PSPとの互換がないPS Vitaの普及を促進させるためにSCEJAが打った手は協力プレイができるアクションゲーム、"共闘ゲーム"の魅力を前面に出すことでした。そうしてリリースされた『討鬼伝』や『ソウルサクリファイス』は、どちらも約20万本と見事な売り上げ。その後も共闘ゲームは続々リリースされ、これらのタイトルはPS Vitaの共闘ゲームの楽しさを伝えるHP「共闘学園」でフォローされています。その学園に最近名を連ねたのが、SCEJA自らが満を持して贈る『フリーダムウォーズ』です。
本作は頭脳労働で人類に貢献できない者は生きているだけで罪を背負う「咎人」となるというディストピアを描くSFモノ。そんな世界設定や、剣や槍を手にしてのハンティングアクションライクな接近戦、銃火器によるTPSライクな中~遠距離戦、そして攻守だけでなく高速移動手段としても活躍する多彩な「荊」アクションを使い分けての戦闘が楽しく、体験版で高評価を獲得(※期間限定であったため現在は配信終了)。そしてついに発売日をむかえ、前述した見事な売り上げにつながりました。
ところがいざ製品版が出ると「ソロで遊んでいるとゲーム後半がとにかく難しい」と冒頭で述べた通りの悲鳴が続出。体験版では分からなかった一面が、発売前の高評価に水を差す形となってしまいました。ですが、ネット上の反応を見ていると「難しい」という一方で「考えてプレイすればクリアできる難度」という声も見られます。これは個々の腕前の差もあるのかもしれませんが、本作を「ハンティングアクション」としてとらえているか、「近接戦闘もできるTPS」としてとらえているか、というところにも理由があるように思えます。
人同士の争いを描く本作では、敵方にもプレイヤーと同じ攻撃手段を持つ「咎人」が多数登場します。彼らは銃火器で武装していることも多いので、そういう時はこちらも銃に持ち替えて応戦するか、仲間に適宜指示を出して処理を任せる……などで対処をする必要があります。ハンティングアクションだと思うとついつい自分1人で突出してしまいがちですが、実は本作は多対多の集団戦をするTPSという趣きも強く、共闘ゲームとしてプッシュした結果、そうしたイメージが伝わりづらくなってしまったのではないか、と思います。作中で印象的なセリフに「レッツ貢献!」というものがありますが、まさにこの言葉の通り、独力で勝利を引き寄せようとするのではなく、チームの一員として勝利に「貢献」した方が、難関ボランティアは達成しやすくなるかもしれません。
とはいえ、ほかにも荒削りな感が否めないところも散見され、ネット上ではそうしたところへの修正・見直しを求める声も見られます。開発スタッフが難易度だけでなくそうした声もどこまで拾ってくれるかで、今後の評価が定まっていくことでしょう。最初からダイヤモンドが出てくればそれが一番ですが、本作も磨けば光る原石であるという印象です。今後PS Vitaを代表する一作となってくれるか、「レッツ注視!」といきましょう。
(C) 2014 Sony Computer Entertainment Inc.
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