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花火に照らし出されながら、その日は初のゲームオーバーを迎えました。休水怖いよう……。しかし本作は、陽明の身に「死に戻り」という現象が起き、死ぬと時間が巻き戻り、やり直すことができます。ただの再プレイとは異なり、陽明自身が以前の記憶を持っているので、これまで選ぶことの出来なかった選択肢を辿ることで、新たな展開へと突入しました。
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そんな「死」と隣り合わせの展開が『レイジングループ』では続きますが、このお盆も死と生を改めて意識させられるひとときです。場所によって風習も異なることと思いますが、送り火を焚いて、縁のある大切な方々をお迎えしたり、墓参りに出かけたりと、そんな行事が多々あります。個人を想い、偲ぶ時間が自然と生まれるのも、お盆ならではの景色と言えるでしょう。
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そんな行事の最中や合間には、さすがにゲームはプレイできません。なので、引き続き就寝前にじっくりプレイ。家族が寝静まった中でのプレイは、『レイジングループ』の内容と相まって、独特の緊張感を醸し出します。
選択肢が変わると、展開はもちろんキャラクターの行動や反応にも変化が現れ、新たな部分が見えてくることも。「逃げて」と促した人物・回末李花子が意外な一面を覗かせたりと、「死に戻り」による新たな刺激がよりプレイに没頭させてくれます。
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以前のプレイで陽明が被った“死”は回避できたものの、休水全体に降りかかる悲劇には立ち向かわねばならず、村人の中から“おおかみ”を見つけ出すための儀式「黄泉忌みの宴」が幾度も繰り返されます。
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その都度、理性と感情がぶつかり合い、また人間関係のしがらみやすれ違いなども痛ましく交錯。躊躇すれば人死には増え、決断すれば人同士の絆が綻ぶ、どちらに転んでも厳しい状況が続きます。そんな彼らと陽明が掴み取る結末を求め、プレイを続けていき──。
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結果から先に述べると、『レイジングループ』のエンディングに辿り着くことができました! ただし最初のルートの!!
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本作における「死に戻り」はゲーム進行中のみならず、最初のエンディングを迎えても発生。確かに「ひとつの物語の終わり」という形はしっかりと描かれていましたが、多くの謎は残っており、モヤモヤも晴れないまま。全体的な結果としては、挑戦は達成ならずという形となりました。ぐぬぬ……。
ちなみに、ひとつ目のエンディング(+α)までは、スマホ版では無料でプレイできる範囲。ここまででもボリュームたっぷりなので、太っ腹と言えるでしょう。ですが、プレイした実感として力強く言わせてもらえるならば、「ここで終われるわけがない!」な結末なので、スマホの無料版をこれから遊ぶ人は要注意……というか、購入する決意も持ちつつのプレイを推奨いたします。
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そんなわけで、再び新幹線を使って帰宅した後もプレイを続行し、『レイジングループ』無事クリア。挑戦は失敗ですが、お盆休みを利用してスタートしたことで、その後も継続的なプレイに繋がり、エンディング制覇に繋がりました。挑んでみてよかった……! もちろん、内容も大満足の一言。キャラクターの魅力、意外な展開、張られた伏線の回収など、謎と巨富に彩られた物語に没頭する日々は、振り返ってみれば贅沢で楽しい時間でした。性質上、物語色の強いゲームなので、合う合わないの相性はあると思いますが、公式サイトを見て気になったならば、プレイしてみる価値がある一作です。
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強いて注意点を上げるならば、「没頭しすぎて数日徹夜……なんことになるやも」といったメッセージがゲームの冒頭に登場しますが、この言葉に偽りなしです。正直、朝日が昇りかけて慌てて寝たこともありました。しかも、『レイジングループ』を遊ぶ夢を見るほどです。そんな夢の中の『レイジングループ』もなかなか壮絶でしたが、起きてからプレイした本物の方が更に上回っていたという、二度美味しいんだか二度怖いんだか分からない体験も味わいました。
『レイジングループ』がお勧めなのはもちろんですが、何かと用事ができやすい長期休みでも、合間をぬってゲームをプレイするのは充分可能というのが今回の実感です。9月には3連休があるので、忙しさの隙間を狙って楽しむゲームライフを味わってみてはいかがでしょうか?
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