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「おのれ邪鬼王!」
有野晋哉さんの大人気番組「ゲームセンターCX」で、主人公が作中で発したこのセリフが強く印象付けられることになった『忍者龍剣伝』は、1988年にテクモ(現・コーエーテクモゲームス)からファミコンで発売されました。
現代に生きる忍者であるリュウ・ハヤブサが父の死をきっかけにその遺言に従い、邪神をめぐる戦いへと身を投じるシネマティックアクションゲームです。
邪鬼王と名乗るガルディア・ダ・ミューは、邪神が封印されていると伝わる二つの像を集めて邪神復活を目論む人物で、リュウが死んだと思い込んでいた父のジョウを操ってリュウと戦わせるなど、非道なボスとして描かれます。
リュウは最終面となるステージ6でついにその邪鬼王と対峙しますが、一戦目が操られた父・ジョウである「キメンヤシャ」、二戦目が「邪鬼王」、そして三戦目がついに復活してしまった「邪神」という三連戦になっており、その難度の高さが語り草となりました。
三連戦というだけでも大変なのに、二戦目以降はアイテム(サブウェポン)没収、そしてやられると一気にステージの最初まで戻されるという仕様がそれに拍車をかけました。
前述の「ゲームセンターCX」で取り上げられた際も有野さんが本作に大苦戦するさまが描かれ、さらに冒頭で紹介したリュウ・ハヤブサのセリフ「おのれ邪鬼王!」を有野さんが音読したことで、このフレーズはある種ネタ的な人気を獲得しました。
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もっとも、本作のゲームとしてのクオリティはネタどころか名作といって差し支えなく、壁はりつきなどの忍者らしいアクション、刀で攻撃した際の小気味よい効果音、同社の『キャプテン翼』に端を発する演出技法・テクモシアターの魅力を存分に味わえるストーリー、疾走感のあるBGMなど、魅力を挙げれば枚挙に暇がありません。
特にステージ4-2のBGM「鮮烈のリュウ」は高い人気を誇り、コーエーテクモゲームスが後年リリースした『無双☆スターズ』や『無双OROCHI 2』、『無双OROCHI 3』でたびたび新規アレンジが施されたバージョンが使用されたり、ファンによる「弾いてみた」動画が生まれたりと、長らく愛され続けています。
ただ、本作の高難度を象徴する独特なノックバックには泣かされた方も多いことでしょう。リュウはダメージを受けると大きく後ろに弾き飛ばされ、その間は操作不能となります。このモーションはリュウがジャンプしている時でも同じなので、本作は非常に「落下死」してしまいやすいのです。
殺意が高すぎる(ホーミング性能が高すぎる)鳥に体当たりされて、そのまま奈落の底へ…本作をプレイした人なら分かる『忍者龍剣伝』あるあるのひとつだと思います。
そんなファミコン版『忍者龍剣伝』は、スイッチの有料オンラインサービス「Nintendo Switch Online」で配信中です。巻き戻し機能や、ラストのボス三連戦直前から始められる「クライマックスバージョン」のおかげでグッと遊びやすくなっていますので、スイッチをお持ちの方はプレイしてみてはいかがでしょうか。
また、PCエンジン miniには本作をアレンジした移植版が収録されているほか、ニンテンドーeショップとPlayStation Storeでは本作のモチーフとなったアーケード版の移植タイトル『アーケードアーカイブス 忍者龍剣伝』がハムスターから配信されています。