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インサイドの公式キャラクターであり、サイトを彩ったり記事に顔を出したりと大忙しな「インサイドちゃん」。実にありがたいことですが、その活躍は様々なゲームにも及んでいます。
『蒼き雷霆(アームドブルー) ガンヴォルト』では、昔懐かしい“隠しキャラ”的な扱いで登場。ゲットするとクードスが1000ptになるといった、隠しキャラらしい効果があるのも見逃せないポイントです。また『フルボッコヒーローズX』や『BFB 2015』にも参戦。至近では、『女子メカ』とのコラボレーションも果たしました。
ちょっと変わったところでは、『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』にてインサイドちゃんの衣装が入手できたり、「Spine」を用いて動くインサイドちゃんが作られるなど、ユニークな展開も遂げています。
特に、「インサイドちゃんを動かしたい」という想いは前編集長も強く抱いており、その模索は今もなお続いています。そしてこのたび、成果のひとつと言える新たな“インサイドちゃんモデル”の発表を迎えることができました。
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このたびお披露目される“インサイドちゃんモデル”は、1枚のイラストを元にキャラクターを動かすことができる「Live2D」で作られたもの。手間のかかる3Dモデルを作る必要もなく、また大量の動画も不要で、元となるイラストの魅力をそのままに動かすことができる「Live2D」。今やゲームやアニメをはじめ多彩な舞台で活用されており、今後の発展も含め高い注目を集めているツールのひとつです。
さらに、あの“誰でも二次元美少女になれる”PCソフト「FaceRig Live2D Module」にも対応。本稿で使用している画像は全て「FaceRig Live2D Module」で撮影したもので、誰でもインサイドちゃんになりきることができるようになりました。
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今回は「Live2D」で新たに描かれたインサイドちゃんの披露だけにとどまらず、なとんそのモデルとデータを無料配信いたします!ご自由にお使いください。また、インサイドちゃんモデルを制作していただいた早野敏氏をお招きし、「Live2D」の特徴や本データのポイントなどを伺いました。
■Live2Dモデル+FaceRigデータのダウンロード
http://library.live2d.com/Libraries/view/000105
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──まずは、読者の方々に向けた自己紹介をお願いします。
早野氏:普段は、Live2DやLightWaveなどで制作したキャラクターモデルにちょっとした動きを加えて、Twitter(@kouhei512)といったSNSにアップして色んな方々に見てもらっています。最近は、『FaceRig Live2D Module』を用いて、「ガールズ&パンツァー」のキャラクターとボイスチェンジャーを組み合わせたニコニコ生放送の配信などもしています。あと、短時間のアニメーションを表示できるpixivの「うごイラ」などもやってますね。
──活動の場を拡げながら、創作活動を行っているんですね。
早野氏:アニメのキャラクターが割と好きなので、それを2Dや3Dで表現して動かしています。元々はゲーム関係の会社に所属していたんですが、今はフリーで活動中です。
──早野さんにとって印象深いLive2Dとの出会いは、どのような方でしたか?
早野氏:仕事関係で誘われたこともあったんですが、直接見て驚いたのは「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のアプリとゲームですね。
──「Live2D」が飛躍するきっかけとなったアプリ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない iP』とPSPソフト『俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル』ですね。
早野氏:その後、「Live2D」を使ったデモ版を制作するという仕事なども入り、そこから徐々に「Live2D」と関わる形になっていきました。その時にはもう、「Live2D」はこれから伸びてくるだろうという、目算というか手応えは感じましたね。
──今や様々な作品やコンテンツを「Live2D」が支えていますが、クリエイターさんから見た「Live2D」の魅力というのは、どのような部分でしょうか。
早野氏:一枚のイラストを動かすことができる、というのはもちろん「Live2D」の魅力のひとつなんですが、今は『Spine』なども出てきており、作る側が選ぶ技術にも選択肢が出てきています。その中で自分がより魅力を感じているのは、さきほども軽く触れましたが、『FaceRig』との連携性ですね。
その他だと、ユーザーと共有する意識が強いようにも感じます。単なる業務用のツールではないところも、魅力のひとつですね。あとアバターに特化したツールだと思っているんですが、アバターってやっぱり作りたいですね。
──ゲームでも、キャラメイクがあるとじっくり向き合う方が多いですし、自作したアバターをニコニコ生放送でお披露目している方もいますよね。
早野氏:オリジナルでやっている方、版権キャラでやっている人、様々いますね。
──クリエイターさんの視点から見て、「Live2D」は扱いやすかったりしますか?
早野氏:そうですね、バージョン「2.0」が出る前までは、初心者の方には難しい面もあったかと思います。ですが今は、テンプレートモデルがありますし、自動的にポリゴンを割ってくれるといった便利なスクリプトやエンジンもあるので、かなり扱いやすいと思います。
──サポートしてくれる機能も充実しているんですね。
早野氏:初心者の方が、「とりあえず自分の絵を動かしたい!」というモチベーションで取り組むとしたら、他のツールよりも向いていると個人的に感じています。
これからは個人クリエイターの時代かなと思っているので、「Live2D」のような優れたツールが広まることで様々な作品が作られたり、モーションやキャラクターデータの共有化が進んで更に作りやすい環境が促進されて欲しいですね。
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──受けとる側の1人としても、更なる活性化に期待するばかりです。それではここからは、「Live2D」インサイドちゃんモデルに関してお聞かせください。まず、インサイドちゃんモデルを制作する上で苦労した点などはありましたか?
