『龍が如く』シリーズの大ファンである映画評論家・有村昆氏をゲストに迎え、シリーズ総合監督の名越稔洋氏が、『龍が如く 極』、そして『龍が如く6』の新情報を発表しました。
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10週年を迎える『龍が如く』シリーズ。名越氏は「(1作目の)企画を出して(社内の)プレゼンは2回落ちて、3回目に“お情け”のように“そこまで言うならしょうがない、やれよ”といった形でスタートしたので、順風満帆の出発ではありませんでした」と10年前を振り返ってコメント。「意地を通した分一生懸命、命がけでやらないとバチがあたると思って作った」と話し、結果的にそれが成功したことは幸せなことであると感じているとのこと。それだけに「大事な作品」であると語りました。
ここで1作目のディレクターズカット版とも言える『龍が如く 極』のショートトレーラーが披露されました。発売までにはもっともっと映像を綺麗にしたいとのこと。同内容のショートトレーラーは、現在、公式サイトやYouTubeでも公開されているのでぜひご覧ください。
●『龍が如く 極』ショートトレイラー
YouTube 動画URL:https://youtu.be/jvJrLWO0tiM
■追加ストーリーと10年越しの思い
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「映画のような5分・10分といった足し方ではなくて、もっと尺的にはガッツリとした大幅な追加をしています」と名越氏。「もともとやりたかったシーンですけど、(当時)時間的に、コスト的にできなかった心残りを今回全部入れている感じです」とのことで、描ききれなかったストーリーを補完する初代『龍が如く』の完全版とも言える内容になりそうです。これに対し有村氏は映画「スター・ウォーズ」シリーズに例え「1976年に“スター・ウォーズ(エピソード4)”を出して、当時CGがなかったものを、2000年代に入ってBlu-rayやDVDになったときにCGを追加した。あれに近い感覚」とコメント。
名越氏は「スター・ウォーズ」に例えられたことに恐縮しながらも、「中身に自信がありながらも、“もっとこうすべきだった、したかった”というものが必ず(あって)、今ここで“あのとき酷かったなぁ、今だったらこんなことができるのに”と言える自分やチームは成長した証拠だと思うので、その思いを(プレイヤーに)ちゃんとぶつければ喜んでもらえるものになると思います」と語った上で、「『1』『2』『3』とファンがついてきてくださって、新作を作ることに追われ、最初の心残りを置き去りにせざるを得なかったんですよね。どこかでそれをやれればと(思い続けて)10年経ってしまって、この試みがやれるとしたら“10周年”が一番良い説得力のあるタイミングであると思ってやらせていただきました」と、『極』に10年分の思いを込めて制作を進めていることを語っています。
最新の技術で『龍が如く』をリメイクすることは世界中のファンから望まれ、声が届いており「実現で嬉しいです」と話しました。
■気になるミニゲーム
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有村氏は、映像中に水着の女の子たちが戦っていた点について質問。名越氏は『甲虫王者ムシキング』のパロディミニゲーム『メスキング』であると説明しました。「メスなのに“キング”ってよくよく考えたらおかしいんですけど、語呂の良さに勝てなくて“コレでいいんじゃないか”(笑)」と『龍が如く』的にミニゲームのタイトルが決まったエピソードも披露。「馬鹿じゃないかって思われるかもしれないですが(メスなのにキングという矛盾を)わかった上で出しているので(笑)」とコメントしています。気になるミニゲームの内容は明らかにされませんでしたが、『龍が如く』らしいぶっ飛んで尚且つやりこみがいのあるミニゲームになりそうです。
また、初期作品に比べて店舗の数も増えており、シリーズ作で安定的に評価が高く、人気のあったミニゲームを収録しているとのこと。リニューアルしたものや、『メスキング』のような新しいゲームも収録され、「あれがないよ、これがないよ、ということがないように」と心がけて収録されているそうなので、『龍が如く』のミニゲームが好きな人は期待しておきましょう。
■『極』の魅力
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「最新技術によるグラフィック美しさは、ロードの快適さ、遊び易さはもちろん、10年の集大成として、ノウハウを持ちながら(原作を)越えて行かなければいけない」という点課題であると語る名越氏。これまでのシリーズでさまざまな変化を遂げてきたゲームシステムにおいて、ベースは一番良いものを、システムは(実際のユーザーの声から)一番評判の良かったものを盛り込んでいるそうです。そのため、技術の良さと評判の良さを併せ持った作り、すなわち「評判と技術の“極”」で「集大成」を作り上げているとしています。
また、全ての作品で同じ思いを持っているが、シリーズファンのほかに「ここから始めるプレイヤー」を常に意識しており、今回は特にその思いが強いとも語っています。
■人間ドラマの注目点は?
