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Lazの1マガジン最強ACEは如何にして生まれたのか?国内『VALORANT』競技シーンの歴史に残る劇的な一戦の一幕を振り返る

Laz選手の強さと、チームのサポートが光ったラウンド9。その時アイスボックスで何が起きたのか。

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4月10日から24日、アイスランド・レイキャビクにて開催中の『VALORANT』国際大会「2022 VALORANT Champions Tour Stage 1 ― Masters Reykjavík」。日本代表チーム「ZETA DIVISION」は、Laz選手の「まずは一勝」という現実的な目標を遥かに超え、プレイオフまで駒を進めました。

負ければ敗退、後がない中でしっかりと勝利を収めた「FNATIC」戦は、初戦の反省を上手く活かした冷静な組み立てや、個々の撃ち合いや立ち回りの強さを発揮した、国内『VALORANT』競技シーンの歴史に残る劇的な一戦となりました。

多くの見どころがある中、特に話題となったのはリーダーLaz選手のACE(5人抜き)でしょう。ヴァンダルの1マガジンで全ての敵を撃ち抜き、文字通りFNATICを“ぶっ壊した”プレイを振り返ります。

事が起こったのはラウンド9、FNATICの巧みなエコラウンドが光る序盤、これ以上のラウンド差を付けられたくない中、互いにフルバイ(武器を購入できている)という状況でした。

SugarZ3roのカバーが光る1キル目

まずは1キル目、これはSugarZ3ro選手のカバーなくしてなし得ないものでした。Lazの位置はBグリーンのオブジェクト上のオフアングル。敵を一人倒してランデブーで前線を下げることを狙う(いわゆる「1ピック狙う」というもの)動きを見せています。当然ながらFNATIC側も警戒してオウルドローンで索敵を試みます。

これをSugarZ3roがB小部屋付近で破壊することで、FNATIC側が「ヴァイパーがB側の情報を取っていたがドローンで検知されて引いた」と誤認しました。解説も述べている通り、Lazを隠し、前線を下げたような動きを見せたことで、FNATIC側の警戒が少し緩んだと言えるでしょう。リコンボルトを使わずに身体でクリアリングに来たセージ(Magnum)をまずは1キル。Lazは間髪入れずランデブーでBサイト上へ戻ります。

コミュニケーションを感じる2キル目

LazがBメインで「3人以上いる」という情報を得たZETAは、BチューブとのB挟みを警戒しています(この時点でDepがAからキッチンへ移動開始)。その警戒が高まる前にチューブ下を抜けているヴァイパー(Mistic)。トレードマークはキッチンにのみ置いているZETAとしては、その抜けは警戒できていました。

SugarZ3roもしっかりそれを自覚し、Lazへ伝達できていたのでしょう。Lazはワープした瞬間からチューブ下へ警戒できていました。

ヴァイパー(Mistic)としては、ワープ直後のフリーキルを狙いにピークを試みましたが、逆に抜かれてしまいました。チェンバー(H1ber)のカバーラインを待ちたかったところではありますが、人数不利を背負っている以上、リスクのある賭けに出ざるを得ない場面でもあります。中央ボイラーのcrowが(恐らく)ジャンプピークで情報を取っていたこともプレッシャーだったとも考えられます。

また、公式放送ではヴァイパー(Mistic)視点でしたが、Lazのピークと合わせてSugarZ3roもピークしていることがわかります。細かい場所でカバーを取る意識が非常に高い。

ぶっ壊した3キル目以降

ここからは「Lazがぶっ壊した」としか言えないでしょう。中央側にフォーカスが集まったため、Bグリーン側の進行を警戒するピークでKAY/O(Boaster)をキル。FNATICとしては、ソーヴァ(Fearoth)と足並みを揃え、しっかりとトレードを狙いたかった場面です。その後は、恐らくcrowが情報を取っていたチューブ下とイエローをしっかりと1v1でキルを重ねてACE。

この矢継ぎ早に起こった3キルの間で見ていただきたいのは、SugarZ3roの視点移動。仮にLazが倒されてもしっかり進行をカバーできる位置かつ、無理なピークを一切せずに同じポジションをキープし続けました。冷静で落ち着いています。Lazが自由にピークしてACEを狙いに行けたのも、SugarZ3roが軸足となってサイトを守れるという自信の上で成り立っているものでしょう。

また、Lazが普段から魅せている「頭をしっかりと狙う」エイムが光っていたことは言わずもがな。全距離ヘッドショット一発でキルを狙えるヴァンダルの強みを活かしきった丁寧なプリエイムとヘッドラインがあるからこそ、僅かな残弾数でも自信を持ったピークが可能というわけです。ヴァンダル最強!

FNATICにおいては、エースDerkeの不在や、昨今の情勢の影響により大会直前にロースターが変更されたことも覚えておかなければなりません。非常に苦しい中で善戦を繰り広げ、出会って10日も経っていないメンバーと戦い抜いたこと、彼らのリスペクトと情熱に満ちたゲームプレイへ、惜しみない賞賛を贈りましょう。

いよいよプレイオフが開幕

FNATICを制したZETA DIVISIONは勢いそのまま「Ninjas in Pyjamas」との激闘を逆転勝利。『VALORANT』日本チームとして初の公式世界大会でプレイオフ進出を決定させました。

プレイオフはダブルイリミネーション形式が採用され、一度敗北してもチャンスが残ります。つまり、少なくともあと2試合は世界の強豪と戦う機会があるということ。貴重な経験を自らの手で勝ち取ったZETA DIVISIONがどこまで戦えるのか期待が高まります。

プレイオフ初戦の相手はG2 Esports。4月15日午前2時より『VALORANT』公式チャンネルで配信。「#ZETAWIN」で応援しましょう!


【ZETA DIVISION】Lazの最強ACEは如何にして生まれたのか―対FNATIC戦アイスボックス、ラウンド9を振り返る #ZETAWIN

《Okano》
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