同社は韓国トップシェアのウイルス対策ソフトウェアベンダー、AhnLab,inc.の日本法人で、エンドユーザー向けにセキュリティソフト「V3」シリーズを展開しています。また企業向けセキュリティソリューションは、ネクソンなど韓国大手を始め、アメリカ、ドイツ、ロシア、台湾など世界中のオンラインゲームベンダーで採用されており、日本でもゲームオンとハンビットユビキタスエンターテインメントが導入しています。このほか昨年3月には、ゲームプログラムに組み込んでクライアントPCのセキュアな環境を保持する「ハックシールド オンラインゲーム 2.0」をリリースしており、こちらは国内で十数タイトルの採用実績があるとされました。
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AhnLab,inc. CEO キム・ホンソン氏 | アンラボ 代表取締役社長 山本一郎氏 |
TMSSでは本社サーバの監視だけでなく、支社など外部のクライアントPC上でも、何らかのインシデントが発生すると、専任スタッフがその場にかけつけ、ネットワーク切断などの応急処置が行われます。その後ウイルスを研究施設に送って分析し、最長3〜4時間でワクチンを作成し、クリーンアップが行われます。さらに必要に応じてサーバ側のクリーンアップが行われ、監視体制も強化されます。TMSSは韓国ですでに運用されており、記者会見では現地SOCの様子もテレビ会議で紹介されました。SOCでは約500社の顧客を監視しており、そのうちの4割がオンラインゲームベンダとのことです。
アンラボの山口社長は記者会見で「企業のセキュリティ対策は時間との競争で、セキュリティベンダーの各部門が密接に連携することと、お客様(企業)との密接なコミュニケーションが重要だ。そのためにはワンストップサービスが必要で、これができるのがアンラボの強み」とコメントしました。またAhnLab,inc.のキム・ホンソンCEOは、「国際化、複雑化するセキュリティ対策には、クラウド形態が最もふさわしい」として、「アンラボ クラウドコンピューティング eセキュリティサービス」構想を発表すると共に、日本をグローバル戦略の要と位置づけ、今年度に2億円の投資を行うとしました。
オンラインゲーム市場の拡大と共に、犯罪件数も急増しており、かつての愉快犯中心から、昨今では金銭目的の犯罪へと、内容も大きくシフトしています。ウイルスの内容も複合化、カジュアル化しており、インフラの増加と共に感染経路も多様化しており、オンラインゲームのプラットフォームも、PC・コンソール・モバイルと増加・多様化が見込まれます。こうした中で同社の取り組みは縁の下の力持ちとして注目でしょう。