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『スーパーマリオブラザーズ 35』、バトロワに見えるけど実は“協力プレイ”のゲームじゃね? 敵をおとしめず、互いに高め合う対戦ゲーム

35人で競うバトロワ『スーパーマリオブラザーズ 35』を遊んでいると、「これは協力プレイのゲームなのでは?」と思えるようになってきました。

任天堂 Nintendo Switch
『スーパーマリオブラザーズ 35』、バトロワに見えるけど実は“協力プレイ”のゲームじゃね? 敵をおとしめず、互いに高め合う対戦ゲーム
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「スーパーマリオ35周年」記念の一環として『スーパーマリオブラザーズ 35』(『マリオ35』)が配信されており、インサイドでも関連記事をいろいろと公開しています。マリオなのにバトロワで、新鮮ですよね。

『マリオ35』はNintendo Switch Onlineの加入者向け無料タイトル。『スーパーマリオブラザーズ』経験者が有利だったり(とはいえ、ベテランゲーマー向けと考えれば当然でもあります)、好きなコースを選択できるためみんな1-1や1-2を選びがちといった課題はあるのですが、私は10時間以上も楽しめていますし、何よりこの作品の魅力が見えてきました。それは「バトロワのゲームなのに、生き残っているライバルと協力プレイしているかのような気持ちになってくるところ」です

あくまで「間接的に妨害し合う」システム



『マリオ35』の基本は、敵を倒して残り時間を稼ぎつつ他プレイヤーに送り込む「おくりあいバトル」。同時プレイして妨害しあうのではなく、あくまでそれぞれが『スーパーマリオブラザーズ』をプレイすると関わりが出てくるような形になっています。

そして仕様上、クリボーやハンマーブロスといった敵キャラを送り合うだけで、ものすごい妨害ができるわけではありません。敵を送り込んでも相手が先に進まなかったら出ませんし(ただしまったく進まないと残り時間がすごい勢いで減ります)、迂回すれば敵を避けることも可能です。

一般的なバトロワとは異なり、『マリオ35』はあくまでミスを誘うようなゲームシステムになっていると言えるでしょう。他タイトルのように掴んで落としたり、踏んづけてしまうことはできないわけですね。


ファイアマリオだとどんな敵も簡単に倒せるのですが、1-3のようなアスレチックコースでハンマーブロスやクッパが出るとかなりたいへん。ジュゲムが大量になるとどのコースでもヤバく、倒される可能性も出てきますし、うっかりミスを起こしがち。

こういったシステムおかげで、さんざん遊んだはずの『スーパーマリオブラザーズ』が刺激的なものになるわけです。そして、この「間接的な妨害」が『マリオ35』において特に魅力だと思うわけです。

プレイ体験はまるで「テニスの高速ラリー」



前述のように、『マリオ35』では激しすぎる妨害ができるわけではありません。ゆえにうまいプレイヤーが残ると試合が長引き、その対策として残り時間がものすごい勢いで減るようになります。

試合時間が17分を越えるようなレベルになると、スーパースターで敵を倒してもカウントの回復が追いつきません。もはやお互いにどれだけミスせず高速、かつ適切に敵を処理し続けられるかの勝負になるのです。

これを例えるならば、テニスで高速ラリーをしているようなイメージ。一手でもミスればマリオが穴に落ちてしまう(ボールがコートから出てしまう)かのような緊張感がたまりません。普段なら余裕でクリアできる1-3や、8-2の大穴などもドキドキしてしまいます。

『マリオ35』はバトロワなので対戦ゲームといえるのですが、一方でこの高速ラリーのような体験をずっと繰り返していると、まるで協力プレイをしているかのような印象に変化していくのです。


当然ながら対戦ゲームの大きな目的は「勝利」です。勝てば気持ちいいし、嬉しいですよね。しかし、そもそも対戦ゲームであったとしても、プレイヤーは「ゲームを楽しむ」ために参加しているとも言えます。

よって、プレイヤー同士がお互いに緊張感を高めあって、素晴らしい体験を得られるのも対戦ゲームの魅力のひとつといえます。相手をおとしめて自分が優位に立ったことを喜ぶのも楽しいですが、一方でプレイヤー同士が“純粋に能力を競い合う対戦”もありうるわけです。

『マリオ35』はまさしくそのような、敵をおとしめず互いに高め合う対戦ゲームといえます。ゲーム中ではハンマーブロスやクッパが大量に送り込まれコースが刺激的になり、それをどう返すか一瞬で判断し、攻略する必要があります。すると相手もまた同じように攻略し、返事として敵がたっぷり帰ってくるわけです。

純粋に相手の能力を信頼し「これならどうだ」と一手ずつ出し合う。その敵が互いを行き来すること自体が楽しい。打ち返すと相手もまた打ってきてくれる。そしてコースがさらにカオスでおもしろいものになるわけですね。もはや戦っているというより、お互いがお互いのコースを刺激的にする協力プレイとすら言えます。

対戦相手ではなく、好敵手(ライバル)



前述のように、最終盤は敵をどんどん倒さないと残り時間がなくなります。ゆえにラリーを返せなくなると、ゲームは終わってしまうのです。実際、相手が敵を送らなくなってくると、そのしばらくあとに勝ちになってしまうことがほとんど。

激しい試合であればあるほど、勝って嬉しいというより、好敵手が脱落してしまったという悲しみが生まれてきます。そもそもプレイ中も高速で敵を送り合いながら、「この時が終わらなければいいのに……!」とすら思えてきます。だって、ジュゲムやハンマーブロスだらけのコース、あまりにもおかしくて最高なんですよ!

つまり、『マリオ35』は傍から見ていると戦いに見えるかもしれませんが、プレイヤー同士には奇妙な友情のようなものが芽生えうるのです。お互いが健闘することにより、プレイヤーの目の前にあるコースがよりおもしろいものになる。困難を分け与え、それを乗り越える喜び。この体験をすると、他プレイヤーは対戦相手というよりライバルと呼びたくなりますね。

そもそも昔の『マリオブラザーズ』は協力プレイなのにお互いに妨害できて対戦に発展していましたが、『マリオ35』では逆に対戦がベースなのにいつの間にか協力プレイのような様相を呈してくるのです。変な話ですよね

『マリオ35』はマッチングが素早いものの、プレイヤー選別がだいぶおおまかだったり、コース解禁が遅いなどいろいろ課題はあります。しかしながら、対戦型マリオでありながら相手と協力しているような不思議な感覚は特別なものといえるでしょう。


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《すしし》
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