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まずは本作のシステムについて触れていきましょう。魔王を倒す戦いの中で命を落とした勇者は、天使の計らいで5日間限定で蘇ります。再び死を迎えるその日までどのように過ごすかが本作の目的。困っている人を助けてもよし、ひたすら釣りをしていてもよし。ただし死の期限が近づくにつれ勇者の能力は衰退していくので注意が必要です。5日目を迎えた時、勇者の行い次第で葬儀の参列者の数が変化します。どれだけの人を集められ、そして泣かせることができるのか。その数が問われるというわけです。
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死してなお救いを求められる勇者に同情しつつ、筆者がまず目標としたのは100人の葬儀参列者を作るということ。「友達100人できるかな」と歌った童謡もあることですし、100人の友達を作ればそれだけの人数は葬儀に参列してくれるのではないでしょうか。まぁ勇者ができることと言えば勇敢に戦うことくらいですから、人々の悩みを解決すればおのずと慕う人もでてくるはず。そう高をくくってプレイを開始。
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ゲーム開始時は死んだことで記憶喪失になっている勇者。魔王を倒した時の記憶を辿ると……HPは999、強い魔法も覚えています。仲間も大勢おり、協力して難なくクリアです。いきなりのクライマックス。ボスバトルの音楽が馴染み深いな、と思ったら伊藤賢治氏ではないですか。SFC世代の筆者、テンション上がります。
……なんて盛り上がっている時に、勇者が魔王と刺し違え死んでしまった事実を知らされます。おお勇者よ情けない。そんな哀れな勇者のために、天使ユリアの計らいで5日間だけ復活を遂げるのです。
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復活ありがたやーと思ったもつかの間、徐々に体力が衰えていくことを告げられます。勇者最大の敵は己の体力というわけです。
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さて、自由な5日間を与えられたわけですが、従者トーマスに改めて予定を問われて困ってしまいました。目的を失うと人間どうしたらいいのかわからなくなるものです。この勇者、リア充らしいのですが「世界で一番愛している女性」のことが思い出せないとのこと。ここは愛の力を証明すべきではないでしょうか!?
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女性の手がかりがなーんにもないのでRPGのお約束「聞き込み」を開始。主人公がいるところはグランダムという王都らしい。ふんふん、不安定な情勢? 戦争の実感がない!? 亜人種と村人たちが小競り合いだと!!
おかしい、せっかく魔王が滅んだというのに不穏な空気が漂いすぎ。大きな敵がいなくなるとそれまで棚上げにされていた問題が浮上する、なんだか現代でもよく聞く話ですね。ファンタジーなのに妙に考えさせられます。
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国民の不満にげんなりしているエドワード王。それをまとめるのが王様じゃ……?
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もはや国政までも勇者頼み。フローラというお姫様の名前が挙がりますが、どうやら勇者の「愛しい人」ではないようです。
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王様や侍女にフローラ姫との結婚を望まれる勇者。まんざらでもないですが、記憶から抜け落ちている女性がひっかかります。
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王宮の腐敗は今に始まったことではないようです。聞いちゃったことは気になります。こんな重い問題を5日間でどうにかするなんて……。エンディング後なのに、これっぽっちもハッピーエンド感がありません。
王と王都の民の言い分はわかった。少し頭を冷やそう。ワールドマップに出て一路ナンマカの街へ。ナンマカの街は腐敗した王宮と距離を置き、発展の兆しがみられる街です。
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大変発育のよろしいシスターを発見。
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人々が集まる大聖堂を再建するため、240000Gと御神体「瑠璃の御柱」が必要とのこと。わかっていたけど金額多すぎ。しかし助けてと言われたら断れないのがRPGの主人公。快く引き受けてしまいました(これ絶対後悔するやつ)
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さらに町では旅の商人ビビに遭遇。アイテムを買い込んで、更に奥の村へ行こうとしたら……
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突然の弱体化。心の準備ができていないのに……!この時点ではHPが減っており、基本能力がやや落ちた程度。まだまだ勇者の威厳は保てています。
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次は魔王との戦で戦火に巻き込まれたトゥーソンの村に進路を取りました。時間が惜しいので馬車を出したけど5時間揺られるのはキツかったご様子……目に見えて疲労している勇者が痛々しい。
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着いたとたんに聞かされたトゥーソンの厳しい現実。村再建の為に木材を切りたいけど森に住む「森人」がそれを許さないとのこと。魔王がいる時は一致団結して戦ったけど、しょせんは相容れぬ関係なのか!? 「人間と森人の間を取り持ってくれないかな~」。勇者に注がれる熱い視線。もしかして、行けという振りですか?
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荒廃した土地にひときわ目立つ格好でたたずむ女性、メリーアン。国に頼らず自らの力で荒れた土地を浄化し、食料問題、住居問題を解決しようとしています。言動が軽くてやや不安なところもありますが、まぁ乗りかかった舟、受けましょう(これも後悔するやつ)。
1日目、3つの町で情報収集をした結果、この国には様々な問題があることがわかりました。通常なら魔王を倒して大団円で終わるRPGですが、戦後処理に追われて現実はこんなものなのかもしれません。しかし最も重い問題は「勇者に頼り過ぎ問題」です。受けた依頼、期待の目は数知れず。プレッシャーで寿命が縮みそう(もとより5日間しかありませんが)
2日目はいよいよダンジョンに入ります。弱体化の影響はどのように現れるのか!? お楽しみに!!