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2019年9月12日から15日にかけて、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2019」(以下、TGS2019)。セガブースではシリーズ最新作『新サクラ大戦』の試遊が公開され、活況を呈していました。
週刊ヤングジャンプで漫画版の連載がスタートし、アニメ版の制作も発表。そして舞台化も決定するなど、「サクラ大戦」シリーズらしいメディアミックスが展開される『新サクラ大戦』。本編についても驚きの新情報が公開され、ますます注目を集めています。
シリーズの新たな展開は、果たしてどのように行われたのでしょうか?プロデューサーを務める片野徹氏とディレクターの大坪鉄弥氏に、その試みについてうかがいました。
新作発表から今までの反響
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――今年3月に『新サクラ大戦』を発表してから現在までの反響はいかがでしょうか。
片野徹氏(以下、片野)大変温かいご声援を頂いています。こちらの想定以上にポジティブな声で、びっくりしております。
大坪鉄弥氏(以下、大坪)何か発表をするたびにTwitterを含めて盛りがってくれるので、開発チームとしてはありがたいですね。
――ファンは盛り上がってますね。新作発表から半年のあいだで、もっとも手応えがあった仕掛けはなんだったのでしょうか。
大坪一番はキャラクターデザインを担当した久保帯人先生の発表ですね。
片野それがもっとも話題になったのかも、と思います。個人的には何を発表してもみんな「わーっ!」て喜んでくれて、こちらとしては毎回「大丈夫かな~ドキドキ」って思ってるんですけれども、それが杞憂になるぐらいの反応を必ず頂けて嬉しいです。
――先日も、ポニーテールの仮面剣士で声優が横山智佐さんという新キャラ「夜叉」が登場して、Twitterでも「いったい何が起きてるんだ?」みたいにザワザワしてたんですよ。そのまんま想像通りの正体なのか、それとも「裏がある」と深読みすべきか?みたいに。
大坪発売までぜひともザワザワし続けてほしいですね~!(笑)。ネタバレになるので言えないことが多いんですけども、そこはプレイされるまで「どういうことなんだ?」って悩んでいただきたいなと思っています。本編で確かめていただいたほうが、喜びもひとしおだと思います。
「華撃団競技会」での戦いとは?
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――『新サクラ大戦』の世界観では、これまでの降魔のような敵ではなく、全世界で「華撃団競技会」を行うことがフィーチャーされていますよね。一部ではこれを「来年の東京オリンピックに照らし合わせた設定では?」って声もあるのですが、いかがでしょうか。
片野シリーズのストーリーライン上、いったん降魔の脅威っていうのが去っているんです。『新サクラ大戦』本編の時代から10年前に起きた「降魔大戦」という戦いによって、脅威だった降魔が去り、平和な時代が訪れたところがあの話の続きなんです。
そこで今後の平和を守るため、各国に都市防衛構想となる華撃団を設置しましょうというお話になります。有事に備え、隊員が自分たちの技などを競うための競技会を開催するということなので、一応「平和の祭典」ではあるんですよね。
ただ、3回目を迎える華撃団競技会が「あれ?なにかちょっと違った感じになってきたぞ?」っていうのが今回の話です。そこはあまり詳しく言えないんですが、ゲーム本編で体験いただきたいなと思ってるところです。
――これまでに各国の華撃団で伯林や倫敦からの隊員たちが紹介されましたが、過去のシリーズで登場した巴里や紐育の華撃団も登場するのでしょうか。
片野そうですね……(間をあけて)発表させていただいた内容としては、伯林華撃団で今回活躍する華撃団の情報は打ち止めということになっております。
大坪すべてを一作で掘り下げるのはちょっと難しいので、この先どういう風に変化させるかはちょっと考えていかなきゃなと思っています。
片野おいおい情報を出していければと思います。今の帝国華撃団花組にも、ファンには愛着を持っていただきたいですし、作る我々もすごく愛着があります。ここをもうちょっと広げて、皆様にも体験していただきたいですね。
