【UPDATE】本文中の戌神ころねさん紹介文を修正いたしました。
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世界中で大人気なゲームシリーズ『ポケットモンスター』シリーズ。
シリーズ9作目となる最新タイトル 『スカーレット・バイオレット』が2022年11月18に発売され、発売後3日間で世界累計販売数が1000万本(うち国内販売本数405万本)を突破するという異次元すぎる売れ行きをみせました。
フレームレートの問題で画面がカクつくことを始めとするゲーム進行の妨げになっているバグが発見され、更新データを提供するなど問題・対応に追われていますが、ゲームの内容に関しては「過去最高レベル!」と好意的な声があがっているのも確かです。
シリーズ初となるオープンワールド作品として「ポケモンと人間が暮らす世界」を表現し、さまざまな冒険へと繰り出すだけでなく、ポケモンとより深く触れ合うことをも可能にしました。その自由度の高さはこれまでのシリーズ作品ではなかった質感であり、本シリーズの魅力をより深く捉えることを手助けしています。
そんな新たな魅力に触れて、さまざまなリアクションで楽しませてくれるゲーム配信者やVTuberは数多く、発売日の夜0時を回ると多くの方々が配信をスタートしていきました。
さて、今回当連載ではホロライブメンバーが『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』で見せた名場面をフックアップしながら、メンバー&ゲームの面白さを取り上げていきたいと思います。
◆自分とポケモンで写真を撮る その意味・違い・反響
本作をスタートしてすこし物語を進めてみると、驚く点が多くあります。まず、キャラクターメイクの部分が多彩である点です。
男子・女子の初期タイプ4つから選ぶと、髪型・髪の色・目の形などの顔パーツ・カラーコンタクト・服装(制服)・装飾品などを変えることができ、ゲーム内にあるブティックや美容室に立ち寄ることで変えることができます。
その多彩さは、インサイド編集長曰く「こんなにキャラクリできんの?!」と言ってしまうレベル。眉毛の色・形だけでなくまつ毛の色まで変えられるという細かさは、初っ端からプレイヤーの「やりこみ精神」をくすぐってきます。
その細やかなキャラクターメイクをお披露目できるようにと、今作では自撮りができるようになり、左側に自キャラクター、右側には背景、ポケモン、またはフレンドさんを写せるようなカットでSNSにも投稿できます。
この凝ったキャラクターメイクやカメラ撮影に当然ホロライブメンバーも反応し、思い思いに自撮りして楽しんでいました。その後、SNSにアップしたり配信のサムネイルに使うメンバーもいるなど、「ゲーム好き」「配信者」として刺さる部分は大いにあったようです。
2021年に発売された『New ポケモンスナップ』では自然公園などを舞台にしてポケモンを写真撮影し、2022年1月28日に発売された『Pokemon LEGENDS アルセウス』では写真屋で好きなポケモンと並んで撮影できるなど、一般のプレイヤーさんがSNSなどに投稿できるようにと、「プレイヤーとポケモンの絆を写真に収まって楽しんでもらう」という点にスポットに重きを置かれていたように感じられます。
『アルセウス』では遠い昔の時代という設定もあり、写真撮影という行為が明治時代のように古めかしく描かれていましたが、今作ではまさに現代に合わせてスマホ撮影がベースになっています。こういった時代変遷をうまく合わせて作品で表現するあたりに、スタッフ陣の粋・センスの高さを感じてしまいます。
◆「ポケモン」シリーズ史上もっとも有名なトレーナー!? ナンジャモちゃんとの邂逅!!
