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【CEDEC 2014 】日本企業も大奮闘ー日本と海外のモバイルアプリ、ゲームのトレンドとは

CEDEC 2014では、開発環境まわりのことはもちろん、それ以外にもマーケティングやプロモーションについてのセッションも行われており、本記事では「日本と海外のモバイルアプリ、ゲームのトレンド」のセッションの様子をお届けします。

ゲームビジネス 市場
CEDEC 2014では、開発環境まわりのことはもちろん、それ以外にもマーケティングやプロモーションについてのセッションも行われており、本記事では「日本と海外のモバイルアプリ、ゲームのトレンド」のセッションの様子をお届けします。



まず登壇したのは、App Annie Japan桑水 悠治氏。App Annieの日本担当GMとして、モバイルアプリパブリッシャーをサポートしており、App Annie入社以前はシンガポールのゲーム会社でスタジオマネージャーとしてスタジオの立ち上げを担当。アジアを中心に1,000万ダウンロード超えるアプリをプロデュースしている人物です。

市場が大きく成長した2013年の勢いそのままに2014年もアプリ市場は伸び続けています。制作しているコンテンツによって力を入れるべき国や端末、マネタイズの戦略なども変動していきます。本セッションでは、これからの世界市場において押さえておきたい市場や急成長中の市場とその背景を解説し、具体的なアプリの成功事例についても紹介しました。

■ブラジルが急成長、アメリカ・中国がiOSのDLの45%を占める
下記は、国別ゲームダウンロードの図になります。アメリカのダウンロード数を100とした場合、それぞれのデバイスがどれくらいダウンロードされているかといった図になっています。また左の「TopCountry」に記載されているものは、iOSとAndroidの合計値がグローバルでTOP10の国になります。

中国に関してはオフィシャルのGoogle Playがないため、サードパーティのストアがほとんど。サードパーティのAndroidのダウンロード数を含めるとかなり大きな市場になると想定されるとのことです。アメリカ、中国のiOSのダウンロードがグローバルの45%を占めるというほど、大きくなっています。またブラジルも非常に成長している国で、ダウンロードでみると3位になってきています。



■日本、アメリカ、韓国でGoogle Playのグローバル売上の70%を占める
売上のほうを見てみると、日本とアメリカは常に抜きつ抜かれず、非常に大きい市場ではありますが、日本が1位となっております。次いで、アメリカ、韓国、中国、イギリス、オーストラリア、ドイツ、台湾、カナダ、フランスという順番になります。特にGoogle Playについては、日本、アメリカ、韓国の3ヶ国の勢いは凄まじく、ワールドワイドでみると、この3カ国でグローバル売上の約70%となります。上記に挙げた3カ国はすべてのキャリアで「キャリア課金」を行っているので、非常に大きい要因のひとつとなっているようです。

ただ、ヨーロッパでもキャリア課金に対応してきている部分や、シンガポール、台湾(6月よりキャリア課金導入後、数値が向上)香港といったところでもはじまっているので、これからアジアでは更に数値が伸びていくだろうと想定されます。iOSは日本、韓国、ドイツ、台湾以外の国では引続きマネタイズの主流となっています。



■iOS Storeでは日本はランキングが上昇。新興国も進捗傾向

・昨年度に比べても、あまり変動はない(微減,微増は有り)状況ではあるものの、新興国が台頭
・DL数:メキシコが10位圏内にランクアップ,日本がダウンロードランキングが1つ上昇
・売上:中国が3位圏内にランクアップ
・台湾が大幅に順位を下げた




■Google Play:引続き、日本は売上ナンバーワン


・DL数:ブラジル、メキシコ、トルコ、インドネシアなど新興国のダウンロード数が急増。
・売上:大きくランキングが変動。アメリカがダウンロードランキングを1つ上昇。日本は依然、TOP




上記の数値を見ての通り、日本・アメリカはiOS、Androidどちらも市場が大きいため、どちらもローンチ戦略が必要となってきます。中国については、Google Playが存在しないので、サードパーティを活用することがマストとなります。その他の国については、iOSよりもGoogle Playのほうがマネタイズをし易いという状況にあるようです。

