Youtubeやニコニコ動画で広まりつつあるゲームムービーですが、実はそれ以前から一部のプレイヤーたちがムービーを制作していました。それらは主に“フラッグムービー”と呼ばれていました。内容はFPSの射撃の瞬間を集めた場面集です。ムービーが作られる目的はさまざまですが、自分やチームのテクニックをアピールするタイプと、映像としての格好良さを追求するタイプにわかれるようです。日本のFPSコミュニティ「negitaku.org」を運営するYossy氏も、フラッグムービーに魅せられた1人。彼がnegitaku.orgを立ち上げた理由の1つがムービーの紹介だったことは、以前このコーナーでお伝えした通りです。negitaku.orgでムービーの紹介に関する記事を検索すると、もっとも古い記事が2002年でした。Yossy氏はこれ以前からチャットでムービーを紹介していたそうですから、プレイムービーを作ったり鑑賞したりという楽しみ方は、約10年前から存在したようです。現在、海外ではフラッグムービーの賞金付きコンテストも開催されており、今もなお映像作家たちが活躍しています。プレイの技術も高まり、映像の演出も凝って、クオリティはどんどん上がっています。高画質で長時間になるため、ファイルサイズが大きくダウンロード時間がかかりますが、見応えのある作品ばかりです。
Eスポーツ大会が活発になって、オフィシャルページで試合の様子がストリーミング配信されるようになりました。過去の試合を収録したムービーも鑑賞できるようになりつつあります。会場に行けなくても、テレビ中継が行われなくても、自宅で決勝戦を観戦できます。こちらは映像のプロが制作しており、選手や観客の表情も挿入されて臨場感が伝わってきます。WCG(ワールド・サイバー・ゲームズ)の公式サイトでは過去の名場面や選手のインタビューを公開しており、世界のトップクラスの戦いを観られます。
ゲーム対戦結果を再生する方法には、映像の他にリプレイファイルを作る方法もあります。Eスポーツ大会で使われるFPSでは、ほとんどのタイトルでリプレイファイルを作る機能があります。リプレイファイルは見る側が自由に視点を変更できたり、対戦者の視点を切り替えたりできます。戦い方を参考にする場合はこちらが便利です。リプレイファイルは自動的に生成されるため、作る側の手間がかかりません。しかし、見る人は限定されます。対戦したゲームと同じゲームソフト、同じバージョンの拡張ファイルなどを用意する必要があります。つまり、誰もが簡単に観られるものではありません。
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ニコニコ動画で多数のゲームプレイムービーを発見!※クリックで拡大画面を表示 |
これに対して、ムービーファイルはゲームプレイの映像を動画ファイルにエンコードし、編集する必要があります。これには動画作成の技術が必要で、ゲームプレイヤーが誰でも作れるというわけにはいきません。有名な選手のリプレイムービーを見たいと思っても、その選手が動画制作のスキルを持たなければ観られません。しかし、なんと言っても、動画再生ソフトがあれば誰もが簡単に観られるというメリットがあります。編集することで無駄なシーンを省き、名場面だけを連続で再現できます。15分で行われた試合の名場面だけを2分で紹介できるわけです。また、広告など映像素材と組み合わせられます。ゲーム大会でリプレイムービーが配布される場合、ゲーム大会のスポンサーの広告が含まれます。ゲームムービーが広告メディアとして活用される時代になっています。
■避けて通れない著作権問題