自撮りという部分だけでなく、現代的なイシューを感じさせてくれる人物がいます。
パルデア地方にあるハッコウシティのジムリーダー・ナンジャモちゃんです。
淡いパステルカラーをベースにして、髪色は薄紫と水色の2色に染められ、瞳も桃色、紫色、パステルイエローがグラデーションのように表現されていてとても印象的。上着も薄い黄色のオーバーサイズな服で、明るく派手な風貌でカワイイ顔でギザ歯というキュートなビジュアルです。
しかも彼女は『ドンナモンジャTV』を配信しているインフルエンサーで、パルデアでは絶大な人気を誇り、登場する際には「外からの生配信」「視聴者側・画面を意識して話しかける」という体で主人公に迫ってくることもあります。しかも「ナンジャモ語」という独特なワードチョイスで語り掛けてくるさまは、まさに「陽キャ」「電波系」な印象を与えてくれるキャラクターです。
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会話中に「バズりが見込める相手」と口にしてしまったり、コメントのなかにスーパーチャットが飛ぶなど、まさに「VTuber・ストリーマー」を意識したかのようなナンジャモちゃんを相手に、国内トップクラスのVTuber事務所・ホロライブのメンバーが負けるわけにはいきません。
初めてみたナンジャモちゃんの可愛さに、見ていたリスナーからは「ナンジャモちゃんかわいい~!」「ナンジャモちゃんとのコラボ配信きちゃ~!」というコメントが何度も送られ、作戦を考えている間にも「ナンジャモちゃんをイジめるな!」「ナンジャモちゃん頑張れ!」とファンが移り気になってしまうなど、配信は大盛り上がり(もちろんリスナー側のボケです)。
ホロライブトップクラスのYouTube登録者数を誇る兎田ぺこらさんがナンジャモちゃんとバトルした際には、予想以上にナンジャモちゃんが強く、なんと30分近く戦い続ける泥仕合へと発展。
チャージビームを撃てる・撃てないの心理戦がキーとなったバトルに、コメント欄も「これは配信者」「さすがナンジャモちゃん!」と(ぺこらさんの配信にも関わらず)ナンジャモちゃんへの称賛が絶たないなか、ぺこらさんが勝利をおさめました。
バトルが終わっても「ナンジャモの方が配信盛り上げてた」「ナンジャモちゃんがかわいそう」とまでコメントされつつも、ナンジャモちゃんの締め挨拶のあとにぺこらさんも締めのあいさつで応じると、まるで本当にコラボ配信もとい「コラボバトル」をしていたかのように感じられました。
現実のVTuber vs フィクション上のインフルエンサーがバトルするという構図そのものが非常に面白く、キャッチーなキャラクターであるナンジャモちゃんには視聴しているリスナーやポケモンファンもノリノリになりやすいのでしょう。
こういったノリはぺこらさんの配信だけでなく、実はほかのホロライブメンバーの配信、それどころか多くのVTuberの配信で見られる悪ノリでもあります。
ちなみに、ナンジャモちゃんの登録者数がどの程度のものかはゲーム中で明らかにされていませんが、現実ではポケモン公式チャンネルからナンジャモちゃんが動画を投稿しています。
つまりナンジャモちゃんの登録者数は約250万人ほどであり、この数字に勝てるVTuberは2022年12月現在がうる・ぐらさんとキズナアイさんの2人のみである…冗談はここまでにしますが、このような現代的イシューを取り入れた描写はさすがと言えるでしょう。
◆ストイックかつストレートに 攻略を目指した2人のトレーナー
やり込み要素が増える。それはゲームプレイヤーとしてはとても嬉しいことです。
時間を割いてゆったりじっくりとプレイしたい方が大勢といるなかで、今作のように「作品世界にしっぽりと滞在できる」というほどに感じさせてくれる作品とは中々出会えません。さまざまなフック・要素が絡み合うことで「イヤな現実から逃れられる」余地がより大きくなれば、それだけハマりやすいということになります。
ですがその逆に「一直線にサクっとクリアまで進もう」というプレイヤーもいます。「まずは何よりもゲームをクリアする!」と重きを置くのであれば、そそられる要素に目もくれずプレイするのみでしょう。
ホロライブにもそういったストイックかつソリッドなゲームプレイヤーがいます。湊あくあさんと紫咲シオンさんです。
