本当はここで秀作のプレイムービーをいくつか紹介したいところですが、今回は控えます。なぜなら、リプレイムービーには避けて通れない問題があるからです。そう、著作権、というヤツです。
まず、ゲームという映像の著作権があります。現状どのゲームメーカーもリプレイ動画に関しては黙認、という立場ですが、これはゲームムービーに販促としての効果があること、お客様であるプレイヤーの楽しみ方の1つだという理解があるためだと推測できます。海外のメーカーのほとんどはゲーム映像の二次使用については寛容のようです。日本でも同様ですが、公式サイトで著作権表記や公式サイトへのリンクをお願いすることで許可すると表明しているメーカーもあります。今のところ、映像に関しては深刻な問題はなさそうです。
もう1つ問題になる点はBGMです。とくにフラッグムービーと呼ばれるFPSゲーム関連の映像は、市販の音楽と思われる音源がかなり使われています。映像の制作者はカッコいい場面に似合うカッコいい音楽を組み合わせて、リズムに合わせて場面を切り替えます。音楽関係は著作権管理団体が厳しくチェックしているため、ほとんどのフラッグムービーは著作権に違法していると思われます。カッコいい映像と共に音楽を紹介しているんだ、という主張もありそうですし、エンドロールに楽曲名を記したムービーもあります。ゲームムービーをきっかけに新しい音楽を知り購入する、という事例もあるかもしれませんが、かなりレアケースでしょう。日本の楽曲を使った場合、厳しい日本の著作権団体には通らない理屈だと言えます。再利用フリーの音源を使ったほうが良いと思います。
2008年の国会提出に向けて議論されている「著作権法改正案」では、違法にアップロードした著作物データをダウンロードした場合も罪に問われるという方向で進んでいるようです。また、従来は著作権者の親告罪だった著作権法違反罪の非申告化についても、議論が進められています。非親告罪になった場合、著作権者が黙認してくれても、第三者の通報で逮捕されてしまう可能性があります。ゲームメーカーがゲームムービーを黙認し、そこに販促やユーザーの楽しみ方への秘めたる賛同があったとしても、違法として取り締まられてしまう。これを避けるにはメーカーがムービー制作者に正式な使用許諾を与えれば良いのですが、ヒットゲームになれば膨大な許諾案件を抱えることになります。ゲームメーカーにそんな人材を確保する余裕があるかどうか。許諾を待っている間にゲームの人気が終わってしまうかもしれません。その人気は、ゲームムービーが楽しまれることによって延命できたかもしれないのに。
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スウェーデンで活躍する日本人ゲーマーnoppo氏のフラッグムービー。 ため息が出るほど凄まじい戦い。※クリックで拡大画面を表示 |
■法をクリアして広めていきたい文化