パイオニアという存在が大好きです。二番煎じ、三番煎じで時流に乗って成功を収める人よりも、たとえ失敗したとしても、失敗を恐れずに時代を切り拓いていくような、後世に何かを残すような人に憧れます。何かを最初にやった人に、今でもなりたいと思うことがあります。いつの日か、そんな野望が叶えられる日が来ることを祈りつつ…。
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というわけで、今回プレイするのはアークシステムワークスのニンテンドー3DSダウンロードソフト『大開拓時代 ~街をつくろう~』です。
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パっと見たとき、アークシステムワークスだったので、輸入ゲームのローカライズものかと思ったら、アークシステムワークス開発・発売なんですね。このテのゲームは洋ゲーの場合だと大味なものが多い印象なので、国産ということだけでもかなり期待が膨らみます。都市や街や店を開発・経営するシミュレーションが大好物の筆者としては非常に楽しみです。今回のレポートでは、ひとまず難易度「やさしい」でいきます。それでは、早速プレイしていきましょう。
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■開拓者たちに指示を出す放置系シミュレーション
プレイヤーは「開拓者」たちに指示を出すだけ。いわゆる「放置系」のシミュレーションゲームです。最初は木々を伐採させて「丸太」を集めたり、狩りをさせて「生肉」を集めたりと、まさに開拓。それらの資源や食料を確保しながら、資金(通貨)を貯め、新たな建物・施設あるいは開拓者を増やし、「街」を発展させていくことが目的です。と、書きつつも、明確なクリア目標などはなく、自由に“自分なりの開拓”を楽しめます。
■乗り切れ「収穫祭」
1年に1度「収穫祭」が開催。ここでは、1年間に必要な「食料」と「通貨」が回収されます。「フリーモード」にはゲームオーバーはありませんが、メインモード「開拓を始める」の場合は、3段階用意された難易度に関係なく、収穫祭の時点で「通貨」がマイナスだとゲームオーバーになってしまいます。街が発展していればしているほど、必要となる「通貨」は増えるので、収支のバランスを考える必要があります。
■お助けアイテム「発明カード」
開拓を進めているとお助けアイテムにあたる「発明カード」が手に入ることがあります。資材が増えたり、資材の価格が変動したり、お金がもらえたりと効果はさまざま。中には、施設を発展させるのに必要となる重要なカードもあります。自分がやりたいことと、手に入れた「発明カード」を照らし合わせ、いかに上手く使うかが、街を発展させるポイントとなってきます。
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■下画面メインで快適タッチ操作
メインは下画面で、上画面が情報表示という構成。下画面のタッチ操作はスマホライクで非常に快適かつ直感的です。メニューのインターフェイスが邪魔なときに折りたためるのも良い感じ。3D表示には非対応ですが、3DSの2画面だからこそ、上画面に常時表示されているリアルタイムに変化する数字情報を見ながら、下画面で行動を決められます。“フリック”というか“ドラッグ&ドロップ”というか(タッチペンの場合の呼び方の正解がわからないっす 笑)、今どきのゲームに慣れていれば特に操作で迷うことはないと思います。
■そう簡単に放置させてくれない!
「開拓者」たちに指示を出すのがプレイヤーがすべき最も重要なポイント。指示の出し方ひとつで、街の発展が上手くいくかどうか決まるといっても過言ではありません。特に序盤は「開拓者」の人数も少なく、「建物」の種類が少ない分できる行動も少ないので、とにかく細かにプレイヤーが指示出しして、適宜ケアが必要。ある程度軌道に乗るまではほとんど“放置”できません。
■黒字の収支バランスを探せ!
「開拓者」が増えるとそれだけ「食料」が必要。「建物」が増えると、それだけ維持費となる「通貨」が必要。つまり「収穫祭」の段階で、街の維持費となる「食料」と「通貨」に加えて、いかに“余分”を作れるかが街発展のポイントです。その“余分”の作り方は、完全にプレイヤー次第。伐採や狩りを手厚くするのか、畑の農作物を充実させるのか、手に入れた「素材」をそのまま売るか、加工して売るか…。試行錯誤していると、必ずどこかに絶妙なバランスが取れるポイントがあるはずです。黒字をキープしていれば、街を発展させる(新しい建物を建てたり、開拓者を連れてきたり)する余裕も生まれてきます。そこまでいけば、そこそこに放置してOK(なはず)!
