---でも、今度は、その3つのうちでどれを切るのがいいかが、違いがぜんぜんわかりません。勘に頼っていいですか?
「さて、ここまではずっと、自分の手元しか見ていなかったけど、ここで他の人の捨牌を見てみましょう」
---あ〜、とっくの昔に他の人に『西』を捨てられてます。しかも2枚も。
「ということは、いくらガンバっても、西がメンツになる可能性はもうないわけ。雀頭か七対子にしか使えない。でも七対子はあきらめたし、いまは雀頭が多いから……」
---いらないのは『西』なんですね! そうか〜、他の人の捨牌も情報になるんですね。
「そう、これがマージャンの『読み』と言われる部分。上級者だと、相手の捨牌から、相手の手牌の進行状況や狙っている役まで推理できちゃうのよ」
---じゃあ、『西』を捨てます。次のツモは……『3筒』です。
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「『3筒』は、ここまで手牌が育っていたらいらないかな。もう1枚の『西』は残しておきたいし」
---あれ、たったいま『西』を捨てちゃったし、1枚だけだからいらないですよ! これは自信あります!
「うーん、本当は残しておきたいんだけどな」
---え〜、どうしてですか?
「それは、本当は『3筒』より『西』を残すほうが、将来的によさそうだから。『西』は安全牌(あんぜんはい、あんぱい)なの」
---安全牌ってなんですか?
「こうして、あなたの手牌が進んでいるってことは、実は、他の人の手牌もそのぶん進んでいるってことになるでしょ。つまりいつ攻撃されるかわからないわけ」
---こわっ! 攻撃って何をされるんですか?
「たとえば、相手が先にテンパイしたとするわ。すると『リーチ』と言ってくることがあるわけ。リーチと言われたら、あなたがなにか牌を捨てた瞬間に、それであがられる可能性が出てくるわ。つまり負け。点数をとられちゃう」
---先生、どうにか避けたいです……。
「そのときに、『西』を残していたら、それを切ればいいの。だって、西はすでに他の人が捨ててるから、もう残りがないんだもの」
---なるほど! 西を捨てても、それでメンツができたり、雀頭ができたりすることが絶対にないんですね!
「厳密には国士無双という役があるから、100%ではないんだけど。でも、『フリテン』というルールもあって、『自分が捨てた牌では、あがれない』の。だから、西を捨ててる人がリーチをかけたら、100%『西』は安全に捨てられるのよ」
---ところで、3筒は残してても意味ないんでしょうか?
「『1筒』を捨ててるから、『3筒』はたぶん結局使えないと思うの」
---ずいぶん前に捨てた1筒が関係してくるんですか?
「今さっき『フリテン』っていうルールを説明したでしょう。もしこの配牌を、『3筒』を残しつついろいろと入れ換えていって、最後に『2筒』をツモって、『2・3筒』が残ったとします。さて上がれる牌は?」
---1筒と4筒。ということは、フリテンであがれない!?
「そう、『自分の捨牌ではあがれない』という足かせが、いつかズシリと効いてくる。だから『3筒』も結局は捨てたほうがいいの」
---なるほど了解です……。でも、3筒はいずれ切る牌ということで、とりあえず『西』を捨てさせてください(わがまま)。
「仕方ないですね。まあ、たまには自分でも牌を選びたいと思うし、ここは『西』でオーケーよ」
◆ツモ切りが続くが、ついにテンパイ!?
---今度のツモは『1索』(孔雀)でした。
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「これは3筒以上にいらない牌ね。そのまま捨てちゃいましょう。ツモった牌を入れ換えずにすぐ捨てちゃうことを『ツモ切り』といいます」
---『1索』ツモ切ります。次のツモは『3萬』でした。
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「これもいらない牌ね。2萬も捨ててるし。ツモ切りましょう」
---うーん、ツモ切りが続いちゃいますね。
「こういうときにイライラしないことが大切よ。それに実は、あと一歩のところまで来てるのよ」
---えっ、そうなんですか?
「この手牌をよく見ると、『4索』『7索』『8索』『東』のどれかが来ればテンパイなんです。このように『あと1枚でテンパイ』という状態を、『イーシャンテン』といいますね。さあ、有効牌をガンバってツモりましょう〜」
---……次のツモは、先生! 『4索』ツモりました!
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「やった〜、ついにテンパイだよ!」
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---いよいよ『3筒』を切ればいいんですね!?
「もちろん! ただし、切る前にまず『待ちは何か』を確認しましょう」
---「待ち」って何でしょうか?
「最後の最後、手牌が完成するための残り1枚ってこと。ここでは、『3メンツ・2雀頭』の形になっちゃったから、最後は、雀頭になっている『8索』か『東』かのどちらかがメンツになればいい。つまり『8索』と『東』の2種類が待ち牌ね。このとき他の人が全部捨ててないかも確認ね。残りが1枚もないのに、それで待っても上がれないから」
◆生まれて初めてのリーチ、そしてついに……