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前回、『ミスクエ』のバトル曲が『シアトリズムFFCC』に採用されたことを受けて、やや暴走気味の記事を書いてましましたが、筆者にとってはそれほど思い入れの深い作品というわけでご容赦を。そこで今回は「ミスクエのススメ」と題し、ポイントごとにその魅力に迫っていきたいと思います。
■『ミスクエ』って?
スクウェア(現スクウェア・エニックス)から1993年に発売されたSFC専用ソフト。アメリカ版『FF』として開発されたもので、アメリカでは1992年に発売されました。1992年といえば日本国内では『FFV』が発売された年。そのせいか、主人公ザッシュのビジュアルは完全に『FFV』のバッツです(笑)
『FF』シリーズファンには馴染み深いドット絵ではありますが、システムは非常にシンプル、戦闘画面は『FF』シリーズにはめずらしいフロントビューで、キャラクターの喜怒哀楽表現が「OH,NO~!」って具合にアメリカナイズされており、派生作品らしいイレギュラー感があります。
それから音楽。何度も言いますが音楽。一見地味な作品ですが、音楽は超ハードロックで地味さの欠片もありません。
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それではポイントごとに魅力に迫りましょう。まずはこれ。さすがメイドインUSA。スカートにティアラつけたお姫様タイプの女子が回復魔法で癒してくれるなんてベタなことはしません。女子もトマホークをぶん回す。腕力で攻める!そんな女性に痺れる憧れる!公式ビジュアルは『FFV』のミニキャラ風なのですが、筆者の頭の中ではこのトマホーク女子だけアメコミの『ワンダーウーマン』のようなビジュアルで変換されます。彼女、物語の序盤で仲間になるので、インパクト大。逆にいかにも女戦士っぽい女の子が魔法得意だったり…どうしてこうなった!?
ついでにキャラクターといえば外国人に大人気の忍者も登場するのですが、ご多分に漏れず、忍んでいません。
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ポイントその2。これぞメイドインUSA。底なしに陽気です。孤児とか、人間と異種族のハーフとか、そういった重い設定や暗い世界観は皆無。主人公が勇者に選ばれた理由も「なんか素質ありそうだから」。言われた主人公も「よっしゃ、ならばいっちょ俺がやってやらー!」って感じで旅に出ちゃう。世界の滅亡の危機でこのノリである。年上の仲間はおっさん呼ばわり。カワイイ女の子が困っているとナンパまがいのセリフで強制的に仲間にしちゃう。実にボーントゥビーワイルド。
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ポイントその3。細かい事にこだわらないアメリカン、わかりやすさが大事です。ゆえにバトルは非常にシンプル。キャラクターのHPはデフォルトでバー表示。細けぇ数字はいいんだよ、見た目ヤベェ状況になったら迷わずポーションだ!
敵のビジュアルも残りHPによって変化。HPが少なくなるとボロボロになっていきます。しかしこのハリネズミ、一部の男性が見たら発狂しそうなグラフィック変化ですね。×型の絆創膏も久しぶりに見ましたよ…!
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ポイントその4。障害物?オーケー、壊そうぜ!本作では主人公の道をさえぎる木や壁を斧・爆弾などを使って壊すことが可能。『FF』シリーズにしては特殊なシステムですね。また、ジャンプで障害物を飛び越えることもできます。あまりにジャンプをしまくるとBGMを聴くたびにSEが蘇るようになってしまうので注意。
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ポイントその5。全体的に難易度低め。といいますか、システムが非常にシンプルなのでRPG初心者でもプレイ可能。説明書は基本的にいりません。
まず宝箱。街やダンジョンに配置されている木製の宝箱の中身は何度でも入手できます。森の精霊が中身をこっそり入れてくれるそうで…ありがたや。そのため序盤ではお金を使うタイミングはまったくなく、アイテムが足りなくなったら街を出入りすれば困ることはありません。
それから武器&防具。属性とか、重量とか組み合わせを考える必要ナシ。手に入れたそばから装備されていくので、「買った防具はちゃんと装備しているかい?」という村人のおせっかいトークも聞かずにすむというわけです。パーティから離れるキャラクターから装備をひっぺがす手間もありません。武器は剣・斧・爪・爆弾がありますが、フィールド上でも戦闘中でもL,Rボタンで随時切り替え可能です。
そして敵との戦闘。シンボルエンカウントで、なおかつ動かないので、必要な数だけ当たって倒せばOK。一度倒した敵はダンジョンから出て再び入るまで復活しません。探索時のザコバトルのわずらわしさナッシング。
戦闘も前述の通り見た目で残りHPがわかるのでとても優しい仕様です。ゲームオーバーになっても再戦可能。とはいえただぶん殴っていれば倒せるというわけではなく、木のモンスターは斧にめちゃめちゃ弱いなど、属性によって戦闘が左右されるのでほんのちょっとだけ侮れない部分もあります。
魔法の数も少なく、『FF』シリーズでおなじみの名称と効果なので非常にわかりやすいです。フィールド移動もポイント移動形式なので絶対に迷わないし敵も出てこない!また、地味なところでXボタンを押すと直接セーブ画面に飛ぶのでセーブ魔には優しい仕様です。
というわけで5つのポイントをあげてきましたが、とにかくアメリカ版『FF』は細かい作業やややこしい仕様が苦手な人にはちょうどよい難易度とシステムになっています。暗い世界観や難しいゲームで心が折れた人にもオススメ。ハイテンションなノリとBGMでアドレナリン放出しちゃいましょう。シンプルで典型的な勧善懲悪ストーリーを体感し、在りし日に忘れてきた勇者へのあこがれを追想しながら、世界を救おうじゃないですか!
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