そんな両作のPC移植版が2020年1月23日(木)より、Steamにて配信開始となりました。今回は『偽りの仮面』&『二人の白皇』のPC版配信開始に際し、改めてその魅力を掘り下げていきます。
先日発表された『二人の白皇』のアニメ化や、スマートフォン向けRPG『うたわれるもの ロストフラグ』など、再び盛り上がりを見せるシリーズへの入門にピッタリのタイミングとなっているので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
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『偽りの仮面』&『二人の白皇』のシリーズでの位置付けは?
まずはシリーズに初めて触れる方もいるかと思いますので、簡単にその魅力を記します。現在シリーズの主なタイトルとしては、『散りゆく者への子守唄』『偽りの仮面』『二人の白皇』『ロストフラグ』が存在。加えて『偽りの仮面』の物語をアクションゲームで追体験できる『うたわれるもの斬』といった作品もあります。
『ロストフラグ』は現状一番新しい作品となり、シリーズキャラも多数登場しますが、まだまだ謎が多いといった状況です。今後の展開に期待が持てるのはもちろんですが、手軽なスマートフォン向けゲームということで、本作をキッカケにしてシリーズに興味を持ったという方もいらっしゃることでしょう。
そんなシリーズの本編作品が、『散りゆく者への子守唄』『偽りの仮面』『二人の白皇』の3つです。先述した通りの順番で時系列が繋がっており、今回PC版の配信がスタートするのが、2作目の『偽りの仮面』と3作目にして完結編となる『二人の白皇』ということになります。
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「3部作の2作目からプレイして大丈夫なの?」と疑問に思った方は間違いなくいらっしゃると思います。実は『偽りの仮面』&『二人の白皇』は世界観が共通なものの、『散りゆく者への子守唄』から舞台と登場キャラクターが一新されています。このため、『偽りの仮面』からプレイしても存分に楽しめるのです。
ただし、『偽りの仮面』の直後を描いた完結編の『二人の白皇』だけは話が別で、『散りゆく者への子守唄』と『偽りの仮面』の重大なネタバレが序盤からバンバン飛び出します。なのでプレイは一番最後に回すと良いでしょう。まずは『偽りの仮面』から触れてみてください。
『散りゆく者への子守唄』の物語につては、知っておくと『偽りの仮面』&『二人の白皇』がさらに楽しめるのは間違いありません。『偽りの仮面』&『二人の白皇』との繋がりがここでは語りつくせないほどあります。
どうしてもそちらが気になるという方は、ストーリーを追うだけなら無料でダウンロードできるスマートフォン版やTVアニメ版などがありますので、ぜひそちらをチェックしてみてください。
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シリーズの魅力は和風な世界観で描かれる戦記である点
このように多数の作品を擁している『うたわれるもの』シリーズですが、その魅力はズバリ“和”のテイストを盛り込んだ“戦記物”であるところです。もちろんこれ以外の全てが魅力的だと言えるのですが、その根幹にあるのがこのポイントです。
甘露樹さん、みつみ美里さんといった有名イラストレーターさんたちがキャラクターデザインを担当している本シリーズ。女の子たちも大変可愛らしいのですが、ハクオロやハクといった主人公勢をはじめ、男性キャラクターたちも濃い活躍を見せてくれます。
主人公を除いた全てのキャラクターがケモミミに尻尾と、所謂“ケモナー”なみなさんには堪らないものとなっており、その筋の人たちにはぜひ一度プレイしてもらいたいところ。もちろんその手の趣味がない方も、絵柄の可愛らしさや精悍さから癖を感じることはないハズ。
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主人公だけが普通の人と同じ容貌なことには理由があり、その辺りの物語の奥深さも見どころです。詳しく説明してしまうとネタバレなのでここでは控えますが、全てを把握した上で再度プレイするとまた違った側面が見えてきます。そのため、周回プレイも楽しいです。
ゲームの進行は、背景イラストにキャラクターの立ち絵が表示され、テキストを読み進めていくアドベンチャー形式です。そして、自軍のキャラクター達を順番に動かし指定された条件を達成していく、ターン制シミュレーションRPGのバトルパートがあります。
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アドベンチャーパートでキャラクター達の関係性や物語を追いかけ、バトルパートで本格的なSRPGを楽しむという形は3部作全てで共通しており、一粒で二度おいしいを地でいくシリーズなのです。