早野氏:これは「Live2D」に限った話ではないんですが、1枚の絵をすぐに動かせるわけではないんです。まずは絵に対して、下準備のようなアプローチが必要でして。
──絵はずっと描いてきたけどこういったツールに触れるのは初めて、という人は戸惑うかもしれない点ですね。ちなみに、インサイドちゃんのデザイン的に大変だったりしましたか?
早野氏:実はインサイドちゃんを見た時に、これはぜひやりたい(「Live2D」で動かしてみたい)と思ったんです。デザイン的に好みだったため、むしろ気持ちを入れて作業することができました。
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──そうだったんですね。気に入っていただき、ありがとうございます。
早野氏:あと、苦労というかこだわった点なんですが、今回用にいただいたインサイドちゃんのイラストが全身図だったので、難しかったんですが足も動かそうと思って取り組みました。どこがちょっと大変でしたね(笑)。
──ご苦労をおかけしました(笑)。言われてみると、個人が公開している「Live2D」のキャラは、バストアップのものが多いですね。
早野氏:そうなんですよ。でも「Live2D」は全身動かすことができるので、そこは努力次第ですね。『FaceRig Live2D Module』(のユーザーメイドアバター)も首から上だけ動く、というものが多いですし。こちらは、作り的に仕方のない部分もあるんですけどね。なので、「Live2D Euclid」が出た暁には、更に大きな変化が訪れるのかなと思います。
──360度の回転を実現させるという「Euclid」、一人の受け手としても実に楽しみです。
早野氏:「Euclid」が出たら、インサイドちゃんをそちらでも動かしてみたいですね。個人的に気に入っているキャラなので、色々とやりたいですね。
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──ぜひぜひ、よろしくお願いします! では、今回のインサイドちゃんモデルの見どころは、ズバリ「足」と(笑)。
早野氏:そこはひとつのポイントだと思います(笑)。あ、それと手も上にちょっと動くようになっています。頂いた原画のポーズが可愛かったので、あのポーズを再現できるようにとこだわりました。
あとは、前の方にちょっと傾けるという仕草も入ってます。これは「Live2D」ならではなんですが、作業を進めた後でも「ポリゴンの割り方」を変えることがやりやすいんです、他のツールと比べて。「アニメーター」と「モデラー」に分かれているおかげですね。
──作業をある程度進めた後でも、そういった調整がしやすいんですね。「Live2D」は今後も活気を増して欲しいので、今回のインサイドちゃんモデルの配信がその一端になってくれると嬉しく思います。
早野氏:はい。色んな方に見ていただけたら自分も嬉しいです。ところで、インサイドちゃんのモデルと「FaceRig Live2D Module」を使って、ニコニコ生放送などで配信をしようかなと思っているんですが、よろしいでしょうか?
──全然大丈夫ですよ。むしろ、こちらからお願いしたいくらいです(笑)。
早野氏:それと、確約とまではいかないんですが、自分的に表情などでまだ納得し切れていない部分があるので、もし可能だったらバージョンアップが出来ればなと思っています。
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──おお! その時はまた、よろしくお願いします! では、インサイドちゃんの今後に関して嬉しい見通しもいただけたところで(笑)、早野さん自身の今後の活動に関して伺ってもよろしいですか?
早野氏:そうですね。今は、できるだけ多くのアバターを作ったりしながら、より多くの方々に知っていただけたらと。「Live2D」とは、個人的な活動としても、業務としても関わっていきます。もちろん他のツールも使っていきますが(笑)。
──ではこれからも、「キャラクターを動かすこと」に励まれるわけですね。
早野氏:はい。「動かせるもの」を少しでも多く制作したいという気持ちです。
──早野さんは、動くキャラクター作りを通して、何を表現したいとお考えでしょうか。
早野氏:「人体」を表現したいですね。そこをこだわって表現できればと目指しています。様々なツールを使いこなして、完成度の高い人体を作りたいという欲求が大きいですね。
……ただここ数年くらいは、あまりリアルなのはちょっとキツイかなとも思ってます(笑)。2000年前後に「デジタルビューティ」というブームがありまして、その影響を受けたりもしたんですが、「不気味の谷」を抜けるのは難しいですよね。
──キャラクター描写がリアルなほど、「不気味の谷」が立ちはだかりますよね。
早野氏:もちろん、それを感じさせないような作品も数多くありますが、ハードルが高いのは確かですよね。日本市場への受け入れやすさなども含めて考え、リアル方向に関しては今封印し、アニメ造形的なキャラクターに注力しようと思っています。
──「Euclid」含め、新しいツールや技術が出たら、それをまた取り込みつつですね。
早野氏:はい。新しいモノが出たら、また更に新しいことにチャレンジしていきたいです。
──これからのご活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました!
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