また、急成長中の国はどこかというとブラジルが両プラットフォーム合計ダウンロード数が5月時点で3位と大きく成長をしており、台湾・中国のiOSの売上も成長が見られます(台湾はGoogle Playも伸長)。メキシコ・トルコ・インドネシアのGoogle Playのダウンロードを非常に伸ばしており、ドイツのGoogle Playの売上も成長している形になります。

■iOS全体の30%のダウンロードがiPad、売上もiOSストアの売上全体の約1/3を占める
続いてデバイス毎のデータですが、iOS全体の30%のダウンロードがiPadとなっています。日本のPadからのダウンロード数は非常に小さいですが、ロシアは全体ダウンロードの約40%がiPadからとなっています。



売上別に見てみますと、iPadでの売上が全体の約40%近くを占める形になっています。日本は小さくは無いのですが、割合で考えるとまだまだ伸長の余地があるという状態。アメリカが世界のiPad売上の約40%を占め、今のところ世界最大。ただ、日本もここ2年間くらいでiPadそのものの普及やiPad向けのタイトルも増えていくことが予想されますので、こちらの数値は今後変更する可能性が高いとのこと。ちなみにロシアはiPhoneよりもiPadのほうがシェアが高いと結果になっているようです。



■日本企業もトップパブリッシャーに名を連ねている
続いて、ワールドワイドでみたトップパブリッシャーについて(iOS+Android合算)。ダウンロード数でみると、日本の企業ではLINEのみが7位にランキング。

売上で見ると、ガンホー・オンラインが3位、LINEが4位、mixiが5位、コロプラが7位、バンダイナムコが8位にランキングとかなり日本企業がランキングに入り込んでいます。合計5社が世界のランキングに名を連ねており、それだけ日本のマーケットが大きいということを示しています。



■日本のパブリッシャーの海外展開は?
続いて、日本企業の国外におけるダウンロード数および売上のデータについて。海外で一番ダウンロード数を得ている企業はLINE。続いて、DeNA、セガ、GREE、バンダイナムコ、スクウェア・エニックス、ソニー、SNKプレイモア、コナミ、PONOSと続きます。売上で見ると、GREEが首位、次いで、LINE、DeNA、ソニー、gumi、ガンホー・オンライン、コナミ、カプコン、スクウェア・エニックス、バンダイナムコとなってきます。



特に伸びてきているのLINEとgumiの2社で、LINEについてはタイ・台湾で非常に人気があり、それ以外にもアメリカでかなり伸びてきている状況です。タイ・台湾・アメリカで4月以降LINEゲームの売上が非常に上がってきているというところで、ランキングをあげています。gumiに関しては『ブレイブフロンティア』が非常に好調なのが要因であると述べました。

■日本企業で一番ヒットしているアプリは『ブレイブフロンティア』
次いでタイトル毎のランキングデータを開示。日本の企業で海外で一番ヒットしているのはgumiの『ブレイブフロンティア』となっています。北米でもヒットをしているだけでなく、アジア全域で非常にランキングの上位に位置しています。さらにヨーロッパでの展開も開始しましたので、これから更に伸びることが予想されます。



GREE、DeNAがかなりの割合を占めていますが、まだまだ絶対値としてはそこまで大きくはないので、これから日本企業も海外に進出していくことが予想されます。今後どのように変わっていくか非常に楽しみなところです。

「その際には、AppAnnieはさまざまなツール・データを提供しておりますのでぜひぜひご相談ください」と自社のアピールもしつつ、本セッションは幕を閉じました。

《森 元行》

森 元行

海外のゲームショウにてeスポーツの大会に出会い衝撃を受け、自身の連載「eスポーツの裏側」を企画・担当。プロプレイヤーはもちろん、制作会社や大会運営責任者、施設運営担当者など「eスポーツ」に携わるキーマンに多くのインタビューを実施。 2022年3月 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科 博士課程前期課程(修士/MBA)修了。

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