第24回のロコレポは、レベルファイブが3月27日から配信しているニンテンドー3DSダウンロードソフト『宇宙船ダムレイ号』のプレイレポートをお届けします。
『宇宙船ダムレイ号』は、謎の宇宙船内でコールドスリープから目覚めた主人公が驚愕の真実へとたどり着く・・・というストーリーで展開される「密室サスペンス・アドベンチャー」。クリエイターとして、ゲームデザイナーの麻野一哉さんと小説家の我孫子武丸さんが参加されています。
麻野さんと我孫子さんといえば、1994年にチュンソフト(現スパイク・チュンソフト)から発売されたサウンドノベル『かまいたちの夜』が名作として知られますが、再びそのタッグによるゲームがリリースされるということで個人的にも注目していました。
■清々しいほどにプレイヤーを突き放したゲームデザイン
作品の冒頭に表示されるメッセージの通り、このゲームにはチュートリアルや操作説明が一切ありません。主人公は一切の記憶を失って何をすべきか分からない状態で目覚めるので、プレイヤーは宇宙船の状況や手がかりを頼りに、手探りでゲームを進めていきます。
これはクリエイターによって意図的にデザインされたものですが、最近のゲームでは珍しい、かなり突き放したゲームデザインになっています。脱出ゲームやアドベンチャーゲームの初心者がプレイした場合、ゲーム開始数分で投げてしまうかもしれません。
■コンピューターやロボットの操作、パズルなど謎解き要素が満載
最初の謎解きであるコンピューターの操作をはじめ、ロボットの遠隔操作やパズルの認証システムなど、宇宙船の中には謎解き要素がたくさん。そのほとんどがノーヒントなので、ひとつひとつの謎を知恵を絞って解決していくのがゲームの基本になります。
移動はFPS視点で行うシステムになっていて、3D対応の宇宙船内はなかなかの見応え。作品の雰囲気は、『ポータル』(Portal)シリーズや『Dead Space』(デッドスペース)シリーズと近いように思いました。
■恐怖と緊張感を煽る演出と、謎深く巧みなストーリー展開
脱出ゲームでありアドベンチャーゲームでもある本作ですが、所々に恐怖感を煽る演出が登場します。宇宙船という閉ざされた空間の中で、「自分はなぜここにいるのか」「ここはどこなのか」「宇宙船の中にいる未知の存在」、そして「船員の安否」といった謎に少しずつ近づいていくストーリー展開は興味深く、同時に恐怖と緊張感をともなって楽しむことができます。
『かまいたちの夜』を彷彿とさせるような密室サスペンス要素もあり、この辺りは麻野さんと我孫子さんが手がけた作品ならではの魅力ですね。
■コンパクトながら、骨太な脱出アドベンチャーゲーム
『宇宙船ダムレイ号』。チュートリアルを完全に排除したゲームデザインは脱出ゲームライクで、コンシューマーゲームでは珍しいタイプの作品だと思います。
謎解きの量は多いもののゲームのボリューム的にはコンパクトで、脱出ゲームが得意な方ならあまり時間をかけずにクリアできるのではないでしょうか。短い作品ですがSF的な世界観の構築がしっかりしているので、それが断片的に語られるストーリーに現実感をもたらしています。
ジャンルはアドベンチャーゲームですが脱出ゲームとしての要素が強い作品なので、脱出ゲーム好きの方にオススメしたいです。
『宇宙船ダムレイ号』は、好評配信中で価格は800円(税込)です。
(C)2013 LEVEL-5 Inc.
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【ロコレポ】 by ロココ試作型
INSIDEのゲームライターが3DSとiOSを中心に色々なソフトをプレイして、その魅力を伝える連載。RPGの魅力に目覚めたのは、ファミコン版『ウィザードリィ』。好みのゲームな場合にテンション上がり過ぎるのは許して…。
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