
アクアプラスといえば、近年は『うたわれるもの』シリーズの展開が目立ちます。2000年代前半に始まったシリーズで、そのメインストーリーを連作で語ったほか、スマホ向けの『うたわれるもの ロストフラグ』、アクションRPGの『うたわれるもの斬』シリーズ、『モノクロームメビウス 刻ノ代贖』に『義賊探偵ノスリ』と、多数の関連作を生み出しています。
そのブランドとしての原点を辿っていくと、最も古い作品……いわば原点ともいえるのが、PS版『ToHeart』です。当時、PC向けに発売されていた同作品をPS向けにリリースする際、アクアプラスが扱う初タイトルとなりました。
■突然の『ToHeart』トレンド入りに沸く往年のファン

PC版『ToHeart』が発売されたのは1997年、PS版はその翌々年の1999年に登場しました。後にPS2版やPSP版も作られたものの、いずれも移植の範疇に留まっており、『ToHeart』の核となる部分は、PS版から数えても四半世紀も前に確立しています。
25年前のゲームなので、今50歳の人が発売直後に遊んだとしても、25歳の時です。40歳の人でも当時15歳になるため、このあたりがPS版を現役で遊んだぎりぎりの世代でしょう。
ゲームの進化は日進月歩。数年経てばガラッと変わることも珍しくありません。そんなめまぐるしいゲーム業界の中で、先日「『ToHeart』を新生させ、2025年に発売する」との発表が舞い込み、大きな話題となりました。
『ToHeart』は当時から名作と称えられていた恋愛ADVですが、25年という時間はどんなゲームでも色褪せてしまうほどの年月です。しかし『ToHeart』の再登場に反応したユーザーは数多く、新生の発表当時はX(旧Twitter)の各所が賑わい、トレンド入りするほどの盛り上がりを見せました。
PC版やPS版の発売時期を考えるまでもなく、若年層のゲームユーザーにとって、『ToHeart』で盛り上がる理由は全く不明でしょう。しかし『ToHeart』は、ゲーム自体が優れていただけでなく、当時のギャルゲー業界の転機になったほど、大きな影響力を与えた作品でした。
現役で遊んだファンはもちろん、あの時の衝撃や功績を色濃く覚えていたユーザーも加わったため、新生『ToHeart』の発表に多数の注目が集まりました。これほどの人たちを動かした『ToHeart』の、当時の背景と活躍に迫ります。