赤字続きだったミクシィの株価を大きく底上げし、利益をもたらした『モンスト』。その人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
本作の開発を手がけたのはミクシィとゲームクリエイターの岡本吉起氏。岡本氏は『ファイナルファイト』シリーズや『ストリートファイター』シリーズに関わったあと、カプコンを退社して独立。新たにゲームリパブリックを設立しましたが、やがては経営難に陥って活動停止状態に。その後は家庭用ゲーム機から身を引き、モバイル用のゲームを制作中であると報じられていましたが、その作品がこの『モンスト』であったということになりそうです。
そんな名うてのゲームクリエイターが『モンスト』にしかけた起爆剤、それはズバリ「Bluetooth機能を使った、顔をつきあわせてのマルチプレイ」です。スマートフォンは当然常時インターネットに接続できるため、スマホで配信されるゲームは、家庭用ゲーム機になぞらえていうならどれもが「オンラインゲーム」です。そこに敢えて、実際に会って遊ぶマルチプレイの概念を持ち込みました。時間の自由が取りづらい社会人にはやや窮屈かもしれませんが、丁寧に作られたいいゲームがマルチプレイで遊ばれたらどうなるか――『モンスターハンター』を例に挙げれば答えはいたってシンプル。口コミで爆発的に普及するのです。
口コミでブームに火をつけるには、ゲームそのものがしっかり作られていて楽しめるものでなければなりません。もちろんその辺にもぬかりはなく、「モンスターを引っ張って敵にぶつける」という『パズドラ』以上の分かりやすさや、もはやお決まりともいえる(モンスターの)合成・強化システムなど、既存のヒット作を見習った丁寧な作りが光ります。そこに上乗せする形で、マルチプレイしたときの大きなメリットを用意するという周到さ。こうしてあとから振り返ってみれば、ヒットする要素はそろっていたと言えるでしょう。
スマホオリジナルのゲームとしてリリースされて大ヒットし、2013年末に発売された3DS版も130万本を超えるミリオンセラーとなった『パズドラ』。そして、その王者に肉薄しつつあるのが、携帯ゲーム機ではよく見られるシステムながら、モバイルのゲームではなかなか見られなかったマルチプレイを持ち込んだ『モンスト』。こう思うと、スマホと携帯ゲーム機の境界線がまた薄くなったと感じます。今後は海外展開も見込んでいるという『モンスト』は、第2の『パズドラ』となれるのでしょうか? 最近始めて名前を知ったという方は、これを機に遊んでみるのもいいかもしれません。
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