※本記事は『FF14 暁月のフィナーレ』までのネタバレを含みます。
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2024年1月7日~8日にかけて開催されていた『ファイナルファンタジーXIV(以下、FF14)』のリアルイベント「ファイナルファンタジーXIV ファンフェスティバル 2024 in 東京」。両日のプログラムの最後には「スペシャルライブ - ピアノ」と「スペシャルライブ - バンド」が行われました。
アレンジされた『FF14』の楽曲の数々に、思わず語彙力を失うほど感動してしまいました。本記事ではライブの様子を振り返り、現地で感じた熱気をお伝えしたいと思います。
◆「スペシャルライブ - ピアノ」
■セットリスト
冥き水底 ~テンペスト:深部~
目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~
命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~
黒闇と黒鉄 ~ガレマルド:夜~
迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~
古の御空 ~エルピスメドレー~
ハピネスキャロット ~楽園都市 スマイルトン~
月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
Flow
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ピアノライブは、拡張パッケージ『漆黒のヴィランズ』から『暁月のフィナーレ』まで、比較的最近の楽曲で構成されていました。
人気曲「冥き水底 ~テンペスト:深部~」からはじまった演奏は、これまで多くの『FF14』アレンジアルバムを手がけてきた、Keikoさんのしっとりとしつつも力強さがあふれており、観客を魅了。会場のモニターには、楽曲のロケーションに合ったウォークスルー映像が流れており、ライブへの没入感をさらに高めていました。
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2曲目「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」、3曲目「命の天秤 ~輝ける神域 アグライア~」には、数々の『FF14』楽曲のボーカルを担当しているアマンダ(Amanda Achen)さんが登場。どちらの楽曲も強大なボスらしい荘厳さが漂っており、アマンダさんの伸びやかな歌声もあって観客は聞き惚れます。
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5曲目「迷宮 ~ラヴィリンソス:昼~」では、Keikoさんの演奏が突如止まったと思った矢先に、サウンドディレクター・祖堅正慶氏が“オタマトーン”を手にライブへ参戦!その抜けた音色と弾むような本楽曲の相性は抜群で、両者が並びピアノの連弾を披露するシーンは、特に盛り上がりました。
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祖堅氏が退場し、仕切り直された6曲目「古の御空 ~エルピスメドレー~」と7曲目「ハピネスキャロット ~楽園都市 スマイルトン~」。前者は舞台のエルピスが指し示すとおり静謐で美しい楽曲、後者はアップテンポでレポリットたちの陽気さが思い浮かぶような楽曲であり、対照的な2曲が並ぶことで『FF14』の世界観がより奥深く表現されます。
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8曲目「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」、9曲目「Flow」では再びアマンダさんがステージへ。
「Flow」では、『暁月のフィナーレ』での旅路を振り返る公式映像が会場中のモニターに映し出され、「光の戦士(『FF14プレイヤーの通称』)」たちの涙腺は崩壊。感動のクライマックスを脳裏に思い起こしながら、お2人の素晴らしい調べに耳を傾けていました。
◆「スペシャルライブ - バンド」
■セットリスト
ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~
忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~
Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~
月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~
To the Edge
Close in the Distance
Flow Together
Endwalker - Footfalls
天つ風 ~白虎征魂戦~
ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~
此処に獅子あり ~万魔殿パンデモニウム:辺獄編~
メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~
ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~
エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~
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2日にかけて行われた日本ファンフェスのトリは、サウンドディレクター・祖堅正慶氏を中心に結成されたバンド「THE PRIMALS」のライブ!
