その夢のようなゲームの正体は、先日発表されたEpic GamesによるPC/Mac/Linux対応のスポーツ系FPS『Unreal Tournament』シリーズの最新作です。余談ですが、FPSは「スポーツ系」と「リアル系」に分類することができ、スポーツ系はアクション性が高い・テンポが速い・マルチプレイ重視、リアル系は銃の性能や人間の身体能力などをリアルに再現・操作が難しめ・1人用のキャンペーンモードも充実……などの特徴が挙げられ、『Unreal Tournament』はスポーツ系の代表格といえるタイトルです。
閑話休題。そんな『Unreal Tournament』最新作無料の秘密は、同作の制作にも使われるEpic Games自社製のエンジン「Unreal Engine 4」にあります。Unreal Engine 4は月額サブスクリプションモデルがあり、月額19ドルを支払うことで誰でも自由に使うことができます。それに加えてこのゲームに関するすべてのコードとコンテンツ、最新情報をあますことなくオープンにすることで、ユーザーやファンたちと一緒に最新作を作ろう、というめずらしい制作体制が取られているのです。こうしてできたゲームが、無料で提供されるというわけですね。「自分の好きなゲームの最新作に深いところから関われるならお金を出してもいい」と考える熱心なファンも大勢いるでしょうから、そういう意味ではこのビジネスモデルも「一部のユーザーが多数のユーザーを支える」ことで成り立っているといえます。
そしてもう1つの収益源が「MODの販売」です。MODとはModificationの略で、ゲームの内容に変更を加えたり、新たな要素を加えたりするファイルやプログラムのこと。PCゲームではFPSのみならず様々なジャンルでユーザー発によるMODが盛んで、MOD導入可能なゲームになにも適用していないことを「バニラ」と呼ぶほどです。ゲームをプレーンなアイスになぞらえ、MODを「ゲームをさらに魅力的に(自分好みに)するトッピング」と捉えているわけですね。そんなMODの一部を有料で販売するマーケットを用意し、売り上げを制作者と折半することを予定しているようです。
これら2点を収益源とすることで、できあがったゲームを遊べればいいファンたちは無料で遊べる……というビジネスモデルになっているようです。ゲームとして形になるのはまだまだ先の話ですが、多くのユーザーの意見を取り入れ、技術を持ったユーザーがそれを形にしていくビジネスモデルは、ゲーム制作クラウドソーシングの好例となるのか、投げっぱなしの悪例となってしまうのか。ゲーム自体のデキはもちろん、Epic Gamesの挑戦からも目が離せません。
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