湯殿山へは山形市からレンタカーで延々長い道のりを進んできました。「日本海側から行った方が早かったかもしれない」。そう思ったところで後の祭り。すでに祠チャレンジは始まっていたのです。
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ハイリアの盾とマスターソード(「ゼルダの伝説 一番くじ」にてゲット)を背負い、やってきたのは本明寺。即身仏を見学するなら予約が必要です。入り口から醸し出す霊力が尋常じゃありません。心のシーカーストーンが祠に大反応です。
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階段を上がると本堂がお出迎え。静まり返った境内。参拝客は我々だけです。本妙寺はこのあと登場する注連寺の末寺にあたります。
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苔むした雰囲気が実に古刹らしいです。それもそのはず、本妙寺に安置されている本明海上人は庄内地方の湯殿山系一世行人の中でも最も古い即身仏なのです。本明海上人が即身仏になるために土中入定したのは天和3年(1683)。戦国の世が終わり、世が安定した頃になります。
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お寺の方にいざなわれ、本堂右手の道を進んでいくと、更にただならぬ空気を醸しだす建物が姿を現しました。
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即身仏は写真撮影不可なので言葉でしかお伝えできませんが、本明海上人は厨子の中に安置され、真っ白な御召し物を纏っていました。
座った状態のまま、やや首をかしげたような状態で、顔はほんのりと笑っており、怖くはありません。思った以上に状態がよいという印象です。それは本明海上人が自分の身体が腐らぬよう、徹底的な下準備をしたからに他なりません。
エジプトのミイラ作りでは脳や内臓といった腐りやすいものを摘出し、火を用いて乾燥させ、時には薬品を用いて防腐処理を施しミイラ化させますが、昭和34年に学術研究のため調査した即身仏は一部を除き脳も内臓も残ったままでだったそうです(『日本ミイラの研究』)。
本明海上人の調査・修復は昭和47年に行われました。そのとき、首を支えていた木の板に、このあと登場する鉄門海上人が即身堂を再建したことが記されていたそうです(『日本のミイラ仏』)。
また、お寺の方からうかがった話では、当初は手を合わせた状態であったものの、年月が経つにつれ離れてしまったそうです。祠の賢者たちの手はそれぞれいろんな形を作っていますが、これを保つのはなかなか難しいことなのですね。
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それぞれ手の形が違います。
本明海上人は元は庄内藩の下級武士でしたが、藩主・酒井忠義の病気平癒のため湯殿山へ代参し、下界に戻らずそのまま湯殿山に籠って修行を続けました。
剃髪し本明海となったのちは、荒廃した本明寺を復興するなどの業績を残し、60を過ぎると即身仏になるべく修行を行い、天和3年(1683)に土中入定しました。
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本明海上人の入定所もあると聞き、看板を頼りに行ってみました。
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この道も実に非現実感が漂っています。
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森の中にたたずむ入定場所を記した碑。ほどよく苔むしています。
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この下の石室に一人で籠り、死の瞬間まで読経をしつづけたのです。絶句…
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即身仏は並大抵の覚悟では成し遂げられない…祠1つ目からヘビーな体験でした。我々の祠チャレンジなど生ぬるいにも程がある。これで克服の証はもらえるのか!? ちょっと不安になりつつも、次の祠へと向かいます。
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