この2人共にポケモン好きなホロライブメンバーで、2019年11月にはポケモンシールドを使って3本勝負する間柄。2021年1月には潤羽るしあさん、尾丸ポルカさんを含めた4名で「ポケットモンスター ソード・シールド」のDLC「鎧の孤島」に登場するポケモンを使って対戦するというニコニコ生放送の企画に登場するなど、お2人ともにポケモン愛が強いことで有名です。
最新作「バイオレット」をプレイしようしたシオンさんは、11月17日の深夜23時30分、発売される直前から配信を開始。2夜連続で約12時間の配信をし、3日間で計33時間を超える配信を行いました。
72時間中で33時間ものプレイを配信してみせた彼女、配信外で仕事・睡眠・食事もあると考えるとかなりの体力・集中力ですが、何よりとんでもないスピード感で攻略してみせました。
湊あくあさんも負けず劣らずの勢いでプレイし、同じく11月17日の深夜から最速発売に備えて配信を開始。『バイオレット』を購入した彼女は、最初の配信で11時間半もプレイ配信し、昼12時30分ごろまでずっとプレイしています。
しかもここから彼女は、15時からお仕事→ちょっと寝る→19時から仕事→21時ごろから配信→8時間以上プレイという驚異的なスケジューリングを発揮。
その後19日に約7時間半、21日に約8時間ほどの配信でストーリーを終わらせ、合計約3日で約35時間25分でクリア。もちろんこれは配信アーカイブを足し算しただけですし、裏でいくらかのプレイをしていればもっと変わるでしょう。
やはり驚くべきは、発売日初日からの初見プレイで30時間ほどで終わらせてしまえる、『ポケモン』シリーズへの理解度・経験値の高さでしょう。同じく初日から全力でプレイしているプレイヤーからのコメントを参考にしつつ、ベテラントレーナーらしいプレイングだったと言えます。
◆ベテランいればルーキーもいる 戌神ころねの珍道中
ベテランいればルーキーあり。
ホロライブゲーマーズの戌神ころねさんがポケモンをプレイすると知った時のファンは、古株のファンであればあるほど驚いたでしょう。
2019年4月1日にデビューして以来、レトロゲームを頻繁にプレイし、今年6月にはソニック・ザ・ヘッジホッグとのコラボ衣装やアンバサダーに就任するなど活躍を見せていた彼女ですが、「アニメをちょろっと見たのと、『ポケモンスナップ』をやった」程度の彼女がプレイするとは……
「初めてだからさ、なんだそれ?っていうプレイがあったら優しーく教えてくれたらうれしいな」とリスナーに伝えつつスタートした配信。
今作冒頭に登場する御三家のニャオハ、クワッス、ホゲータを始めとし、多彩なポケモンたちのルックスや動き、その可愛さにヤラれながらプレイしていきます。
まず驚かされるのは、そのネーミングセンス。どのポケモンにどの名前とは言いませんが、ごうだ、いぼのいと、エッサホイサ、ハーバード、あかかぶ、おだ、ころね、ヨドバシ、ヨギボー、おかゆもどき、ごぼう、は、げんつき、コメツブ、どうじま、アサナンデス、タカオサン……
考えすぎることなくまるでリアクション芸のようにポンポン決まっていくのですが、見ている側からすれば「わかるようでわからない」ラインをちょうど通してくるネーミングはクセになります。
そもそもバトル中にポケモンのタイプ・相手との相性が大きく結果に関わることも知らず、戦いの中で覚えていくしかないと身をもって知ることになります。初配信終わりにリスナーと話していると「パッケージ版ならタイプ相性表入っていたはず」というコメントを見つけると、「待って!?」と部屋からパッケージ版をもってきて開いてみると相性表を発見。「これ見て配信したり覚える!」とリスナーにアピール。
「初見のゲームをこれまで多くプレイしてきたけど、ここまで緊張したのは初めてだった」
初配信の終わりに本音を語った彼女。実は11月22日に自身の誕生日3Dライブを目の前にしていたなかでのゲーム配信でしたが、そんな状況も何のその。1週間ほどかけてプレイして見事メインストーリーをクリアしました。
多くの配信者・VTuberが縛りプレイということで配信しているなか、ころねさんはルーキーということもあり一切の縛りなくノビノビとゲーム配信をしていましたが、逆に彼女ほどのゲーマー・インフルエンサーが「縛りなし」でプレイするのは新鮮に映るでしょう。
ころねさんのような「ルーキートレーナー」という方は、縛りナシで進む彼女の配信を覗いてみてもいいでしょう。もしかすればよりよいアドバイスが見つかったり、リスナーとともに和気あいあいとプレイする彼女の明るさに心打たれるかもしれません。
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