『Halo: Reach』のシナリオライティングも行った"有名人"の同氏、講演はある事件を振り返るところから始まります。ある時、Abernathy氏は小さな娘とKinectのゲームを買いに行きます。しかし、彼女に適したゲームはありませんでした。そして、この事実を(少々怒り気味に)ツイッターに投稿したのです。そのツイートは一気に広まり、業界誌のGamePoliticsでも記事になったくらいです。反論も多かったようですが、賛意を示す人も少なくなったと言います。
Abernathy氏が主張するのは、「ゲーム業界は人口の半分しか相手にしてない」ということです。現在もソニー・ピクチャーズでも仕事をしているなど映画業界での経歴も長い同氏は映画と比較して、いかに女性のヒーローがゲームには少ないかを強調しました。恣意的なものではないとは言い切れませんが、示された画像に映し出されている女性は「ファイナルファンタジー」のユウナのみ。「ゲームに性別の意味での多様性(ダイバーシティ)が無いのは明白だが、アメリカに黒人大統領が登場するような時代にこのままで良いのだろうか?」
講演では多様性を生み出していくべき3つの理由が説明されました。「モラル」は確かに重要ですが、"女性も平等に扱ったほうがいい"という以上の理由があります。2つ目は「クリエイティブ」です。マッチョな男主人公だけでは語れる物語は限られます。ゲームをもっとクリエイティブにする可能性があるのです。そして3つ目は「ビジネス」です。「もっとお金を稼ぎたいと誰もが思っているのに、女性をターゲットにしようと思わないのは変だ」ということです。女性向けの映画、女性主人公が活躍する映画、こうしたものの余地がゲームにないとは思われません。
最後にAbernathy氏はデータを示し、今までマイノリティと思われていたことが実はそうではなく、ゲームデベロッパーは多様性を真剣に追求していかなければならないと延べました。
・ゲームの世代別人口は18歳以下が32%、18~35歳が31%、35以上が37%(ESA調べ)
・人種別のゲーマーの比率は白人が51%、アメリカ系アメリカ人が51%、英語を使うヒスパニックが63%(ZDNetより)
・居住地域別のゲーマーの比率は都市部が56%、中間部が53%、地方が47%(ZDNetより)
・ゲームユーザーの男女比は男性が53%、女性が47%
カジュアルゲーマーの男女比は男性が45%、女性が55%
モバイルゲーマーの男女比は男性が40%、女性が60% (PopCapら調べ)
これらの数字は皆さんの実感と合っていたでしょうか。男女比も面白いですが、人口分布、都市部と地方の差も興味深いですね。