主人公は不死の力に「呪われた」ブライス・ボルツマン。冴えないジョークを飛ばす40代半ばのダメオヤジに見える彼は500年前にデーモンハンターとして悪魔の王と対峙し、負けたのだ。妻を目の前で殺されたブライスは負け犬として自分の敗北をより味わえるように、死ねない身体にされてしまった。以来、自責に苦しめられ、自嘲に溺れて500年も過ごしたブライスは再び戦いに(嫌がりながらも)身を投じる事になる。
と設定だけでもゾンビ好きのゲーマーには堪らない物がある。プレイヤーはブライスというベテランもベテランを極めたデーモンハンターを操作する事になる。よくある展開として、飲んだくれの歴戦の古強者は次世代の若き希望を鍛えると共に砕かれた己の思いを託して死ぬ、がある。実際、若き才能を持つ女性デーモンハンターとしてアルカディア・マクシミルが登場するが、『Never Dead』に限ってはこの展開は無い。なにせ、主人公は死ねない呪いがかけられている。
ゲームの特徴として、ブライスにはゾンビらしく不死性を生かした攻撃が可能となっている。腕を引きちぎり、囮としてモンスターの近くに投げる、切断された腕から拳銃を撃つ、モンスターに食われた腕で内側から内蔵を破壊する等だ。
ブライスはダメージを受けると四肢が飛ばされたり、身体が真っ二つになったりする。「おおい、俺の腕、どこへ行った?」とまるで忘れ物をしたかのようにのんきな声を出す。まるで意に介さない。
首だけの姿になっても、コロコロ転がって移動までできるブライス。本来なら入れない通風口などにもコロコロ転がって侵入ができるみたいだ。生首一つを取っても案外活動的だ。
挙句には自分を引火させて、火だるまで敵に突っ込んだり、感電して電撃を繰り出したりと自分の不死性に任せた乱暴な戦い方もする。なにせ、自分を大事にする必要が無い。ボタンの長押しするだけで四肢がグチョグチョ生えてくるのだ。プレイヤーとしてもまったく死ぬ心配が無いのはゲームとしてどうなのか、と思うかもしれない。不死には死ぬより酷い結末がある事を忘れてはならない。
■悪魔の食物連鎖の妙
ギリシア神話には不死の神に与えられた罰として、永遠に腹ワタを鳥についばまれるという物があるが、同じように死ねないということは死という安息を奪う事にもなる。本来、ブライスの不死はその為にあるからだ。
ブライスがダメージを受けすぎると生首一つになってしまう。その瞬間、最弱のザコキャラであるデーモンの一種が最大の危険となるのだ。普段は攻撃能力も持たず、ただ鬱陶しく足元にまとわりつくこの小さなデーモンは生首を捕食しようと追いかけてくるのだ。捕まれば永遠に消化され続けられるという地獄がスタートする。
ゾンビならではの想像力豊かな戦闘、食物連鎖の妙、と『Never Dead』はスタンダードなTPSにゾンビ要素を上手にトッピングをした感じだ。
期待のダサオヤジゾンビは今年の冬に登場予定。対応ハードはPS3とXbox360。最大4名までのオンラインプレイヤーに対応するそうだ。CEROの審査判断は未定との事だ。
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