『FF14』ファンの熱量がそのまま変換されたかのような会場に響き渡る手拍子のなか登場した彼らは、「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」を続けざまに演奏。前日とは打って変わり、重低音で体の内側から震える体験を味わえました。
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2曲目後のメンバー紹介では、「今日はビシバシAoEを飛ばしてくから、声援ではね返してこいよ」と観客を鼓舞。さらに「老眼で(配信)コメントが見にくい……」と漏らす祖堅氏に対しては、場内から「がんばれ~!!」という声援が投げかけられる一幕も。演者と観客が、1つのパーティになったかのような雰囲気に包まれます。
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その後は『暁月のフィナーレ』のレイドコンテンツ「万魔殿パンデモニウム」より、「Scream ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」「White Stone Black ~万魔殿パンデモニウム:煉獄編~」をプレイ。元よりロック調の楽曲で人気が高い2曲ですが、THE PRIMALSとしてバンドアレンジされており、さらにスタイリッシュに仕上がっていました。
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5曲目の「月満ちる夜 ~喜びの神域 エウプロシュネ~」では、オリジナル曲にヴァイオリニストとして参加した伊藤友馬さんもステージに登場。同曲は1日目のライブでも奏でられていましたが、同じ曲でもピアノとバンドでここまで印象が違うのかと驚かされました。
続くコラボステージでは、祖堅氏がジェイソン(Jason Charles Miller)さんを壇上に迎え、ウォーリアオブライト討滅戦の「To the Edge」と、ウルティマ・トゥーレBGM「Close in the Distance」を熱唱。
特に「Close in the Distance」は今までプレイヤーが立ち会ってきた出会いと別れ、ウルティマ・トゥーレでの「暁の血盟」メンバーの決意をなぞる映像がモニターに映し出され、目頭が熱くなったのを覚えています。
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その後は1日目に続いてアマンダさんが登場し、「Flow」のアレンジで『暁月のフィナーレ』スタッフロール時に流れる「Flow Together」を歌唱。
9曲目「Endwalker - Footfalls」は、今までにないジェイソンさんとアマンダさん、伊藤友馬さんが入り乱れてパフォーマンスを行う、本ライブの集大成のような体験が味わえ、祖堅氏が「このバージョンは「Endwalker - Footfalls」もう二度とできないだろう」と語るほど貴重なものになりました。
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大盛り上がりを見せる本ライブですが、まだまだ中盤戦。
“大物演歌歌手”としての顔も持つプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が、白虎柄の着物に身を包み厳かにステージ奥の花道から登場すると、会場からはちきれんばかりの歓声が。「天つ風 ~白虎征魂戦~」を見事に歌い上げると、次に「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」がスタート。
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室内俊夫氏をはじめとしたスクウェア・エニックス社員4人が青・緑・赤のシャツを着てステージに上がり、吉田氏もTHE PRIMALSと一緒に歌唱する中、2021年のデジタルファンフェスでも披露された、ネットミームの公式逆輸入「シルクスツイニングおじさん」ダンスを再現。
演奏後にはファンフェス直前の1カ月間、業務終了後に週2回3時間ほどみっちりダンスレッスンをしていたことを明かし、驚きの声が多く上がっていました。
ライブ終盤の「ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」では、本曲が流れるレイドコンテンツの時間停止ギミックが完全再現され、東京ドーム全体の時間が止まる光景が見られました。
現場にいた者として証言しますが、ライブ前の示し合わせやバンド側からの提案は一切なし。定番ライブパフォーマンスではありますが、日本ファンフェスでTHE PRIMALSのライブをはじめて見る人も多かったであろうことを考えると、光の戦士たちがそれぞれ「この曲といったらこの演出だろう!」と瞬時に判断したのでしょう。『FF14』ファンとして最上の一体感を味わえた瞬間です。
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最後の「エスケープ ~次元の狭間オメガ:アルファ編~」が終了し、ライブがフィナーレに導かれるも熱気は全く冷めず。帰路につく間も会場周辺では「ライブすごかったね~」という会話がそこかしこで行われていました。
筆者は大規模なライブに参加するのは今回が初めてでしたが、演奏のすばらしさはもちろん、各曲にマッチした会場のライトアップや掲げられたサイリウムが一体となり、場の空気を盛り上げていたことに驚きました。ステージの上だけでなく、裏方やファンが心を1つにしてライブというイベントを成功へ導く。そのなかの一人として参加し、何万人もの心が重なる瞬間が味わえたのは本当に得難い体験でした。
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