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古今東西、実に数多くのゲームタイトルがリリースされてきました。家庭用ゲーム機の一大ブームを築き上げたファミコンの登場から数えても、すでに30年以上が経過。時代の移り変わりと共に新ハードも続々と登場し、多彩なゲームが登場しています。
ジャンルひとつをとっても実に幅広く、戦争を描く写実的なACTやサスペンス要素溢れるADV、冒険の世界に挑むRPGなど、列挙に暇がないほど。またモチーフも様々で、アイドルやプリンセスといった、多くの方が憧れる存在を扱うゲームも少なくありません。
特に「プリンセス」は、モチーフとして盛り込まれるだけでなく、時にはタイトルの一角に据えられることもあるほど。約20年も前に登場した『消えたプリンセス』や、まさに王女様を育てる(ことも可能な)『プリンセスメーカー』シリーズ、わずか13歳の少女が大きな剣を手にして戦う『プリンセスクラウン』など、いずれも「プリンセス」たちを、魅力的な形で描いた作品ばかりです。
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そして2016年11月24日に、また新たな「プリンセス」のゲームが登場します。しかしこの『プリンセスは金の亡者』は、タイトルからしても「普通の王女」なゲームではありません。なんと資本主義が台頭し、「金こそがチカラ」というユニークな世界が舞台になっています。
尖っているのは世界観だけでなく、本作の主人公である“プリンセス”もひと味違います。かつては心優しい少女でしたが、親の借金によって家族も祖国も失い、亡き父の未練を果たすために悪徳金融業者“ドラゴローン一家”への復讐に挑む、金しか信じないクールな現実主義者なのです。
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本作のジャンルは、いわゆるアクションRPGですが、ポイントになるのは「金」。これまでの「プリンセスなゲーム」にはなかった切り口が目を引く一作ですが、「金」とゲームシステムがどのように結びつくのか。非常に興味をそそられたので、東京ゲームショウに出展されていた試遊台でプレイしてみました。
試遊版をスタートさせると、まずはチュートリアルに。操作や各種ボタンの説明などを学びつつ、アクション内容も確認。基本的な攻撃は、通常攻撃の□ボタン、ヘビーアタックの○ボタンで行い、×ボタンを押すとローリングで回避。また□ボタンと×ボタンの同時押しで敵を吹き飛ばすなど、戦略的に使えそうなアクションも用意されています。
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そして、本作の切り口と切っても切れないシステムが、「買収」です。プリンセスは“電卓”を持っており、敵モンスターごとに設定された金額を“電卓”に入力し、対象をタッチすることで「買収」できます。買収したモンスターはこちらの味方になってくれるので、まさに「金こそがチカラ」です。
また“電卓”は「買収」だけでなく、「銭奇跡」を起こすことも可能。打ち込んだ金額が高いほど強力な奇跡を起こすことができるので、窮地に陥った時の切り札として使うもよし、金持ち気分を味わうために使うもまたよしです。
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基本的なゲームシステムを理解したところで、いよいよ本格的な戦闘開始。群がる敵に向かって□ボタンを連打すると、小気味よいSEと共に連続攻撃を繰り出す我がプリンセス。2頭身の可愛らしいデフォルメキャラですが、パンチが大きくなる演出もあり、見た目と音の相乗効果が「戦っている実感」をしっかりと味わわせてくれます。×ボタン回避も使いやすく、アクションRPG面の爽快感はなかなかの手応えでした。
ちなみにお金は、敵を倒すことで入手。試遊版では、わざわざ拾いに行かずとも、落ちた金が自然とプリンセスの元へ飛んできました。お金は強い者に従う、ということでしょうか。ちなみに敵が「BREAK状態」になると、その敵をタッチすることで更にお金がもらえます。なんだかちょっとカツアゲ気分。
お金を稼ぎつつ先に進んでいくと、フィールドの先に閉じた門が。他にルートもなく、また門を開ける鍵のようなアイテムもなかったため、どうしたものかと思案していたら「買収」できる模様。……門の買収ってどういうこと!? 金のチカラは想像以上に偉大です。
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またフィールドには、プリンセスにダメージを与える罠も点在していますが、こちらもやはり「買収」可能。無効化できるだけでなく、敵にダメージを与えることも。また、更に先に進むと「回復魔法陣」がありましたが、こちらも「買収」すると利用できるように。魔法陣を買収するとか、他のゲームで見たことありません。そのお金、何に使うんですか魔法陣さん。
敵も罠も回復も、お金のチカラで有無を言わせず突き進む『プリンセスは金の亡者』。アクション性も小気味よさもあり、また「お金」の存在はユニークさだけでなく、難易度の変化にも一役買っているようです。アクションが少々苦手な方は、稼いだ「お金」を頼りに突き進むのもひとつの手でしょう。
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プレイして気になったところと言えば、“電卓”の金額入力をはじめ、画面にタッチする機会を多く感じた点です。タッチしている時は攻撃が疎かになるので、敵から逃げ回りながらタッチすることもしばしば。プリンセスを動かしながらスムーズにタッチするには、少しなれが必要かもしれません。
「お金」や「買収」など、本作らしい部分でタッチ操作が入るため、この部分の操作性が向上すれだけで、プレイ感覚自体が更に良くなることでしょう。爽快感やテンポが良いだけに、余計に勿体なく感じてしまう部分です。とはいえ、今回のはあくまで試遊版。操作方法も含め、製品版では更なるブラッシュアップが行われている可能性も充分にあります。個性的な本作が更に輝けるよう、今後の展開に期待するばかりです。
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