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【GDC08】スクエニ土田氏と白石氏がWiiウェアでの『クリスタルクロニクル』の開発について語る

米サンフランシスコで開催中のテレビゲーム開発者向け技術会議「GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)」で21日(現地時間)、スクウェア・エニックスの土田俊郎氏と白石史明氏が「Wiiウェアのライフサイクル『小さな王様と約束の国 ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル』研究事例」と題した講演を行い、Wiiウェアでゲームを開発する意義や企画の成り立ち、開発で得た経験などを語りました。

任天堂 Wii
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一方で白石氏もまた、サーバーエンジニアとしての日々を送りながら、自分で新しいゲーム作りに挑戦したいという思いを温めていました。そこでWiiウェアの概要を耳にすると、詳細が分からないにもかかわらず、即日で企画書を書いて、翌日に土田氏に提案しました。その際に書いた3本の企画書のうち、1本が土田氏の目に留まり、正式に開発がスタートします。2006年の9月のことで、2007年9月の配信を予定しており、当時の見積もりはプランナー1人、プログラマー2人、デザイナー5人の8人による開発という、非常に小規模なものでした。

開発工程も通常とはまったく異なるものとなりました。まず価格とゲーム容量を設定し、ビジュアル要素ではなく、ゲームのコンセプト作りを固めることから始まったのです。開発言語にもC++ではなくSquirrelと、任天堂から提供されるライブラリ「NintendoWare」が併用されました。白石氏は「スクウェア・エニックスには他人が書いたコードを使う文化はない」としつつも、「すべてを社内で揃える時代ではない」と述べ、消費メモリが増える課題はあるものの、今回のような中規模開発において、SquirrelとNintendoWareの組み合わせは適していたと語りました。作業も通常の分業体制ではなく、全員でゲームデザインをしながら、適時メニューや3Dデータを作成していくという、「みんなで考えて、みんなで作る」という物になりました。

開発スケジュール、SquirrelとNintendoWare


ただしスケジュールは当初の見積もり通りにはいかず、約17ヶ月と延びてしまいます。開発チームも最大で17名となりました。もっとも白石氏によると、これにはWiiウェアのスタートが2008年に延びた影響もあるそうです。とはいえ土田氏も、当初の「夢のような見積もり」を信頼していたわけではなく、ゲームの全体像が見えるまでグラフィックデータ作成に着手しないように釘をさしたと言います。またプロデューサーとしてリスクを最小限に抑えることに注力し、あえてオリジナルではなく「クリスタルクロニクル」のスピンオフ作品とすることで、プロトタイプの開発にゲームキューブ版のグラフィックデータを流用したり、ベテラン開発者にスーパーバイザーとして参加してもらうなどの体制作りを整えました。

土田氏は白石氏を筆頭に若手中心のチームを編成し、必要に応じてベテランをサポートとして配置することで、さまざまなメリットがあったといいます。まずゲームキューブ版のグラフィックデータを本制作にも流用することで、新規作成分のデータにおける品質管理が容易になりました。またストーリー面においても今回は「ストーリーが固まってからゲームデザインを行う」のではなく、「ゲームデザインが固まってから、それにあわせてストーリーを設定する」方式となったため、より高いスキルが必要となり、ベテランの力が生かされました。イベントシーンにおいても、カメラを固定したまま「間」を重視する演出が多用されたため、往年の開発経験が生かされたのです。


《小野憲史》
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