
小雀(こがら)ととさんは、2019年4月17日に動画を初投稿、翌18日に初配信を行なってデビューすると、その後にデビューした一ノ瀬うるはさんと花芽なずなさん・すみれさん姉妹と共に「Lupinus Virtual Games」所属のバーチャルタレントとして活動をスタートしました。
ととさんは運営スタッフにスカウトされ、その後デビュータイミングにあわせて上京。デビュー以前から花芽なずなさん・すみれさんの活動のお手伝いをこなすことがあり、同姉妹が住む家まで配信をしに通っていた時期もありました。初めて4人でゲームをプレイした際には、花芽なずなさんが「すみれ以外にゲームの上手い女子に初めて会った」と感激したといいます。
デビュー以前から『PUBG』を主にプレイしていたこともあり思い入れが強く、サバイバル/FPSゲームのスキル・理解度は高く、現在にいたるまで『Apex Legends』『Rainbow 6 Siege』『VALORANT』と他のメンバーらと同じくゲームをプレイしていきました。
「世界で一番マイペースなVTuberだよ!」とは、彼女の公式Twitterでのプロフィール文にある自己紹介です。「マイペース」というと、穏やか、おっとり、まったり、スローペース、人よりも遅々としている…というようなイメージと意味を思い浮かべる方もいるでしょう。
FPSやサバイバルゲームをプレイしてみた方ならご存知かと思いますが、BGMや効果音は大きめかつハッキリとした音になっていることが多く、突然狙撃されて死ぬこともあれば、予期せぬバトルへと突入していくことが多いです。
ストリーマーやバーチャルタレントの配信のなかには、ミスをすると感情を爆発させ、罵声をあげたり台パンをしてしまう方も珍しくないです。そんななかでも彼女は声を荒げることはおろか、怒りや焦りがハッキリと態度に出ることも少なく、銃撃戦を行っているとは思えないほど冷静にバトルしていきます。
これだけみると淡々としているともいえますが、一戦を終えると楽しそうに声を弾ませる場面がいくつもあります。たとえ大声を出してもソフトな声色ということもあり、強面なイメージを感じさせることも少なく、むしろ嬉々としていることのほうが多いほどです。
缶を開けようと「フンッ」と本気になっても少しずつしか開けられない女性らしさや、小柄な体格にまつわる話題や母・弟といった家族エピソードも多く、なにより「このシチュエーションでそう思うのか?」と驚かされるほどにホッコリとした発言も多いのが彼女。ネガティブなことはあまり口に出すことなく、ゆるいムードとフワっとした声で配信を和ませつつ、一気にピっと張った声でメンバーに淡々と声をかけていきます。
その行儀良さやマイペースぶりからは生まれや育ちの良さそうな雰囲気すら漂い、他メンバー個々人の配信内容や性格ともうまく分かれていることから、メンバーやファンからは「ぶいすぽっ!唯一の清楚枠」という見方で一致しているほどです。
彼女のマイペースな配信スタイルは、現状のぶいすぽっ!メンバーのなかでも異質ですらあります。
2021年にぶいすぽっ!からデビューした八雲べにさん、紫宮るなさん、藍沢エマさんを除くと、2021年に小雀ととさんが配信した回数・時間は他メンバーと比較するともっとも少なく、YouTubeチャンネルで見られる動画アーカイブを振り返っても、当初は動画を公開していたが後々に非公開にしたというパターンもあるとはいえ、アーカイブとしてアップされている動画も少ないのが分かります。
ほぼ毎日のように生配信をしているメンバーが多いなか、彼女は2~3日の生配信ペースを崩すことはなく、配信時間も2時間から3時間ほど。同じぶいすぽっ!に所属する橘ひなのさんや兎咲ミミさんのように6時間超えの長時間配信をすることは一度もなく、まさにマイペースな配信ぶりです。
もう一つ、ぶいすぽっ!メンバーとの違いがあるとすると、コラボ大会などで知り合ったストリーマーが多彩であること。2021年には外部のストリーマーやプロゲーマーらと共に公式企画や大会に出場し、それまで一切関わりのなかった方々とチームを組むことが一気に増えました。
2021年3月26日には『R6 STREAMER CUP#2』に出場。その際のメンバーは、舞台俳優/モデルとして活躍する山田ジェームス武さん、ダンスボーカルユニットWEBERのHayatoさん、漫画家/VTuberの亜美寿真さん、同じくVTuberの尸解ユヱ(現:始解ゆゑ)さんとともに出場。
