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続いて「84」の食事について紹介しましょう。カウンターにはその日のメニューが並んでおり、ここから好きなものを選んで注文するという形式になっています。
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この日のメニューは、さばのバジルオイルソテー、ガリバタチキン、ギョウザ、にら焼餅など。料理担当スタッフのはなさんは、このようなおかんごはんが得意なんだそう。
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今回はインタビューのために訪れた筆者ですが、橋本さんの薦めるがままにビールを頂いてしまいました。サントリーの超達人店に認定されているだけあって泡がきめ細やか。アルコール類は日本酒やカクテルなども用意されています。
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料理は87のえだまめ、豚コマ大根、麻婆茄子をオーダー。枝豆は宮崎県で有名な調味料「マキシマム」で味付けされており、ビールとの相性抜群。麻婆茄子はものすごくご飯を食べたくなる味でした。
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豚コマ大根はしっかり染みていてほっとするような味です。橋本さんによると、一部のお客さんから「お店で食べるようなご飯ではない」と言われることもあるそうですが、そのくらいに実家で出てくるようなおかんごはんなのです。
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しかし、前述のビールのようにこだわっているメニューも存在します。お米は北丹波産の高級米が使われており、目の前で炊きあがりを楽しめる「自炊ごはん ~Do it Kama-self ~」も用意されています。綺麗な米粒、湧き上がる湯気、釜の内側についた水滴が実にフォトジェニック。目の前で炊くということもあって一時間ほどかかるのは難点ですが、炊飯器で炊いたふつうのご飯もメニューにありますし、漬物や味噌汁のついた定食セットも頼めるのでご安心を。
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米粒は小さめでしっかりしており、甘みは控えめで良い香りが印象的でした。そのままおいしく食べられるのはもちろんですが、麻婆茄子のひき肉が合うのなんの。
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そして、〆は「第1/2旭ラーメン」。あっさりとした醤油スープとほどよい脂がおいしく、呑んで食べたあとだというのにあっという間に完食しました。このラーメンは京都駅近くにある「第一旭」というお店から取り寄せた材料を使って提供しており、毎週木曜日のみ頼むことができます(木曜日は本家が休みのため)。名前のとおり、サイズは1/2です。
橋本さんは18歳のころから36~37年ほど第一旭に通っており、店をやると決めた時にこのラーメンを自分のところでも出せないかと考えたそうです。しかし、第一旭の大将はかなりのコワモテ。勇気を出して「自分が責任を持って提供します」と書いたラブレターを出したところ、OKをもらえたとのこと。しかも、そこから大将と仲良くなって飲みに行くようになったそうです。