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密着・安田文彦―『仁王2』完成までの軌跡と『Bloodborne』山際眞晃対談

クリエイターの悩み、それぞれが持つ仕事の関係性、『Bloodborne』山際氏との対談──。等身大の姿を映し出そうとするインタビュー現場の様子を、ライターの視点でお届けします。

その他 全般

Game*Sparkでは、ドキュメンタリー映像制作を手掛けるArchipelと共同で2019年9月から完成までの約半年にわたり『仁王2』制作陣への長期取材を敢行しました。

通常の取材やインタビューではなかなか踏み込むことのできない、開発者のパーソナルな一面を追いつつ、それを1本のドキュメンタリー映像としてまとめあげるというウェブのゲームメディアとしてはなかなかにチャレンジングな企画です。多くのゲームメディアが素晴らしいコンテンツを出している中で、どうしたらオリジナリティを出せるかを考え、今回は新しいフォーマットにチャレンジしてみようと思いました。

もちろん映像だけではなく、テキストでもガッツリと補完をしていきます。映像の雰囲気にあわせ、少し背伸びをした記事にしてみましたが、読者のみなさんが求めるものなのかは……正直分かりません。映像だけでも1時間超、テキストは2万字近くと長大なボリュームになりますが、映像外の部分もかなりフォローしているので、あわせて読んでいただくことでさらに『仁王2』という作品の成り立ち・そしてクリエイターへの理解が深まると思います。

あまり明るい話題も少ない昨今ですが、思いがけない余暇時間やリモートワークの息抜きに、『仁王2』をさらに理解するために、ぜひお楽しみいただければ幸いです。
(以降、会話以外は敬称略)

目次

  1. 「安田には言わないでください」

  2. 体験版という「背水の陣」

  3. ゲームに「メッセージ性」は必要か

  4. 「緊張感」「爽快感」「没入感」を柱に

  5. Team NINJAは「骨太な音」

  6. 『Bloodborne』プロデューサー山際氏との対談が実現

  7. 安田プロデューサー単独インタビュー




飯田橋駅に向かう神田川沿いの夜道には鋭い木枯らしが舞っていた。気が付けば私の目の前を「世界的ヒット作を生み出したゲームディレクター」達が歩いている。ひとりの小さなライターに過ぎないと自認している私にとって、それは僥倖でもあり、突風のようでもあった──。

仁王』はコーエーテクモゲームス・Team NINJAの制作による新規IPの「戦国死にゲー」として登場した。ソウルライクジャンルと比較される中、金髪碧眼のサムライ「ウィリアム」の冒険活劇を見事に描き切った大ヒットタイトルである。

難しさと爽快感をバランスよく両立し、ケレン味を上手に扱いつつも、正確で高い美術性に裏打ちされた受け入れやすいストーリーの展開に成功したアクションRPGだ。サムライと妖怪の表現力は日本人プレイヤーにとって全く違和感のないものだったにも関わらず、そのままの姿で「戦国時代らしさ」を海外のプレイヤーにも伝えてみせた作品は、数多くのゲームの中でも稀有なものだと言えるだろう。

『仁王2』ディレクター兼プロデューサー 安田文彦氏

駅前の飲み屋に到着し、私と同じ席には『仁王2』制作を進める安田文彦が座っていた。前作においてディレクターも担当していた安田は、今作でプロデューサーを兼任している。同じくアートディレクターの金子浩久と、サウンドディレクターの吉松洋二郎が並んで座る。三者は前作の『仁王』から制作の中心人物として共に歩み続けてきた。

2019年12月12日。この日は私にとって『仁王2』制作者達の素顔に迫ろうとする取材が始まった日だった。これまでも私は、ゲーム会社の本部に訪問して直接インタビューやゲームレビューをしたり、一般とは異なる立場でイベントの取材をしたりといったことはあった。しかしながら、ここまで「私」に迫る形での、言わば「近い」関係性から何かを掴もうとする仕事は体験したことがなく、身の引き締まる思いで彼らについてきたのだ。

それは『仁王2』の製作陣にとっても同じことであった。飲みの席がそのまま取材対象となることなど、タレントのような立場でなければまず縁がないだろう。ぎこちなく……そぞろに始まる宴席と共に、カメラや音響の準備が進められていく。


かつてGame*Sparkは、ゲームシーンを中心としたドキュメンタリー映像制作チームから取材を受けたことがある。ウィリアムのように海外から日本へやってきた「Archipel」と名乗る彼らは、数年前から日本のメジャー/インディーを問わず幅広く、そして果敢に業界の内側へ切り込んでドキュメンタリーを作り上げてきたのだ。

ArchipelはDreamcastの発売から20周年の際に、代表的なゲームクリエイターを中心とした映像「A Dream Cast」を製作している。また2018年には「Ebb and Flow」と題して、低迷したかに見えた日本のゲームシーンが再び隆盛の兆しにあることを映し出し、著名なクリエイター達がその時代を振り返る構成を組み立て、世界のゲーム関係者が日本の状況をどのように分析していたかを判りやすく俯瞰できる映像としてまとめ上げた。

そんな彼らとGame*Sparkがタッグを組んで『仁王2』制作陣への密着取材を敢行するというのだ。どのようなしつらえの記事にしていくべきか、その構成や表現に難儀したが、Archipelによる映像制作の取り組みを通し、安田を中心に『仁王2』制作陣の素顔に可能な限り近づき、その中で見られた情景を「ライターの視点」でお伝えしたい。

Archipelの映像とは異なり、私が参加した時系列で記述していく。可能な限り映像では公開されていない範囲へ言及することを意識した。これにより、読者の皆様に撮影の裏を少しでもお伝えできれば幸いである。

「安田には言わないでください」
《Trasque》
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