■フリーモードで無双プレイ
メインモード「開拓を始める」で集めた「発明カード」は、フリーモードではなんと使い放題。ゲームオーバーもないので、息抜きに無双プレイするのも一興です。ただ、本作の面白さの本質はココではないので注意(笑)。
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■大胆な街づくりはできない
街の発展状況に応じて「建物ポイント」の上限が決まります。建物ごとにポイントが決まっていて、マップ上に建物が建っているとポイントが加算されていき、その上限を上回ることはできません。つまり限られたポイント内で、街の発展(もしくは黒字キープ)に必要な建物を見極める必要があります。
そのため「通貨」が「資材」が大量にあっても建て放題というわけにはいきません。上限が多少解放されるとは言え、後から出てくる建物は基本「建物ポイント」が高いので、仕方なくあまり機能していない建物を取り壊すハメに。街の運営が絶好調でも、大胆な街づくりができないのはちょっと残念に感じました。
■そんなに広がらない街
「都市開発シミュレーションゲーム」を嗜んでいると、どうしてもキレイな街並みにこだわったり、効率の良い導線を考えたりしたくなるものです。本作でももちろん、そういったところにこだわるのは自由なのですが、街の広がり具合…開拓のされ具合は、「建物」の位置で決まってきます。
つまりどういうことかと言うと、キュっと詰まった街並みを作って、小さな範囲ですべてが収まるような街づくりをすると、あまり開拓されていない状態とみなされるわけです。ゲームの進行上問題がありませんが、やり込み要素の「実績解除」ではその開拓範囲が解放条件になっていたりもするので、それを取ろうとするとわざと散らばらせた街づくりをしなければなりません。
とは言え、それを踏まえても、上記の「建物ポイント」の上限とあわせても、広大なマップに対してそれをほど街は広がりません。街が発展するほど“開拓”的な要素よりも“市場把握”的な要素が重要になってくるので、「開拓」も「都市開発」も中途半端な印象でした。
■「発明カード」が強力すぎる
手に入れるのに運要素が強い「発明カード」ですが、序盤でたまたま良いものを手に入れた場合、ゲームの展開がかなりラクになります。序盤のキツさへの救済措置とも言えますが、バランスの取り方としてはやや強引な印象も受けました。また「開拓者」の行動の試行回数が多いほど「発明カード」が手に入る機会も増えるため、「通貨」や「資材」があまりかからず、早い時間で作業が完了する行動を延々繰り返させることで、大量の「発明カード」が比較的簡単に集められてしまいます。
入手できる「発明カード」の内容は、完全な「運」というのも正々堂々していて、筆者自身は嫌いではないのですが、ゲームバランスとして考えるとちょっと大味かもしれません。街の発展状況に合わせて出やすさが変動したり、作業時間がかかる行動のときほど良いものが出やすくなったり、もう少しだけ出し方を工夫した方が良い部分もあるのではないかと感じました。
■ボタン操作と両対応なら尚良かった
インターフェイスを含めてタッチペン操作自体に不満は全くないのですが、ふとしたときにボタン操作したくなることがありました。好みに応じて切り替えられるような、ボタン操作との両対応だったら尚良かったのではないかと思います。
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軌道に乗せるまでが勝負!
自分だけの収支バランスの取り方を見つける渋いシミュレーション!
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やめどきがわからなくなる“夢中にさせる要素”はあります。ゲーム序盤は、「開拓者」が少ない上に「通貨」「食料」の調達方法も十分でないため、ゲームオーバーになるかならないかの瀬戸際で踏ん張ることになるので、安易に“放置”できずに忙しいです。資材の価格動向などを見極めることで、効率良く「通貨」を黒字にできる方法を早い段階で見つけたいところ。難易度「やさしい」でコレなので、「ふつう」以上だともっと難しいかもしれませんね。
ただ、伐採や狩りといった“開拓っぽさ”にあまり重きがあるわけではないように感じ、かといって街を発展させる“都市開発シミュレーション”かと言われればそこまでもなく、全体的に中途半端な印象も否めません。もっとどちらかに振り切ったゲーム展開にしても良かったのでは感じました。
自分だけの黒字の収支バランスを見つけられれば、街の発展は一気に軌道に乗ります。あとは、その好調さをいかに維持できるかといった目的にシフトしていくので、このテのジャンルのゲームとして、ちょっと異質さはあります。が、その“異質さ”は、ゲームの特徴としてポジティブに捉えられる範囲なのでご安心を。
【こんな人にオススメ】
・都市開発シミュレーションや経営シミュレーションゲームが好きな人
・スマホの放置系アプリが好きな人
難易度「やさしい」でも、特に序盤がやや難しめに感じられたので、しっかりと考えてプレイすることが重要になります。完成度が高い分、ちょっと奥深さの部分でやや物足りなさを感じつつも、ゲームとしての歯応え自体は十分です。このテのジャンルが好きな人にはしっかり楽しめると思います!
【そそれぽ】第129回、いかがでしたでしょうか?いや~、2015年最後の【そそれぽ】も終わってしまいましたよ。ついこの前、お正月じゃなかったでしかっけ?(笑) 年始頃の時期に、久しぶりに何かしら「号外」的なものを届けられたらと思っているので、そちらもどうぞお楽しみに!それではちょっと早いですが、良いお年を!!
『大開拓時代 ~街をつくろう~』は、好評配信中で価格は800円(税込)です。
(C) ARC SYSTEM WORKS
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津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ
作・編曲家・ライター。物心がつく頃にはMSXで『グラディウス』をプレイしていた無類のゲーム好き。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでニュース原稿執筆・ライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略シミュレーションゲームから格闘ゲームまで、幅広いジャンルのゲームをプレイ。
Twitter:@sososo291
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