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日常メインの『偽りの仮面』と本格的な戦乱を描く『二人の白皇』
ということで、ここからは『偽りの仮面』と『二人の白皇』の紹介です。『偽りの仮面』と『二人の白皇』はふたつでひとつの物語となっており、『偽りの仮面』については物語の導入部分だと言えるでしょう。その終盤で大きな転機が訪れ戦乱が本格的にはじまり、『二人の白皇』から物語が大きく動き出します。
そのため『偽りの仮面』の序盤は、様々なキャラクターたちとの出会いや主人公・ハク(CV:藤原啓治)たちが守る大國“ヤマト”の情勢の情勢などを知られる和やかな時間が流れます。
物語は雪景色の広がる地で始まり、その時点でハクは過去の記憶を失っています。そんなところをヒロインのクオン(CV:種田梨沙)に助けられ、一緒に行動するようになります。そして旅籠屋で知り合うことになる任侠者のウコン(CV:利根健太朗)やルルティエ(CV:加隈亜衣)と紆余曲折あり、一緒にヤマトを目指すことに。
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ヤマトに到着した後は、右近衛大将オシュトル(CV:???)に協力し、町の治安を陰に日向に守る生活が始まります。ハクは基本「働きたくない」という思いが前提にあるキャラクターですが、頼られるとなんだかんだと行動してしまういい性格です。
怠け者といって差し支えないですが、結局はお人好しなため憎めないのです。物語が進むにつれそんな彼に惹かれていくキャラクターが増えていきますが、きっとプレイヤー自身も彼の虜になってしまうハズ。それこそテキストを送る手を止められなくなることでしょう。
そんなハクたちの拠点となるのが“白楼閣”。拠点を得てからは日常描写の多彩さがさらに際立ち、町に出て買い物をしたり料理が得意なルルティエと新たなメニューの開発に勤しんだりと、楽しい時間が繰り広げられていきます。
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ヒロインたちとの関わりもそうですが、忘れてはいけないのが男性陣。むしろエピソードの濃さとしては男たちとのほうが濃いまであります。ウコンやマロロ(CV:杉山大)、オウギ(CV:櫻井孝宏)、ヤクトワルト(CV:江口拓也)、キウル(CV:村瀬歩)らとの酒盛りシーンは結構な数がありますので、印象に残るハズです。
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もちろん、ただ酒を呑んでいるだけな訳はなく、彼らにもカッコいい部分がちゃんとあります。むしろ、そちらのほうがメインです。戦記物ということで戦いに関する部分は彼らの独壇場。先頭を切って戦ってくれたり隠密としてサポートしてくれたりと、戦場で彼らの魅力をさらに高めてくれるでしょう。
そして終盤辺りになると、前作『散りゆく者への子守歌』から何人かのキャラクターがゲストとして登場しますので、シリーズファンには嬉しいところ。“白楼閣”の主人に関してもあっと驚く人選ですのでお見逃しなく。
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そして『二人の白皇』ですが、ある理由からクオンが離脱してしまったところから物語がスタートします。そのため当初主人公を支えメインで活躍するのは、ウコンの妹として『偽りの仮面』から登場していたネコネ(CV:水瀬いのり)です。
『偽りの仮面』ではまだまだ兄離れができない様子も見られましたが、そんな彼女の成長が見られる『二人の白皇』までぜひともプレイしてもらいたいところ。“最高の、最後へ”とのキャッチコピーは伊達ではなく、全てが結末へ向け加速していきます。
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重大なネタバレばかりのため、ここで全てを記せず心苦しいところではありますが、『二人の白皇』は本当に素晴らしい作品です。この完結を見るためにシリーズ全ての作品をプレイする価値があります。今回のPC移植版配信は本当に入門に最適の機会ですので、ぜひプレイしてみてください。
バトルの肝となるのは“連撃”システム
そして、本作のもうひとつの顔であるシミュレーションパート。マップ上のマス目に自軍のキャラクターと敵軍のキャラクターが配置されており、自軍のキャラクターを動かし敵軍のキャラクターを排除していくという流れを繰り返していきます。
このシミュレーションパートのシステムに関しては、『二人の白皇』で追加される隣接した二人のキャラクターで発生する“協撃”や、特定のキャラクター同士で発生する協撃必殺技以外に大きな変更はありません。『偽りの仮面』から『二人の白皇』へ違和感なく移行できるでしょう。