このほかにも、『Apex Legends』の大会にプロゲーミングストリーマーチーム「父ノ背中」のけんきさんとadminさん、ソロプレイヤーとして活躍するせかいのあせぷさん、Sengoku Gaming所属のPantashiaさん、彼らともそれぞれにチームを組んで大会に出場しています。
『ABEMA presents VALORANT VICTORY CHALLENGE supported by GALLERIA』では直前にぶいすぽっ!所属メンバーの不祥事から辞退、交代メンバーとして名を連ね、スタンミさん、善玉菌さん、Clutchさん、Zerostさんらとともに大会に出場しました。
プロプレイヤー/ストリーマーとして活躍してきた彼らや目の肥えた視聴者らを唸らせる実力で存在感を発揮。練習や大会でにも絶えず声をかけつづけ、ホッコリとしたムードとトークで緊張をほぐしていくことも多く、大会中に2連敗を喫した状況から「ととちゃんを勝たせてあげたくね?」と男性陣4人が奮起して初勝利をもぎ取ると、思わずととさんも涙を流す場面もありました。
外部のストリーマーとの繋がりでもっとも彼女の配信に影響を与えたと言えるのが、プロゲーミングチーム「Burning Core」に所属するプロ格闘ゲーマーのBC立川さん、DeToNatorのストリーマー部門に所属するRobiNさんと共に結成した「チームタルコフ」でしょう。
このチームは、3月29日開催の『じすたげCUP in Mildom』に出場するために結成されたチームで、ととさんにとって『Apex Legends』のカジュアル大会に出場する初めての機会となりました。長年に渡ってプロプレイヤーや配信者として活躍していた2人のペースやムード、3人それぞれが活動しているメインのフィールドが違うことのにも関わらずウマが合い、大会も2位と好成績を収めたあとも繋がりは途切れることなく、何度もコラボ配信をし続けています。
それもサバイバル/FPSゲームに限らず、『スーパーボンバーマンRオンライン』『Minecraft』『7 Days to Die』『Back 4 Blood』と配信してきており、様々なゲームに手を出して楽しむイチゲーマー/友人同士が集まってワイワイと楽しむ配信となっています。
2021年11月10日には『Back 4 Blood』のコラボ配信をする予定でしたが、RobiNさんも立川さんもあらわれず、約1時間おきに1人ずつ集合しにきたところで配信が終了するという「チームタルコフ集合編」と称される配信がありました。遅刻してきた2人の理由を聞き、ととさんが「なるほど~!じゃあ配信を閉じてきますね~」と切り返すなど、3人のマイペースぶりや空気感、仲の良さがうかがい知れるでしょう。
ちなみに、チーム名の「タルコフ」とはサバイバルゲーム『Escape From Tarkov』から取られたのですが、これまで配信上で3人揃って『Escape From Tarkov』をプレイしたことはありません。今後の配信に期待していきたいところです。
ぶいすぽっ!のファンになった方ならばお分かりだと思いますが、2021年半ば以降には「ぶいすぽっ!内のメンバー同士でコラボ配信をする」ことがとても多く、公式番組も立ち上がるなど「ぶいすぽっ!」全体でリスナーを増やしていこうという気運が見られるところ。
女子校のようなノリでワイワイガヤガヤとトークしていく雰囲気が楽しい反面、とんでもなくツッコんだ発言が思わず飛び出し、それに返さなくてはいけないシーンもままあるのも事実で、デビューの頃から印象がドンドンと変化していった方も少なくありません。
そんななかにあって、ぶいすぽっ!特有のノリやムードとは確かに距離感を置くことにはなったものの、彼女自身のペースで配信活動を続けていくことができ、知らず知らずのうちに自身のイメージ像が固まっていったようにも思えます。
小雀ととさんが放つ『マイペース』というイメージは、その言動によって生まれてくるホッコリとしたムードを指すだけではなく、「自分のやりたい配信をやりきる」という姿勢・スタンスをも指しているともいえます。オリジナルなステップを踏み続ける彼女だからこそ見せられる配信が、確かにあるのです。
「バーチャルタレント名鑑」過去記事はコチラ