本稿は、2015年9月に公開した記事を加筆・再構成したものです。
2015年9月10日にiOS/Androidアプリ『Pokemon GO』が発表されました。『ポケットモンスター』シリーズを展開する株式会社ポケモン、そして位置情報を利用した陣取りゲーム『イングレス(Ingress)』を開発したNiantic,Inc.、さらには任天堂も専用ハードの開発・製造に協力するというプロジェクトになっています。
『Pokemon GO』は、まさしくそれらの企業の技術が活用されたゲームになっており、位置情報を活用し現実世界で「ポケモン」の捕獲やバトルを体験することが可能。家の外に出てポケモンを探したり、他のプレイヤーとの出会いを通じてゲームを楽しめます。
日本では2016年7月22日から配信が開始された本作ですが、改めて『Pokemon GO』が発表されるまで、そして配信されるまでにおいて、GoogleおよびNiantic,Inc.、そして株式会社ポケモンの取り組んできたことを、関連した当サイトの記事と合わせてご紹介します。
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『イングレス』は、2013年にGoogleから配信されたゲームです。スマートフォンのGPS機能を利用し、現実世界にある各地の「ポータル」とリンクした陣地を奪い合うというルールになっています。物珍しい内容ということもあり、まずはゲームとして人気を博しました。
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そして、現実世界を舞台にしていることもあり、地域の活性化に繋がるといった副次的効果も発生。まさしくゲームの外に飛び出し現実を巻き込むほど流行は大きくなり、第18回メディア芸術祭では『イングレス』が大賞を受賞したほか、2014年12月に開催された公式イベントには5000人ものプレイヤーが集結しました。
なお、2015年8月には、本作の開発・運営を担当しているNiantic,Inc.がGoogleから独立。2015年10月には任天堂・ポケモン・グーグルの3社が最大3000万ドル(約36億円)を出資することで合意し、2016年2月にはフジテレビも投資を発表しました。
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さて、Googleと株式会社ポケモンの繋がりとしては、2014年4月1日に行われた「グーグルマップ ポケモンチャレンジ」が挙げられるでしょう。これは、「グーグルマップ」に登場するさまざまなポケモンを捕まえて遊ぶというエイプリルフールのジョークでした。
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またGoogleはイベント終了後、世界の“ポケモンマスター”に名刺風の認定カードを送付するといったことも行っていました。
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このような経緯があれば、『ポケモン』と『イングレス』が結びつくのも不自然ではないでしょう。前述のように、2015年9月10日に『Pokemon GO』の発表会が実施されました。ポケモンに関する展開でこれだけ大きな発表会を行うことはこれまでなかったと株式会社ポケモンの石原恒和社長は語り、「私は『イングレス』に衝撃を覚え、夢中になり、同時に『ポケモン』と共通する哲学があると感じました」「今回だけはしっかりみなさんに直接伝えていきたいと考え、このような場を設けさせていただきました」とその胸の内を明かしました。石原氏曰く、このプロジェクトは2年に渡り任天堂の岩田聡氏と取り組んできたとのこと。岩田氏と共に発表することが叶わなかった想いも背負い、臨んだ発表会となりました。
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この発表会ではNIANTICのCEOであるジョン・ハンケ氏も登壇し、「このようなエキサイティングな発表ができて嬉しく思っています」「石原さんと私は共通のビジョンを持っており、新しいポケモンを作れることに興奮を覚えました」とコメント。ゲームフリークの増田順一氏が「世界観の構築」「ゲームデザイン」「音楽」に関わることも発表されました。
また『Pokemon GO』発表後には、Niantic,Inc.の川島優志氏が本作に関するメッセージを公開。本作には任天堂の前社長である岩田聡氏も大きく関わっており、彼に対する思いも綴られています。
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ここからは順次情報が解禁されはじめ、2016年3月からはアプリ正式リリース前のフィールドテストが実施。ポケモンの捕まえ方など基本システムの情報も順次公開され、じわじわと盛り上がりを見せていました。
2016年6月に開催されたイベント「E3 2016」では、周辺機器である「Pokemon GO Plus」が“7月の終わりまでには発売される”といったコメントも飛び出し、さらに期待が高まっていました。
そしてついに、2016年7月6日ごろより一部の国で『Pokemon GO』の配信が開始。Google Playのページはできているのに日本からではインストールできない点、アメリカで配信が開始され盛り上がりを見せている点などから、国内のポケモントレーナーたちは指をくわえるかのような気持ちで待つことになりました。
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日本で配信開始となったのは2016年7月22日。焦らされたこともあり、国内でも一気に『Pokemon GO』がブームとなりました。アメリカでは『Pokemon GO』を遊ぶプレイヤーを狙った強盗事件などが発生していたこともあり、日本政府や内閣官房長官が注意喚起を行い、TVニュースでも取り上げられない日はないというほどでした。
ゲーム内アイテムを獲得できる「ポケストップ」が設定された場所、そしてレアなポケモンが登場すると噂される場所では、ポケモントレーナーたちがたむろす事態に。一方マクドナルドはコラボを行い、むしろ積極的にポケモントレーナーたちを呼ぶ企業も出てきています。
現在(記事執筆時)には、『Pokemon GO』のDL数は全世界で7,500万を達成。モバイルゲームの歴史に残るほどの人気で、もはや社会現象と言っても差しつかえ無いでしょう。
『Pokemon GO』は、『イングレス』の「ポータル」などユーザーとともに作り上げたゲームデータを元に、『ポケットモンスター』という要素を加えて作り上げられた作品です。GoogleやNiantic,Inc.が研究し続けた新たなジャンルのゲーム、そして任天堂や株式会社ポケモンが20年間も育て続けてきたポケモンたちが融合することにより、ここまで大きなブームができあがったのです。
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『Pokemon GO』は配信中。基本プレイ無料(アイテム課金あり)です。
(C)2016 Niantic, Inc.
(C)2016 Pokemon. (C)1995-2016 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.