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これだけでは単なるシミュレーションRPGですが、シリーズの大きな特徴が“連撃”というシステム。
まず各キャラクターを移動させ、攻撃範囲内に敵を捉えます。ここで使用する技を選択して攻撃を行いますが、この際にリングが出現。これにタイミングを合わせてボタンを押していくことで、次のアクションへ繋がっていきます。リングが小さくなって消える瞬間にタイミングをあわせられるとクリティカルとなり、技の威力が上昇します。
キャラクターはレベルが上がるごとに様々な技を習得するのですが、連撃のタイミングは技ごとに異なるため、全部成功させられた時の爽快感は凄まじいものがあります。これが成功するか否かで火力がかなり変わってくるので、確実に成功させられるよう何度もチャレンジしたいところ。
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実は失敗してもメニュー画面から“巻き戻し”を選べるので、失敗した行動があったターンまで戻せます。これを活かして練習してみるのもまた一興です。連撃が成功していれば倒せるといった事態も結構起こりますので、その際はこちらを活用しましょう。
また炎や風を起こして攻撃をする術師タイプのキャラクターについては、円の形に伸びるバーが表示されます。こちらは攻撃ボタンを長押しして離すと連撃が繋がり、円が完成するタイミングでボタンを離すことでクリティカルとなります。
この連撃システムですが、実は一部キャラクターには隠されたタイミングが存在しています。主に近接系のキャラクターが該当しているようで、表示される円のタイミング以外にもキャラクターのモーションにあわせてボタンを押してみると、クリティカルが発生したことがわかるはずです。
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これを見つけて活用するのもまたやりこみのひとつ。ぜひ何度もチャレンジしてみてください。またこういったゲームが苦手な方のために、自動成功モードがあります。こちらを使用するとクリティカルが発生しなくなりますが、確実に連撃の最終段を出せます。
それぞれ特徴的な性能を持っており、敵が自分の前を通ろうとすると足止めしてくれるキャラクター、体力が高く壁役になるキャラクター、攻撃の手数が多く連撃で火力を伸ばしやすいキャラクター、敵から攻撃を受けたときの反撃が強力なキャラクターなどその戦い方は様々。
アドベンチャーパートで気に入ったキャラクターを使い倒すも良し、敵の配置や構成を見て有効なキャラクターをメンバーに選出するも良しと多様な遊び方が可能です。
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周回プレイはもちろんですが、クリア後にはバトルパートだけをプレイし続けられる“夢幻演武”が解放されるので、本シリーズのバトルパートが気に入った方はぜひプレイをおすすめします。こちらは中々歯ごたえがある難易度となっていますので、SRPG好きのみなさんは挑戦してみてはいかがでしょうか。
『二人の白皇』からは、味方キャラクターを2つのチームに分けその双方が経験値を得られる“紅白試合”や、指定された条件をクリアして貴重なアイテムが獲得できる“ムネチカの試練”といった要素も追加されています。攻略の際はぜひ活用してくださいね。
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そしてDLCとして配信された『ToHeart2』からの追加キャラクター向坂環と久寿川ささらも、同時配信となっています。『ToHeart2 ダンジョントラベラーズ』などもあったので、美少女ゲームである同作のキャラクターが戦うというのも違和感なく受け入れられるのではないかと思います。
キャラクター性能も優秀で、物語序盤でキャラクター数が少ない時などは戦力として非常に頼りになります。ふたりが好きだという人や、こういったゲームが苦手で攻略に自信がない方にはおすすめです。
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簡単にではありますが、『偽りの仮面』と『二人の白皇』をご紹介しました。和風な世界観を好む方や、ケモミミの女の子やイケメンが好きな方、骨太なSRPGを探している、もしくは大陸中を巻き込んだ壮大な物語が見たい方など、いろいろな方が楽しめる名作となっています。
『うたわれるもの』シリーズはその全ての需要に間違いなく応えてくれますので、興味を持った方は絶好の機会であるこのPC移植版配信をお見逃しなく!