生まれ変わったアドベンチャーパートとバトルパート
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――続いてアドベンチャーモードについて質問です。今回フル3Dになり、世界観に入り込む印象に変わりました。これらの表現について、おうかがいしてもよろしいでしょうか。
大坪キャラクターの表情に関しては意識して作っています。うちの名越(※編集注:「龍が如く」シリーズで知られる名越稔洋氏)からとにかく言われているのが、「キャラクターの表情は豊かにしろ!」ということなんです。僕らも何度もトライ&エラーを重ねて、今の形にしています。演技自体はモーションキャプチャーで役者さんにやってもらっているので、メリハリがあります。先ほどおっしゃられたように、「世界観に入り込む」ことも全体的に意識して作っていますね。
――次にバトルパートについてです。本作は過去シリーズのシミュレーションではなく、アクションに変化しました。試遊では2キャラを切り替えて戦う形でしたが、今後は複数の隊員と同時に出撃することがあるのでしょうか。また、どういう形でコミュニケーションを取るのでしょう。
大坪操作を切り替えて遊べるということで、基本2キャラで出撃します。ただゲームが進行していくと、隊員たちが救援に入ってきたり、通信でコミュニケーションしたりするんですね。物語もその中で進んでいきますし、「サクラ大戦」らしい形にしています。
片野まだはっきりとは言ってないところがあるんですけど、ふたりだけじゃないことも場合によってはあります。
――アクションパートを試遊してみて、僕がうっすら思い出したのは『サクラ大戦3』のミニゲーム「光武ナックル」でした。
大坪(嬉しそうに)懐かしいものを出してきましたね~!2019年にあらためて「サクラ大戦」を出す時に、「どういうジャンルがいいんだろうか?」といちから考えた結果、今の時代的にはアクションゲームという選択肢がいいだろうってところもあって。ただ「サクラ大戦」らしい要素も引き継いでおり、”あの”合体攻撃の演出も用意しています。
片野あの異次元空間ですね(笑)。
すべてが舞台の続き。メディアミックスについて
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――『新サクラ大戦』は漫画版の連載とアニメ版の制作、そして舞台版が発表されました。「サクラ大戦」シリーズならではである、これらの展開に関してもお伺いできますか。
片野発表させていただいている内容以外のことに関しては、まだお伝えできることってないんですけれども、進行しているものもありますし、ご期待されてるようなことでまだ実は何も進んでいるものもあったりはするので、多分近いうちになにかあるかなと。
大坪今回のプロジェクトにあたって、セガグループだけではなく、セガサミーグループでいろんなことをやっています。まだまだこの先をご期待ください!
片野私以外の人も、いろいろ考えて提案してくれてたりもするので、できればこれらを全部実行できるようにやっていきたいと思っています。
――最後にファンに向けて一言をお願いします!
大坪TGS2019では非常に多くのお客さまに触って頂きました。12月12日の発売に向けて開発チーム一同、最後の追い込みを頑張っております。12月に桜が咲くようにやってまいりますので、ぜひともよろしくお願いします。
片野発表以来、本当に暖かいご声援を頂いております。やっぱりリブートということで、今まで支えてきてくれたファンの方々のおかげではもちろんあるんです。ここからさらに桜を花咲かせていくためには、新しいファンの方々が必要で、そういう方々を迎え入れて一緒に盛り上がっていきたいなと思っております。
ぜひともこれまでのファンの方々は、新しいファンの方々にその魅力を存分にお伝え頂ければと。また、新しいファンの方々向けとして、限定版に古き良き「サクラ大戦」についてのコンテンツも入れております。それを読みながら『新サクラ大戦』を遊んでもらうと、「サクラ大戦」の歴史ってすごいものなんだな、とわかると思います。
作る側とユーザー、良いバランスで相乗効果を得て、「サクラ大戦」のIPが広がっていくことが私たちの夢です。ぜひご協力をお願いしたいと思っております。
――年の瀬の桜満開をご期待しております!本日はお忙しいところ、ありがとうございました。