした構造を一つのヒントにしながら、書き手の感性を大事にして書いていただきました。
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