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「本来入れたかったけれど泣く泣く入れられなかったもの」と「あとあと考えたときに新たな心理描写を補完するためにちゃんとエピソードを入れたほうが説得力や感情移入が生まれる後付けのもの」の2つのパターンの追加のシナリオにぜひ注目してほしいと語る名越氏。「もともとのドラマの見え方が変わらないように、おかしなイジり方はせず、入るべきものが入った“良い足し算”ができることが目標」と、あくまでもオリジナル版である『1』のストーリーや世界観を大事にしているとのことです。
「(ファンにとっては)追加ストーリーを見るためだけでも買う価値がある作品」になっていると語り、追加ストーリーや、それに伴った『1』の世界観の広がりに大きな期待が持てそうです。
■タイアップアーティストはB'zの稲葉浩志さんに
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「『1』のときは唯一“楽曲タイアップ”ができなかったので、10年経ったらこんなスゲーのができましたという方で実現をしてみたいなと頑張ってみました」と紹介されたのは、名実とも日本を代表するアーティストの1人、B'zの稲葉浩志さん。シリーズファンの声でもコラボレーションが多く望まれていた1人であることも明かされました。
タイアップ楽曲は、書き下ろし新曲に加えて、ファンにはおなじみの「Receive You[Reborn]」の2曲。後者はフルアレンジされているものの、原曲を大事にした仕上がりになっているそうなので、稲葉さんの声が入ることで「Reborn」する楽曲に期待です。また、稲葉さん自身が『龍が如く』をプレイした上で、タイアップを引き受けてくれたというエピソードも披露。『龍が如く』の世界観を歌で広げる稲葉浩志さんの楽曲に注目しましょう。
『龍が如く 極』は、2016年1月21日発売予定で価格は6,490円(税抜)です。
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■縦マルチをやめてPS4専売に
「一番ハイエンドなマシンで作りますので、絵(グラフィック)もフルチェンジしています。(会場の)シアターでは見ることもできますので、(TGS2015に)足を運んで頂いた方にはまず優先的にお見せしたいなと」とのこと。PS4専用となることで、圧倒的なグラフィックを実現している本作が気になる方は、ぜひ会場に足を運んでフルチェンジしたグラフィックの『龍が如く』ナンバリング最新作の映像をチェックしてみてください。尚、映像が公式サイトなどで公開されるかは現在のところ未定ですが、会場に足を運べない方も「優先的に」という言葉を信じて映像の公開を待ちましょう。
■ビートたけし、出演決定!
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映画監督「北野武」としてもおなじみのタレント・役者のビートたけしさんの出演が発表されました。自身も『龍が如く』の世界に通ずるバイオレンス映画を数多く手掛けているため、これ以上ないコラボレーションと言っても過言ではなさそうです。少し前からプレイベートでビートたけしさんと親交があったという名越氏。「まさか仕事は…とは思ってはいたのですが、言ってみるもんですね(笑)」と出演決定の経緯も明かされました。
現在収録も進んでおり「(本業の声優さんと同じぐらい)お上手ですよ。上手いことあてにきますんで。(台本を)読んでいただいて、情景を浮かべて、『こんな感じのテンションじゃないの?』と、ご自分からしゃべりをあてにいける方なので、やはり勘の良い方だなとすごく感じます」と、ボイス収録のエピソードも披露しました。有村氏は、北野武監督作品で監督自らも出演する映画「BROTHER」「アウトレイジ」といったバイオレンス映画を彷彿させるような見せ場になるのかと質問をぶつけたところ、名越氏は「迫力が欲しくて(出演をしてもらったが)、CGを通してはいるけれど、たけしさんのインパクトは細かい説明がいらない感じはあります」と、役者ビートたけしの存在感を高く評価していました。
ビートたけしさんが出演する『龍が如く6』の映像も会場シアターで上映されているとのこと。映像と一部の台詞が楽しめるそうなので、会場に足を運んだらぜひチェックしてみてください。
尚、『龍が如く 極』には、『龍が如く6』の一部が楽しめるダウンロードコードの付属も決定しています。一足早く最新作を触ってみたい人は、ぜひ『極』の購入も検討してみてはいかがでしょうか。
『龍が如く6』は、2016年秋発売予定で価格は未定です。
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トップランクの人とコラボをし、それに負けないような作品作りを目指すことが良い作品につながっている『龍が如く』シリーズを、名越氏は「誇りある作品」と表現。原点を蘇らせた『龍が如く 極』、新たな挑戦である『龍が如く6』、10周年プロジェクトの2作品に期待です。
ちなみに映画評論家の有村昆氏は、終始『龍が如く』シリーズファンぶりを披露。名越氏に「神室町にある某映画館のモギリの役でもいいので出せさてください」と舞台上で出演交渉までしていました。
(C)SEGA