今回の展示会に展示されているほとんどのゲームはプレイが可能で、実際に遊んで当時のゲームを体感できるのが特徴。作品内容や仕組みを紹介したパネルはもちろん、基板、『スペースインベーダー』や『パックマン』の仕様書も展示されており、デジタルゲームの歴史のはじまりを、遊びながら学べます。
会期:2015年10月3日(土)~2016年2月28日(日)
会場:SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ映像ミュージアム
料金:大人510円・小人250円(常設展もお楽しみいただけます)
公式サイト:http://www.skipcity.jp/vm/game/
本稿では、黎明期のゲームを体験した小さな子供の様子を交えながら企画展をレポートします。

最初にお出迎えしてくれるのは『テニス・フォー・ツー』(1958年/ブルックヘブン国立研究所)。オシロスコープ上に映しだされた映像を見ながら、ダイヤルで球を打つ向きを決め、ボタンでボールを打ち返すゲームです。オシロスコープは通常、電気信号や心電図などの波形を表示するのに使う機器ですが、これでゲームを表現したわけですね。諸説ありますが、一般的には世界で初めて公開されたゲームと言われており、今回はエミュレーターで再現された筐体が展示されています。

実際にプレイしてみると、これが面白いのです。画面にテニスプレイヤーは表示されていないのですが、狙った角度をアナログに決めて打つ感じがテニスをプレイしているのと似ており、自分のコートに飛んできたボールはボレーするように前で直線的に打ち返しても、ひきつけて後ろから山なりに打ち返してもよし。プレイヤーの動きをイメージしてしまう楽しいゲームでした。

PDP1というミニコンピュータ(今となってはまったくミニと思えない)上で動く『スペースウォー!』(1962年/マサチューセッツ工科大学)は、本体サイズを体感できるレプリカと一緒に、遊べるエミュレーターが併設されています。

動きに慣性があるのが大きな特徴で、スラスターで加速しつつ、左旋回、右旋回して弾を発射。止まるときには、回転して逆方向に噴射する必要があるので、子供には難しい、なかなか歯ごたえのあるゲームです。

スペースウォーをベースに1人用のアーケードゲームとして作られた『コンピュータースペース』(1971年/ナッチング・アソシエーツ)も実際にプレイできます。丸みのある筐体が特徴的。当時のひとには難易度が高くて人気が出なかったそうですが、あなたにはどうでしょうか?

世界初の家庭用ゲーム機『オデッセイ』(1972年/マグナボックス)の展示もありました。こちらはゲーム毎に専用の半透明シート(オーバーレイ)をテレビ画面に貼り付けて、ボードゲームのようなオモチャの紙幣なども使いつつ遊ぶというデジタルとアナログが融合したゲーム機です。
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オデッセイのテーブルテニスと似ているようでひとつ上の面白さを実現した『ポン』(1972年/アタリ)は、ピンポン(卓球)を題材としたゲームです。ラケットがパドルで上下方向にのみ動くシンプルな分かりやすさと、ボールの角度と速度が変わるのが面白さの決め手です。展示品は片方のプレイヤーのラケットが縦に伸びまくり、無敵状態にできるようになっていたため、基板を取り寄せ中とのこと。でもこれはこれで面白い体験です。