岩田聡社長は海外サイトVENTUREBEATのインタビューに対し、「E3のトピックはモーションセンシングコントローラーが業界標準になったこと」であり、「ゲーム産業にはまだまだ拡大するチャンスがある」とコメント。
「ゲーム産業は5年サイクルであると言われたが、それはグラフィックのためのものであり、シリコンチップの進歩次第だった」とこれまでのゲーム機のライフサイクルを総括。
「任天堂には、いつ新しいプラットフォーム(ゲーム機)を出すかに関して異なる基準がある。テクノロジー・カンパニーはテクノロジーのロードマップに集中しハードウェアを製造する傾向があるが、それはパソコンのメーカーがPCを製造する方法を決めるやり方。任天堂と宮本茂の様な開発者は、“ユーザーに思いがけないサプライズを届ける”技術に不安がない限り、新しいハードウェアを必要としない」とゲーム機の寿命に関してこれまでとは異なった視点を提唱しています。
その上で、新たなゲーム機が登場すべきタイミングを「ユーザーが新しい何かを求めており、既存のハードウェアが必要とする者を提供できない時」と定義。それは「今から3年、もしくは5年、または8年であるかも知れない」と明言を避けています。
「新しいゲーム機を出すのであれば多分、HD対応するだろう」とするも、Wiiに関しては「現時点でHD互換にする理由が無く」、「重要なのはそれがユーザーにとって何を意味するかだ」と、HD対応を行わないとコメント。
任天堂の今後に関し「モーションセンシング技術の草分けとして任天堂がなすべきは、今から2年で新しいサプライズを作り出すこと」であるとしています。
「Wii Vitality Sensor」を発表したことについては、モーションコントロールがこれまでのようなブルーオーシャン(競争者のいない市場)ではなく、2010年はレッドオーシャン(競争の激しい市場)になるかも知れないと予想。脈拍を検知する「Wii Vitality Sensor」は次なる取り組みであり、バランスWiiボードの発表当時と同様に、これが何であるか疑問に思うのは当然だろうとの見解を明らかにしました。
また、iPhoneを新たな携帯ゲーム機とする見方に関し、「特徴はオーバーラップするかも知れないが、共通の部分は少ない」とコメント。任天堂とアップルは競争関係にないとしています。
このインタビューで興味深いのは、任天堂がモーションコントローラーの次の手を打っているということと、ゲーム機のライフサイクルに新たな基準を提唱しているということ。任天堂はモーションコントロールに関して数年のアドバンテージを持っており、現在のモーションコントロールブームの中でも地位を確立していますが、同社の行動原理は「常に新たなブルーオーシャンを求めて動く」ことにあるようです。
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